韓国発のソーシャル・ミュージック・プレーヤー「Mironi」、日本市場参入の意気込みを語る

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今年に入って、NanaBeatroboPalmuMashroom など、音楽スタートアップの枚挙にいとまがない。iTunes や MySpace などの登場で、楽曲のデジタル流通が増えたのが音楽業界の「第一の波」とするなら、現在は音楽を通じて自己表現し、自己流の楽しみ方を追求し、趣味趣向の合う人々と積極的にコミュニケーションしあうという「第二の波」が訪れているように思う。音楽流通の「第二の波」が意味するものは、音楽のロングテールだ。音楽業界始まって以来のパラダイムシフトが起きる中、業界関係者は次なるビジネスモデルを見つけるのに躍起だろう。

今週水曜日から、東京・台場で「第9回東京国際ミュージックマーケット(TIMM)」が開催される。日本のビジネス・パートナーを見つけるため、この展覧会に参加するため来日していた、Mironi を開発する JJSメディアのCEO イ・ジェソク(이재석)氏と、日本でPRマネージャーを務めることになる、イ・ジョンホ(이종호)氏に話を聞くことができた。

位置情報 × 聴いている楽曲で、ソーシャルにユーザをつなぐ Mironi

Mironi は、韓国で生まれたソーシャル・ミュージック・プレーヤーだ(iTunes App Store / Google Play)。自分が聴いている楽曲のアルバム名や曲名を他のユーザとタイムラインで共有、同じアーティストのファンとコミュニケーションできる、ソーシャル・ネットワークの機能も持っている。LBS(位置情報サービス)として、自分の近くに居る他のユーザが何を聴いているか、共通のファンが自分の近くに居るかなど、モバイルならではの特徴も活かされている。

音楽ファンの視点から見て、特に便利なのはライヴ情報が取得できることだろう。Mironi は、インターネット上の多数のウェブサイトからアーティストのライヴ情報を集めており、あるアーティストの楽曲を聴いている画面で、ライヴ情報が自動的に表示される。このライヴ情報は位置情報連動なので、今いる場所の近くで予定されているライヴの情報も取得可能だ。数ヶ月前からチケット予約する必要のあるメジャーなアーティストとのライヴとは対称的に、「会社帰りにふとインディーズバンドのライヴに行きたくなった」とか「土地勘の無い出張先で、ふと地元のアーティストのライヴを覗いてみたくなった」などといったニーズに応えてくれる。

ビジネスモデルを模索しつつも、本業に集中する

さまざまな行き詰まり感を感じている音楽業界にとって、インディーズを始めとする多様な音楽ニーズ(音楽のロングテール)に応えられる Mironi は興味深いサービスだろう。現在のところ、Mironi の売上は、検索されたアーティスト楽曲について、ユーザを iTunes ダウンロードに導いた際に Apple から得られるアフィリエイト収入に依存している。ライヴのチケット販売等も手がければ大きな売上に結びつくと思われるが、Mironi チームが少人数であることから、経営リソースを自社サービスの開発と海外展開(その第一弾として日本)に集中し、他サービスとのインテグレーションはパートナーと積極的に組んで行きたい意向だ。今回の日本訪問も、そんなパートナー探しの一環である。

左から、CEO イ・ジェソク(이재석)氏と、日本担当PRマネージャー イ・ジョンホ(이종호)氏

シリーズAラウンドをまもなく完了、目指すは世界

韓国VCを中心にシリーズAラウンドの資金調達をまもなく完了、日本には横浜での在住経験を持つイ・ジョンホ氏が事務所を開設し、日本のユーザ向けのサービス、ローカライズ、パートナー開発を展開していく。11月には、KOTRA(大韓貿易投資振興公社)KOCCA(韓国コンテンツ振興院)が支援する K-Techにも参加する予定で、これを足がかりにアメリカでのサービス展開や資金調達も進めて行きたい意向のようだ。これは Mironi に限らず音楽アプリ全般に言えることだが、アプリの主機能のローカライズができていれば、音楽アプリは言語障壁の影響を受けにくいので、全世界展開がやりやすい。iTunes ミュージック・プレーヤーよりも機能が多い上に操作性がよいという意見も多く、iOS のデフォルト・アプリになる可能性もあるのではないか、というのが筆者の憶測である。


東南アジアなどでは、日本のアニメやドラマを押さえる形で、K-Pop や韓流ドラマが活況を呈してきており、これは韓国政府によるエンターテイメント産業の輸出支援が成功しているからだ、と言われている。韓国のK-Tech や中国GMIC が支援するGMIC-SVなど、アジア各国の政府は直接的や間接的に、海外進出するスタートパップ支援に積極的だ。日本のスタートアップの海外進出支援は民間主導によるところが大きいが、中央政府による積極的な支援も期待したいところだ。