毎日700万PVを集めるiPeen(愛評網)「台湾の市場は小さくなんかない」

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【翻訳 by Conyac】【原文】

汗をかき、傷つき、気をもんで、夜も眠れず、食事が喉を通らない ─ こうした症状を経験せずに済んだ創業者などいるだろうか? このような悩みを愛評網の創業者たちはすべて経験し苦しんだ。6年前のことだ。愛評網の4人の創業者、何吉弘(ホー・ジーホン)、葉卉婷(イェ・フイティン)、陳易成(チェン・イーチェン)、葉卉卿(イェ・フイチン)は、タンクトップとサンダル姿で、屋上にある暑くて暑くてたまらないプレハブのオフィスで、エアコンもつけられずにいた。オフィスは死ぬほど暑かったが、扇風機がカラカラと音を立てながら熱風を掻き回すだけ。そんな閉め切ったオーブンのようなプレハブ・オフィスも、彼らの創業への熱意を溶かすことはできなかった。彼らは語った。

「自分たちがやりたいことをやるのだから、投げ出したりはしない。」

その後、Googleのアメリカからの提携打診の電話が、ウェブサイト成長の転機となり、愛評網のネットでの知名度はますます上がっていった。今年5月には、「生活+」への進出を奇摩(訳注:ヤフー台湾)と共同で発表し、愛評網の「旗艦店」をオープンさせた。1日のアクセス数2千PVから始まった小さなサイトは、現在、1日のアクセス数700万PVという人気サイトへと成長した。

奇摩との提携で、相互関係はライバルからパートナーへと変化

奇摩と愛評網は今年5月に提携プラットフォームを開設、奇摩の生活+の簡単なイエローページサービスは、レジャー消費情報を提供する新たな場となった。

提携のきっかけについて、最高経営責任者の何吉弘は言う。

「愛評網と奇摩はすでに昔から互いを知ってはいたが、提携の可能性については考えもしなかった。だが、その後2011年の第二四半期になって、双方が交渉のテーブルに着き、2つのサイトは、ともに、それぞれの強みを組み合わせて、新しいサービスを打ち出していくことを決定した。提携からすでに3カ月、この提携にどのような効果があったのか、皆が知りたがっている。」

副経営責任者の葉卉婷は簡単なイメージモデルを用いて、愛評網が奇摩に入り込んでいく概念を説明してくれる。彼女によれば、奇摩とは、皆にとって大きなデパートのようなものだ。その中の生活+に入ることは、愛評網にとっては旗艦店を開くのと同じことである。その旗艦店で、ネットユーザーは問い合わせをしたり、愛評網のメインサイトの情報すべてを閲覧することができる。

今回の提携を奇摩が取り上げたことで、奇摩・愛評網両サイトの成長を促した。奇摩が後押しする形で、愛評網のPVが一層増加したのだ。PVの増加は奇摩の広告枠からの誘導によるものだ。愛評網は、奇摩の中に常駐し、もともとの愛評網のコミュニティとは異なる人々と接触する機会を得ただけでなく、ホームページの動線、UI設計、データ比較、サイト訪問者の行動分析など、奇摩が主導するウェブサイト戦略から多くの情報を得ている。

創市際(InsightXplorer)が提供するcomScoreのデータによれば、両サイトが協力を発表した最初の月、サイトの閲覧数が、194.9万人から215.8万人に増加した。明らかに愛評網と奇摩の生活+の協力が功を奏したということがわかる。

台湾の市場はおとなしい、なぜ中国に進出しないのか?

愛評網のメインサイトも、奇摩と共同運営する「生活+」も、あかぬけているのに、どうして中国に進出しないのかと人は尋ねる。台湾には、小さい市場ながらもネットベンチャーの気風や期待があり、インターネット・サービス上では、中国語でコミュニケーションすることができる。しかし、台湾のローカルコンテンツは中国本土の人々の心をつかむのは難しい。

この市場規模の問題を尋ねたとき、何吉弘はあまり聞き慣れない回答をした。

「実際のところ、私達は台湾の市場は素晴らしいと思っている、思っているほど小さくもない。これは、ビジネスのターゲットをどのあたりに定めるかで決まることだ。」

創業とは「目を向けるべき市場を決めること」というのが彼の主張だ。たとえば、Facebook であれば、世界全体を見渡す必要がある。だが、ローカルなサービスであれば、むしろ現地の事情に合わせるべきだ。何吉弘は例を挙げた。

「中国にも、愛評網に似たサービスがきっとあるでしょう。しかし、そうしたサービスは、上海でなら有名になれるが、深圳では難しい。結局、多くのユーザを取り込めるわけではなく、地域が異なれば、その地域の人々に訴求するものも異なるのです。もちろん、私たちは中国に進出しません。しかし、私たちは別の選択肢を持っています。」

愛評網は、現段階では直接中国市場に進出できない。しかし、実際には、既に少なからず中国のネットユーザが愛評網で情報を探している。中国からはリュックサックを背負った客が買い付けに単身旅行で訪れ、彼らに台湾の農産物やコンテンツ・プロダクトを勧めている。これは「ある種の形の中国進出だ」と評する人々もいる。

愛評網の眼中にある台湾市場では、多かれ少なれ、産業界は独占市場を形成する方法を模索する。

「何をするにしても、一番になるべきだ。」

ここで言う「一番」とは、市場の頭20%を取ることを意味するのではない。市場の半分、いや、すべてを独占すべきと考えるのだ。

今後の課題は、中国進出ではなく企業管理

中国への進出が愛評網の現在の課題ではないのであれば、何が問題なのだろうか?

何吉弘氏は人材探しと管理が最も大変だと漏らした。

愛評網は2年連続で拡大し、2倍に成長した。人が増えた最大の経営課題、それは組織の分担、チームの協力、企業文化の確立で、それぞれすぐに取り掛かるべきものばかりだ。

さらに重要なのは、愛評網は2006年の創業から現在まで、数えきれないほどの会員情報、レストランや商品の情報を累積しており、この巨大なデータベースは愛評網の宝ともいえる。

「しかし私達はこの金脈の上で座り込んだままで、どうやって掘り返してよいかわからない。」

葉卉婷氏は、資料を分析できる人材がおらず、秘蔵の宝はあるのにそれを開ける鍵がないと嘆いている。

TechOrange(科技報橘)は、今までに何度かベンチャー企業を訪れた。しかし、いつも耳にするのは「人材を紹介してくれないか」という依頼であり、彼らが最も必要としているのは技術者、データ分析者にほかならない。ベンチャー企業がますます拡大している今、まず獲得したいのは資金ではなく人材だ。能力があり、意気投合できる社員を探し出すこと、これがベンチャー企業の抱える問題なのだ。

資料元: 創市際〈全新改版「Yahoo!奇摩生活+」上線首月即創佳績〉

【via TechOrange】 @TechOrange


著者紹介:鄒家彥(ゾウ・ジァヤン)

人々のため記事を書きたいと思っている。興味深い話、読んでほしい話、見逃せない話を執筆してきた。起きているときはリラックスし、寝ているときは夢を見るのが好き。最近見た印象的な夢は、俳優・余文楽(Shawn Yue Man-Lok)が TechOrange(科技報橘)で仕事していたシーン。

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