中国の位置情報サービスは、Momo(陌陌)は当初から魅力的なサービスを展開してきた。サービス提供からわずか1年でMomoはすでに2000万以上のユーザを獲得している。続いた資金調達のラウンドでMomoは収益0ドルにもかかわらず、1億米ドルもの価値がつけられた。
模倣とは、褒め言葉よりも誠実だ。特に今は中国のことを話しているので、誰かがMomoの成功を真似して何か行動を起こしていても特に驚くことではない。先日、Momoは中国で有力なソーシャルメディアプラットフォームSina Weibo(新浪微博)がMomoのサービスを1つ1つ真似していると訴えた。
Momoの苦境には同情せざるを得ない。質の高い製品を作り上げ、一夜にしてセンセーションを巻き起こすことはありふれた出来事ではない。Momoはインターネットを活用した企業拡大の古典的な戦略を用いているので、Sina Weiboの攻撃でMomoの大変な努力や幸運が水の泡となりつつある。
Sina WeiboがMomoのクローンを狙っていることによって、Momoはユーザ、同業者双方から多くの同情を受けるに違いない。だが、それはほとんどの人がSinaを非難しても、まさに自分が非難しているサービスを利用するという事実が変わるわけではない。
要するに、ほとんどの人はつまらない争いをいちいち覚えていられないのだ。ニュースを読めばそのいくらかがわかるし、おそらく幾つかの記事に憤慨するだろうが、しばらくすると新しい話題に移り、これまで生活してきたように生きるのだ。
数年前、作家Malcolm Gladwell氏はある記事の中で、今や人々は世の中の不正に対して実際に何かをすることをFacebookの「いいね」ボタンと同じようにしか捉えていないと指摘していた。Gladwell氏が言いたかったのは、「『いいね』するだけで物事を片付けてはならない。何かを変えようと思うならそれに対して行動を起こさなければならない。そして時にはつらい犠牲も伴うのだ」と。
著書「スタンフォードの自分を変える教室(原題:The Willpower Instinct)」の中で、Kelly McGonigal博士はmoral licensing(編者注:自分自身に享楽的な行動を取る許可を与えてしまうことの意)、つまり、何かに「いいね」をすることは、逆効果さえあるかもしれないと指摘する。研究によれば、マクドナルドがメニューにサラダを提供するだけで、人々により一層ビッグマックを食べたいと思わせることができるという。消費者は野菜が提供されたのを見ただけで単純に健康的なものを食べていると思い、一層多くの肉を食べるようになってしまうのだ。
同様に、ネット上に自分の不満を投稿することは対処法としてはふさわしくない。確かに嫌な感情を発散させていろいろな人からのサポートしてもらうのは気持ちいいかもしれないが、最終的には自分のためにはならないのだ。サポートしてくれる人たちは自分が正しいことをしていると思い、それによって実際に自分たちの行動を変えるような辛い選択をするのが困難になってしまう。
映画「フーリガン」でElijah Woodはハーバードからロンドンまで移動し、サッカー暴徒のフーリガンに加わる。大喧嘩の前、彼の妹は「アメリカ人は誰もお兄ちゃんのイギリスでの評判なんて気にしないわよ」と言って行かないよう助言する。同じ助言はTMT(テクノロジー、メディア、通信)業界にも当てはまる。言葉というものは自分の周囲の狭い範囲でなら届くだろうが、広い世界の人々から反応が返ってくることはないだろう。もっとうまく対抗する方法についてよく考える必要がある。
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