Startup Genome:シンガポールはスタートアップ資金は豊富だが、文化的な弱点を抱えている

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【翻訳 by Conyac】【原文】


世界中のスタートアップエコシステムをランク付けするStartup Genomeは、最新版レポートで多くの数字や事実、統計を公開した。しかし、これら都市の起業家たちにとってどんな意味があるのだろうか?

シンガポールの場合、しばしば同国で言われてきたことがレポートで裏付けされている。政府や活発なプライベートセクターからのスタートアップ資金が豊富なのにも関わらず、滞った流れは解消されていないようだ。抜本的な改善が見られない限り、シンガポールのイノベーションが生み出す収益は投資額に見合わないままだ。主要なインフラ整備と考えてみれば、例えば高速道路なんかは、それほど利用がないのに巨額の経費を費やしている。

この問題を最初に取り上げたのはStartup Genomeではない。Inseadが発行した昨年のGlobal Innovation Index(世界イノベーションランキング)では、シンガポールの各機関による投資とイノベーションの結果の間に生じている大きなギャップについて特筆している。レポートによると、「シンガポールのイノベーションの効率指数ランクは低く(高収入国で37位、全体では94位)、相対的にパフォーマンスの弱い収益副指数にも現れているように、全体で17位(科学分野収益で17位、クリエイティブ分野収益で33位)である」。

続きを見る前に反論したい。Startup Genomeは様々なソースから500のスタートアップに関するデータを集めている。それは重要なことのようにも見えるが、データの信憑性については不透明だ。Startup CompassとCrunchbaseやAngelistといった公的なデータソースからどうやって情報を集めたのか、配布されたデータはどこまで完全なのか、アジアのスタートアップにはシリコンバレーのスタートアップに比べてどれだけ透明性があるのかがわからない。

しかし、Startup Genomeがデータを精査する間に既に私たちが知り得た情報から洞察してみてはどうか。それが不完全なものであるかもしれないのと同様に、現時点ではStartup Genomeが完全に公式なデータソースなのかもしれない。そしてこれがシンガポールに関するレポートだ。エコシステムは現在20都市のうち17位、資金と才能では高いスコアが出ているが(両方とも8位)、その他は全てほぼ最下位である(16位から20位)。最高水準の中で遅れているというのは悪いことではないが、それは筋が違う話だ。吟味すべきなのは、資金や才能と起業家活動のあいだにあるギャップなのだ。

少し話を掘り下げよう、シンガポールの起業家は特にアーリーステージでは投資も助成金も選びたい放題なのだ。Startup Genomeの定義では、相応の経験と専門性を備え、リスクを軽減する能力があり、スタートアップの成功事例もある有能な人々なのだ。

シンガポールの起業家も仕事熱心だ。1日あたり平均11時間の労働時間はシリコンバレーの9.95時間をはるかに凌いでいる。トップ20のエコシステムの中で、バンガロールを除いて10時間を超えたところはない。

しかしこれ程仕事に打ち込んでも相応な利益は得られていない。シンガポールは起業家全体の活動を測るStartup Output Index(スタートアップ収益指数)で最下位で、パフォーマンスとスタートアップの潜在性を測るPerformance Index(パフォーマンス指数)では19位である。また、設立者の熱意や柔軟性、リスク選好度を測るMindset Index(思考指数)でも最下位だった。総合すれば、これらの指標はシンガポールが飛躍できない根本的な問題、文化的弱点を表している。

私の言葉を信じないでほしい。Plus Eight StarのCEOで設立者のBenjamin Joffe氏に聞いてみよう。彼は「シンガポール人はスタートアップエコシステムの鍵となるインフラとポリシーを理解しています。アーリーステージでは資金は用意されているので、後の段階でグローバルファンドが投資してくれる良い企業を探せばいいのです。まだ何が足りないかって?文化的要素です。リスクを恐れず失敗に耐え、より良い模範と自己PRスキル、そして鍵となる市場への強力なアクセスです」。

シンガポール人は賢い人々である。シンガポールには最高級の教育システムがあり、有能な人材を輩出しており、彼らは自身の行動に誇りを持っている。しかし、奇想天外なアイデアに賭けて、それを数十億ドルの会社にしようというような人が少なすぎる。そして、手厚い政府の仕事や多国籍職業の快適さを好む学者が多すぎる。勇気を持って一歩踏み出そうとする人たちは、シリコンバレーの同業者のような洞察力に欠けている。

最終的には、つまり数の勝負ということになるのだ。ハイリスク選好者を育て、成功できる起業家を育てられる社会が勝者なのだ。

自国の文化的欠損を認識しているシンガポール政府も同じ数の勝負をしている。最近、国務大臣のTeo Ser Luck氏が政府がスタートアップハブとして指定し、起業家がひとつの建物に集まって協働できるBlock 71を視察した際に同行した。

この場所はシンガポールのスタートアップ志願者たちの展示室である。ガレーのような環境は、かつては各国要人を驚かせた。中にはイスラエルのスタートアップエコシステムに多大な影響を与えた書籍を著した有名なイスラエル系アメリカ人ジャーナリストもいた。

しかし、Block 71は解決策の一部に過ぎない。ある起業家が言うように、コミュニティがあるためには環境は想像性が伴わなければ生かされない。Block 71は居住者の基準を上げることしかできない。

政府もこのことを認識しており、将来への展望から、最近中学生以降に対して起業家精神を向上させるための新しいプログラムがローンチされた。理にかなったわかりやすいプログラムだが、失敗した場合は企画が悪かったのではない。やり方が悪いのだ。

それでも、シンガポールに欠点があっても同国は適切な方向に向かって進んでいるようだ。起業家精神はこれまで以上に擁護され、鉄板碗(すべての国民に保障された基本的生活水準)という考え方は今も魅力的である一方で、シンガポール人は今や同僚や家族のサポートを得て夢を追うための適切でより大きな環境を手にしている。

シリコンバレーは世界一のスタートアップエコシステムという地位を固めるのに何十年もかかったが、それと比較すると、シンガポールは幾度もの悪い出だしを経験した後に、その旅路を6年前に始めたばかりだ。そんな短期間でトップ20にランクインしたのは悪い結果ではない。

Startup genomeの詳細を、チェックしてみよう。

【via SGE.io】 @SGEio

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