ファイナンスに正しい答えはない--モーションビート金子氏が語るファイナンスで意識すべき8つの考え

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事業を進めていく上で、お金の問題は欠かせないテーマだ。とくに、事業を効率的に進めていくうえでも、スタートアップはVCなどから投資をうけたりすることは多い。自己資金でまわしていくか、お金を借りるか、または、投資をうけるか。その決断、そしてタイミングによって、スタートアップが生きるかどうかが左右されると言ってもいいだろう。

モーションビート株式会社の金子陽三氏は、大手投資銀行に入社し、その後、VCや、起業の経験、そして、上場企業の社長など様々なステージの経験を持つ人物だ。

金子陽三氏が「MOVIDA SCHOOL」で語った、スタートアップにとって必要なファイナンスにおいて意識すべきことをまとめた。

選択肢の可能性を考えること

これまでは、一般的に、事業を興す際に必要な資金を集める方法として、株式の発行があった。それ以外にも親戚や友人からの借入、銀行からの融資などがある。

しかし、いまやシードアクセラレータの存在や、様々な立場のVCの存在がある。また、CAMPFIREなどのクラウドファンディングも、現代におけるファンディングの形だ。お金を集める方法はいまや複数ある。それぞれの可能性をきちんと考えることが大事だ。

事業内容に応じて、どこから資金を調達するか考える

かつてレンタルオフィス事業をおこなっていたとき、起業したてということもあり、銀行借入ができず小さな不動産ファンドを組成して調達をおこなった。不動産ビジネスは、大きなリターンが得られないこともあり、大きなゲインを求められる株式による調達も難しかった。事業によっては、リスクが高い事業や安定性のある事業など、ビジネスにおけるキャッシュ・フローのフレームがそれぞれ違う。ビジネススキームに応じて、資金調達も相性がいいところと悪いところがある。事業に応じて、調達や借入などをおこなう相手を考えたほうがいい。

事業にとって最も大切なものは何か

自分の思いが大切なのか、事業を大きくすることが大切なのか。自身のエゴを守りたいのであれば、人のお金をいれてはいけない。自分の自由なことができなくなる可能性があるからだ。逆に、上場や売却を意識して経営をしていくのであれば調達をおこなうことはいい選択肢だ。

しかし、調達をおこなうということは、経営の所有権が株式保有者になることは忘れてはいけない。株主が応援してくれるか反対してくれるか。企業の経営を中心として、なにを重点的に進めていくか、株主とともに考えていくことが大切になってくる。経営者は、株主とやりとりをしながら事業を進めるエージェントだ、という意識をもつ必要性がある。

事業をやる上で、何が大切か。それに応じた適切なファイナンスが必要だ。

ゴール地点をどこに設定するか

大型のファイナンスをおこなう際に意識すべきは、事業をしっかりと成長させなければいけない、ということだ。同時に、その事業が上場する価値があるものかも意識するべきだ。

上場したことで企業の事業価値が下がることは、上場に対して株主から大きな反対をされる可能性がある。上場するタイミングや企業としての社会的な価値を見定めたほうがいい。

上場して、その後も大きく発展していくのか。それとも、短期で事業を大きくし、上場したタイミングで大きな売却が見込めるときに売却するのか。上場後も見据えた長期的な意識か、売却視点の短期的な意識か。それによって調達の仕方も変わる。

調達時は、必要なお金を見極めること

サービスのフェーズによるが、どのくらい開発をおこない、どれくらいの期間運用できるだけの資金が必要か計算することだ。

資金を計算する際に必要なことは、当初見込んでいたKPIが正しいことを証明するために、投資した分だけの結果がでるだけに必要な資金と期間を踏まえることだ。そのためにも、ミニマム志向ではなく、ある程度の余裕がもてるだけの金額を見越したほうがいい。コストを削るのではなく、事業として必要なところにはお金を使う意識をもち、効率のよいお金の使い方を考えてほしい。

効率的な資金調達のタイミングを見逃すな

なにをやるかが明確で、それに賛同している仲間が集まっているときは、アクセラレータなどからすぐに調達すべきだ。逆に、なにをやっていいかわからないという人は、自己資金を使い模索期間をもうけるべきだ。

事業計画に沿って、事業を大きく展開するタイミングの前に資金を調達すれば、もっとも効率的に事業を進めることができる。そして、KPIを踏まえ、判断材料が揃ったならば、億単位などの調達も意識して大きく事業を成長させるタイミングを見極めるべきだ。

いつ、どこで、どのようなお金を使い、調達をおこなうか。このタイミングをしっかりと判断することはとても重要だ。

適切な資金保有比率を保つこと

あまりに早いタイミングで資金調達をおこなうと、資金の保有比率が変わってくる。事業の前と後では、事業価値が変わってくる。そのため、できるだけ前倒しで調達はおこなうべきだが、あまりに早すぎると自身の資金保有比率が低くなりすぎるという問題も生じる。

株式のシェアが下がることは悪いわけではないが、不用意に下げてもいけない。しっかりと投資家に事業のシナリオについて説明し、適切なタイミングと調達する資金額、そして資金保有率を考えることは、経営者の使命でもある。

事業のスピードと資金保有率、そして、事業のマーケット上の価値観などを意識しながら、慎重にいくとき、大胆にいくときをしっかりと見極めていきたい。

経営に正解はないからこそ、考えぬくことが大切

IPOがいいのかM&Aがいいかなど、様々な選択肢があるかもしれないが、事業としてどれが正解というものはない。経営の進め方も、やりながらみえてくるものがあるし、みえないことも多い。

唯一の答えがないからこそ、経営者は世の中を見据え、少しでも最良の判断を選択するべきだ。事業についてしっかりと考え、そして、何が大切かを意識し、適切なタイミングでファイナンスをおこなってほしい。

【U-NOTEリンク】:スクール当日にライブで記録されたU-NOTEです。合わせてご参照ください。