台湾のレストラン予約サービス「EZTABLE(易訂)」のCMOに、金融業界出身者が就任した理由

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【翻訳 by Conyac】 【原文】

TechOrange は今まで数多くのスタートアップに出向き、創業者、CEO、統括本部長、開発部長などにインタビューしてきた。しかし、今までにマーケティング最高責任者(Chief Marketing officer。以下、CMO)には会ったことがなかった。ITのスタートアップになぜCMOが必要なのか。小企業は自身のプロダクトを作り、販売経路を探し、資金繰りをし、懸命に販売量を増やしていくだけではダメなのだろうか。

意外にも、金融業界出身のCMOを探していたEZTABLE

マーケティング人材を探していた理由を、「企業はマーケティングのリソースを、インターネット・スタートアップにこそ投入すべきだと証明したかったから」と、EZTABLE(易訂)のCEO陳翰林(チャン・ハンリン、通称Alex)氏は言った。陳氏は、EZTABLEがそこそこ有名になり、海外にも順調に進出しつつあることに自信を持つ一方、プロのCMOの力でEZTABLEを露出させようと考えていた。

そこで、陳氏は中租迪和(訳注:チュンツゥリーハァー=Chailease Finance。台湾最大のリース会社)に勤務していた当時からの知り合いで、銀行・金融知識を持っている友人の張耀仁(チャン・ヤオレン)氏を誘い、CMOに選任した。

なぜ、マーケティングの人材は金融出身でなければならなかったのか?

EZTABLEの考え方は、非常にシンプルだ。一般消費者にサービスを提供する(コンシューマ側)だけでなく、自社プロダクトとビジネスモデルを繋ぎ、パートナー企業の顧客サービスも向上させ、異業種提携(ビジネス側)を実現させようというのだ。さらに銀行というのは、良い切り口になる。EZTABLEのサービスと提携すれば、銀行の顧客サービスにおける付加価値を向上させる手伝いができるだろう、と陳氏は考えている。

例を挙げよう。銀行と提携すれば、毎月EZTABLEから何枚の高級レストランの引換券を銀行に提供する。もしあなたがその銀行が発行したクレジットカードを持っていて、グルメが好きならば、何枚しかない引換券を得ようと思うだろう。さらに、「この銀行のカードを持っていてよかった」と思うだろう。

銀行ならでは、緻密なマーケティング力に注目

右:CEO陳翰林氏、左:CMO張耀仁氏

張耀仁氏の話からもうひとつわかったことは、銀行しか持てないプロのマーケティング能力こそ、EZTABLEが一番重視し、利用しようとしているものだ。

銀行が持っているのに匹敵する、プロのマーケティングデータを探そうとしても、それはあまりにも難しい。クレジットカードの取引データから見える購買記録データは、銀行が持つ実力だ。誰か、どんな時間に、いくらのものを買ったか、簡単に調べられことができ、ゆえに、いつどんな組織に、どんな商品を提供すればよいか、簡単に推測できる。そして、必ず買ってくれることも予想できる。

EZTABLEにとっては、自社のサービスを利用してくれるユーザが必要である。EZTABLEは一般的な消費レベルのユーザだけでなく、高価で贅沢なグルメに熱心な消費者にも積極的にアプローチしている。しかし、このような消費者はどこにいるだろう? その答えは、銀行のクレジットカード利用者の中である。

一方、銀行にとっては、たくさんのクレジットカード利用者が必要である。発行枚数を増やすこと、イコール、カードの「価値」であり、カードの利用者には貴賓さや他では得られないサービスを感じてもらう必要がある。

つまり、銀行とEZTABLEが提携することにより、WIN-WIN の関係が成立するわけだ。EZTABLEはグルメの引換券などの生活サービスを銀行に提供でき、銀行はEZTABLEの利用者から潜在的なカード使用者を探せるからだ。この流れが続けば、陳氏の戦略はうまいと言わざるを得ない。

陳翰林氏の歩みは、今日ではなく未来のため

Tech Orange との懇談を通して、また、他のマスコミ報道を通して、陳氏は頭が良く自信家だということがわかるだろう。陳氏の仕事のやり方は速い。CMO張耀仁氏は次のように語っている。

「あの人と一緒に仕事をしてからわかったのは、どうして『朝令暮改』の人かということだよ。はははは。考えつくのも、考えを変えるのも速い。でも後からわかったのは、だからこそ、彼はいつも新しいアイデアから、最新のプロダクトを創り出せるんだ。」

陳氏は自分に必要なのは何かがわかっており、会社が長期にわたって発展するには、現状に満足してはならず、今のビジネスモデルが適用できるかを常に考える必要があると考えている。

したがって、消費者以外に、他業種の人と仕事する機会を求めて、陳氏はマーケティング部門の長を金融畑出身の人材を探すようになった。その人物を通じて、将来の銀行や大企業との提携ビジネスモデルを模索するためである。

よい起業アイデアを、なぜマネしないのか?

外国のメディアの取材を受けた時に、陳氏は以前、カメラの前で包み隠さずに言った。「EZTABLEはOpen Tableのコピーだ。」 陳氏の考えでは、Open Tableはすでに、成功を実証したビジネスモデルを示した。ならば、なぜこれを参考にして、いいサービスを台湾の人々に紹介しないのか、ということだ。

面白いことに、そのインタビューの記事に対して、「パクリ野郎!」「クリエイティビティがない」ではなく、「Alex is really cool!(アレックス、かっこいい!)」というコメントが多かったことだ。台湾であればどうだろう?

appWorks(之初創投)の Demo Day にて。
創業から3年間のマイルストーンについて。(中国語/英語)

似ていることに悩むより、自分のサービスの価値向上や差別化を考えよ

起業に際して、どこかで似たようなサービスに出くわしたことは、誰しもあるのではないだろうか。アイデアが似ていることは多いが、「このアイデアは二番煎じだ」「パクリだ」と非難されることに悩むより、その商品をさらにプラスに転じる方法を考えたほうがよいのではないか。

EZTABLE は大胆にも Open Tableをマネしていると認め、台湾のレストランネット注文サービスに集中している。その成果はいかに?

メンバー10万人、協力レストラン300店、月の注文数15000件、そして中国大陸市場への進出。

ちなみに、今年の始め、EZTABLEはロシアの投資顧問会社(Rose Park Advisors)から150万ドルもの資金調達を行った。

【via TechOrange】 @TechOrange


著者紹介:鄒家彥(ゾウ・ジァヤン)

人々のため記事を書きたいと思っている。興味深い話、読んでほしい話、見逃せない話を執筆してきた。起きているときはリラックスし、寝ているときは 夢を見るのが好き。最近見た印象的な夢は、俳優・余文楽(Shawn Yue Man-Lok)が TechOrange(科技報橘)で仕事していたシーン。

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