成功よりも失敗から多くのことを学ぶものだ。これが、Sinobeat CapitalのマネージングパートナーでFortune Chinaのコラムニスト、Ding Chenling(丁辰灵)氏の最近のブログ投稿における見解のようだ。Ding氏はとても長い投稿で、最終的には失敗に終わった17の中国のスタートアップの話を述べ、そこから学んだ教訓を分かりやすく解説している。全体を載せるにはこの記事には少し長すぎるので、同氏が取り上げた中で最も興味深いスタートアップとその教訓をいくつか紹介しよう。
企業名:Fanfou(飯否)
教訓:政治的にセンシティブなところを突いたスタートアップは上手くいかない
Fanfouは実際にはまだ存在するが、最近はSina(新浪)やTencent Weibo(騰訊微博)oなどの競合に比べると精彩を失っている。スタートしたのはこの2社よりもずっと早かったのだが。Fanfouは中国のTwitterクローン第1号で、2009年には世界はほぼ手中にあった。30万ものユーザとともに成長しており、同社はHPから大きな投資を得ていた。
同社は「センシティブな」言葉をブロックし、政治的な書き込みは最小限にとどめるよう最善を尽くしていたが、2009年7月のウルムチ暴動の後、(他サイトのホストとともに)閉鎖された。Fanfouの一時的なサービスの停止は、すでに政府との関係を築き、検閲をより良く実行していた大企業に独自のマイクロブログサービスを開発する時間を与え、Fanfouがサービスの再開を許された際にはSinaとTencentがすでにFanfouのはるか先を行っていた。
だが、この話にはある種のハッピーエンディングがある。それは、Fanfouの設立者Wang Xing氏はGrouponのクローンサイトMeituanを設立し成功しているからだ。
企業名:MySee.com
教訓:うぬぼれるな、無駄遣いするな
MySeeは何もかも手中に収めている企業に見えた。P2Pのビデオサービスは人気があった。投資はあらゆるところから集まってきていた。しかし、この会社はあまりにも早く資金を使いすぎた。数十名ほどの従業員の人件費は毎月何十万ドルにも上り、広大で見栄を張ったオフィスを20万ドル近くもかけて装飾したりしたのだ。
さらにビデオコンテンツに何十万米ドルも費用をかけなくてはならず、ほんの数ヶ月の間に200万米ドルもあった投資資金のほぼすべてを使い果たしてしまった。企業の経営陣はメディア向けの数字も誇張しており、自社を自慢するために虚偽の数字を発表していた。投資家がそれを見つけお金は入ってこなくなり、MySeeは閉鎖した。
この話にはハッピーエンディングはない。Ding氏はMySeeの設立者Gao Ran(高燃)氏を2010年に開催されたあるカンファレンスで見かけたと言うが、誰もGao氏だと気づかなかったようだ。Ding氏はまた、MySeeに投資した何人かが他のベンチャーキャピタルにGao Ran氏が関係するプロジェクトには決して投資しないようにと言っているのを聞いたこともあるという。
企業名:24quan(24券)
教訓:一緒に働ける投資家を選ぼう
このリストに名を連ねているその他の企業と同じように、かつて24quanのすべてが素晴らしく見えた。絶頂期には同社は中国で5番目に大きなクーポンサイトだった。これは当時、文字通り何千というクーポンサイトが中国にあったことを考えると決して小さな成功ではない。
だが、クーポンサイト(共同購入)業界に冬が訪れたとき最も強健な企業のみが生き残ることができた。そして、24quanがいくつかの都市で実際に利益を上げていたにもかかわらず、CEOのDu Yinan(杜一楠)氏は同社の管理体制について投資家と内輪揉めをしていた。見苦しい離婚劇と同じように、今は悪いのかを知るのは難しい。両サイドともにお互いを責め合っている結果、24quanには永久的な亀裂が生じた。
Ftuanが今でも24quanの買収に興味を示しているという噂がある。だからハッピーエンディングの可能性もあるが、そうなったとしても、言ってしまえば買収価格はとても低いだろう。
企業名:Weimian(維棉)
教訓:業界の選択は慎重に
Weimianは高級品のソックスとストッキングを販売するeコマース企業で、エンジェル投資家Xu Xiaoping(徐小平)氏の目に留まり巨額の資金を獲得した。だが、100万人民元のお金があっても同社は苦戦し、最終的には閉鎖した。その理由とは?たとえ高級品のソックスでも、ソックスはソックスだ。
中国でeコマース企業を運営する費用を賄うほど高くない。ソックスはそんなに高くないので、注文総額は比較的低いし、競合他がマージンを削って対抗してきたので、Weimianはあまり利益を上げることができなかった。最終的に同社は閉鎖した。少なくとも、Ding氏の意見ではソックスと中国のeコマースはあまり相性が良くないのだという。
もちろん、私たちが最近書いたようにXu Xiaoping氏はプロダクトではなく人に投資をする。同氏がWeimianに100万人民元を投資すると決めるのにわずか20分しかかからなかったそうだ。だから、Weimianの設立者は彼が望む次のプロジェクトでもXu氏から出資をしてもらうことができるだろう。
企業名:5 Minutes(五分鐘)
教訓:自分の知っていることに集中する
5 Minutesを聞いたことのない人もいるだろう。だが、おそらくZyngaが「Farmville」をつくるのにコピーしたゲーム「Happy Farm(開心農場)」なら聞いたことがあるのではないだろうか? 5 Minutesは「Happy Farm」やその多くのウェブゲームを開発した中国のゲームデベロッパーだったが、モバイルへの移行が裏目に出た。
今年、同社はHTML5ゲームとモバイルゲームを初めてローンチしたがウェブゲームにも取り組み続け、最終的にはどっちつかずになってしまった。同社がシリーズBの資金繰りで失敗した際、収益をもたらすようなゲームの何一つにも十分な力を注いでいなかった。
また、アプリストアで世界のデベロッパーとさらに激しい競争を繰り広げるに十分な準備もできていなかった。5 Minutesは閉鎖しているが、同じような業界でビジネスをする2つの新たな会社に分離したかもしれないという噂もある。
(だが、集中が欠けていたことだけが5 Minutesの問題ではなかった。経営側チームの経験不足によってスタッフもつらい思いをしていたし、シリーズBの資金調達に失敗したことも、おそらく経営の悪さを示したものだろう。)
さらに多くの中国スタートアップの失敗に学ぶ教訓に興味があれば、Ding Chenling氏がたくさんの事例を集めているためじっくりと読んでほしい。だがここでの大きな教訓は、これらの失敗を自ら犯すことではなく他人の失敗から学ぶことだ。
中国でスタートアップをしているなら、これらの企業が犯したミスのいずれかを自分自身もやっていないか自問自答してほしい。これらの企業はみな十分に資金も得ていたし、失敗が彼らを地面に突き落とすまでは成功への道を順調に進んでいた。あなたも同じ道をたどらないように。
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