ユーザー参加型ムーブメントを起こすには「感動ポイントを見極める」ーー西村真里子氏

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スタートアップが自分たちのサービスを成長させていくためには、ユーザから支援してもらうこと、ユーザにサービスのファンになってもらうことが大切だ。サービスのコミュニティを作り、ユーザを巻き込んで一緒にサービスを成長させていく。そんな感覚がスタートアップには求められているのではないだろうか。

「NIKEiD」や「mixi Xmas」などの広告事例を手がけ、多くのユーザーを巻込み新しい広告体験をつくるバスキュール。西村真里子氏はIBM、Adobe、GROUPONなどを経て、現在このバスキュールでプロデューサーとして企業にユーザー参加型のインタラクティブなキャンペーンの提案をおこなっている。

西村氏が「MOVIDA SCHOOL」でスタートアップに向けて語った企画の作り方をいくつかのヒントにまとめた。

nishimura mariko

3つのチャレンジ

チャレンジを大切にしているという西村氏。自分が成長するため、新しい発見をするため、困難に打ち勝つため。挑戦することは様々な方面からチャレンジャーにリターンをもたらし、その人をつくっていく。今回の講義はまず西村氏が心がけているという3つの挑戦の紹介からスタートした。

まず西村氏の最初のチャレンジは「ENGLISH」。西村氏は入学した高校が半分以上は帰国子女というところ。自分が同じ世界にいながらも、自分に通じない言葉があることに悔しさを感じ、大学で留学を経験したという。ただ、仕事で使える英語は、仕事を通じて学んだそうだ。周囲からプレッシャーを感じる中で英語を学んだことで、視野を広げることにつながった。できるかぎり英語でコミュニケーションをとる機会を持ち、英語力を伸ばしていってほしいと西村氏は語った。

2つ目のチャレンジは「GEEK」。元々は文系だった西村氏は、今当たり前のようになっているPCや、スマートフォンなどのテクノロジーが、どのように生まれているのかを理解したいと思い、IBMに入社した。結果、IBMで5年エンジニアとして開発職を経験することで、マーケットのことを知り、仕組みを知ることができ、現在もマーケティングの仕事をする上で役に立っているという。マーケットや仕組みを知ることはスタートアップにとっても非常に重要なことだろう。

3つ目のチャレンジは「TEAM」。個人の挑戦に加えて、チーム、集団として活動することについてもチャレンジをしているという。個々のスキルを持った人々が集まり、大きなことを目指すことの面白さ。それぞれがプロフェッショナルとして仕事を行い、チームワークを発揮することで大きなものを目指していくことができる。今西村氏が働いているバスキュールは、そのような環境となっているという。

ムーブメントの起こし方

ではバスキュール全体としてはどういったことに取り組んでいるのだろうか。まずはこちらの映像をご覧いただきたい。

上の映像は、SAMSUNGのGALAXYSⅡのプロモーション「SPACE BALLOON PROJECT」の映像だ。プロモーションする商品を宇宙に飛ばしてしまえば、圧倒的にユーザを感動させることができるのではないだろうか、と考え企画された。

GALAXY SⅡを風船で宇宙へと飛ばし、その様子をGALAXY SⅡ目線でUSTで中継。USTの中継を見ながら、Twitterでリアルタイムに参加可能となっていた。宇宙に飛ばすというスケールの大きい活動は、多くの人の共感を集め、40万人以上がポジティブなメッセージを発して応援し、ソーシャル上で大きな成功を収めた事例となった。

ムーブメントをつくるために必要なことは、ユーザが感動するメッセージを発信し、多くのファンをつくること。デレク・シヴァーズによる有名なTED Talks「社会運動はどうやって起こすか」の映像を紹介しつつ、ムーブメントの起こし方についても語った。西村氏はAdobe在籍時代、日本のFlashユーザに世界で「Challenge」することの楽しさを積極的に伝えたく、海外のカンファレンス(FITC)に日本人Flashエンジニアを登壇させるなどのチャレンジをおこなった。

また、Adobeニュースレターや勉強会などを通じて「世界にチャレンジしている仲間がいるんだよ!(みんなも世界目指そうぜ)」と発信し、Flashユーザを盛り上げるムーブメントをつくっていったそうだ。

ユーザの感動ポイントを見極め、狙うポイントを定める。これは自社のサービスのファンを増やしていくためにも意識すべきポイントだろう。

パラダイムの変わり目を読む

以前、西村氏はロンドンで開催された「ソーシャルTV」のカンファレンスに参加し、その模様をレポートした。これにより、周囲にバスキュールは会社としてソーシャルTVに取り組んでいるというイメージをもってもらうことに成功した。スタートアップも自社の活動領域をアピールするために、近いカンファレンスに参加し、レポート記事をメディアに寄稿するという手法も有効に活用できそうだ。

バスキュールとして力を入れている分野が、「ソーシャルTV」という分野。スマートフォン、テレビ、ソーシャルメディアを連動させ、複数のスクリーンを使ってこれまでとは異なった体験を視聴者に提供するというものだ。ケータイ&TV CM連動により3日間で約56万人が参加したという「mixi Xmas連動CM」や、ダブルスクリーンによる視聴者参加型のLIVE番組など、いくつかの事例を解説していただいた。

講義の中でも触れられていたガートナーの「先進テクノロジーのハイプ・サイクル2011年」。こうした調査でソーシャルTVのような今後注目の技術をしっかりと把握しておくことも、スタートアップにとっては大切なことだろう。今後5から10年で伸びる技術を把握しておき、パラダイムの変わり目を読むことができれば、チャンスを掴むこともできるかもしれない。

ただ、どの技術も絶対のものではない。Flashの例があるように、それまで信じて進んできた方向と別の方向に進まなくてはならなくなることもある。そんなときは、違う視点で物事を見ることを意識し、広い視野を持って異なる環境に飛び込んでいくことも大切だ。

財産となるのは人と人とのコミュニケーションだと語る西村氏。これまでのキャリアの中でも元々のつながりの中から仕事のヒントをもらってきたという。会社の規模に関わらずネットワーキングは重要だ。ネットワークを作っていくことはすぐにでも始められること。スタートアップをしている人々は行動に移していってほしい。

U-NOTEリンク】:スクール当日にライブで記録されたU-NOTEです。合わせてご参照ください。