日本のCtoC事業は決済に関して発展途上−ゼウス地引氏が語るEC事業と決済のこれから

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スタートアップだけでなく、あらゆる企業にとって決済に関する意識は必要不可欠だ。

これまではリアルの店舗であれば商品が目に見える形で商品の品質や管理をおこなうことができたが、ECの登場によって様々なコーマスの事業を展開することができる。そうしたときに、品質管理のみならず決済などのお金の問題を考えることを怠ってはいけない。

ゼウス代表取締役の地引一由氏は決済代行会社として日々カード会社との交渉をおこない、EC事業者やプラットフォーム事業者の決済関係に携わっている。同氏が起業家向けスクール「MOVIDA SCHOOL」で語った、EC事業として大切な意識と決済のこれからについてまとめた。

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ECはビジュアルデザインだけではない

前職はデザイン会社に勤務していたこともあり、ビジュアルデザインを重視していたが、ゼウスに社員として入社すると必ずしもビジュアルデザインが優れているものだけ売上がよいわけではない、ということを痛感した。なぜ売れているか。企画営業部として働いている中で、加盟店である顧客の売上と満足度を高めることを第一に考えた。ECは普段何が売れているのか、日頃の運用に何を悩んでいるのかをヒアリングし提案してきた。

決済代行という業務だけでなくECを運営する加盟店がなにを欲しがっているのか、どうすれば顧客の満足度を向上させることができるのかを大切にしてきた。

ECで売るための顧客のニーズを捉える

どうすればモノが売れるか。リアル店舗での競合分析は、プロモーションが可視化しにくいので困難である。一方でECは、顧客との接点がメールがウェブであるため分析は容易だ。メルマガやウェブの検索、リスティングのワードやアフィリエイト登録など様々あるが、どれも多少の時間を掛ければプロモーション手法が見えてくる。

ウェブしかないからこそ調査をしっかりおこない、競合売上の要因分析によって売上向上のための対策を練る。それはソーシャルメディアが使われるようになっても同様だ。効率化と数値化を図り、顧客満足度を高めるという基本は変わらない。

自社の事業と目的を達成するための柔軟な意識をもつ

事業者でサーバーや決済などの機能といったインフラ関係の固定コストに対して、シビアな考えをもっている人は多い。できるだけ固定費は安くしたいという思いがそこにある。一方で、広告などユーザー数の獲得などの目に見える価値に対しては事業者は多くの予算をかける。

そこで、広告事業者と提携し顧客に提案することを考えた。トラフィックが生まれ、売上があがれば決済手数料も上がる。自社の事業を間接的に増やす仕組みをつくり、顧客のニーズに応えることで事業を展開していく。事業本来の目的と、それを達成するための「ビジネスは何か」を柔軟に考えることで見えてくるものがある。

1−10の意識をすぐにもて

しばしば、0−1の意識と1−10の意識があるといわれる。スタートアップの多くは0−1のフェーズだ。スタートアップは世の中にないサービスをつくる人たちであり、最初は競争が少ないかもしれない。しかし、大きな企業や大資本がきたらすぐに追従される。そのときから大手と戦う準備をしておかなければいけない。

競合がいないからといって油断をしていると足元をすくわれることがある。だからこそ、すぐに1−10の意識をもち、その分野を牽引していく考えをもってもらいたい。

日本のCtoC事業は決済に関しては発展途上

決済としてカード会社の審査をクリアするためには、加盟店管理を厳重にしなければいけない。売ってはいけないものが販売されたり、実際に何が売られているのかを管理しないといけないからだ。それはリアルの店舗もインターネット販売も同様だ。

リアルの店舗では店舗内の商品が見えるため販売している商品を把握することは容易だが、オンラインだとそれが難しい。オンラインでは、ユーザーから見て、販売責任の所在がどこにあるかが不明瞭であるケースが存在する。

そのため、日本におけるCtoCやCtoBtoC事業は決済に関してはまだまだ発展途中だ。プラットフォーム事業者としての加盟店管理や契約、決済関係の業界におけるルールがまだまだ時代のニーズに追いついていない。商品管理やリスク管理などをおこない、業界全体として改善や提案をしていくことで、カード会社との交渉を進めていかなければいけない。

業界全体の決済のこれからを考え提案していく

取引実績の乏しい加盟店が、決済に関してカード会社にかけあったり審査依頼をするのはとても難しい。だからこそ、決済代行会社は事業者に代わって発言力を大きくすることで加盟店ができないことをやることに意義があると考えている。

日本のカード会社にとってCtoCやスクール事業などの中身の品質を問われる事業のカード審査は一般的に通りにくい。真っ当な事業で少しでも多くの人たちのニーズや満足度に応えようとしている事業者がいるのに、一部の不当な行為をしている人によって業界全体が萎縮し、審査が厳しくなっては経済が回らなくなる。

カードというお金の代替手段の利便性を時代のニーズにマッチさせ、市場を活性化させることは重要。少しずつだが、業界の在り方やルールを時代に応じて変えていく努力をしてゆくつもりだ。スタートアップもサービスの品質管理をしっかりして、サービスのみならず業界としてのこれからのあり方を考えながら事業を進めて頂きたい。