Hacker Newsで評判のワイヤーフレーム作成ツール「POP」、アメリカやシンガポールの投資家の関心をひく

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【原文】

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二日酔いというのは通常、不快なものだ。しかし、POPの共同設立者である台湾のBen LinLeo LinShao-Kang Leeの3氏にとって、お祭り騒ぎの後にやってくるこの悩みに薬となる良いニュースがやってきた。彼らのアプリがすごい勢いでダウンロードされ始めたのだ。

これを「嬉しいサプライズ」と呼ぶのは控えめ過ぎるだろう。どちらかというと、宝くじを当てたようなものだ。多くのスタートアップは何ヶ月もの間、牽引力を得られないまま、重い足どりで歩くことになる。しかし、POPの場合、2ヶ月前のローンチパーティからずっとお祭り騒ぎの真っ最中なのだ。

事が起こり始めた時、彼らはみんな酔っ払っていた。しかし、Shao-Kang Lee氏だけは冷静に目の前で起こっている爆発的な数字を追いかけた。同アプリはこれまでのところ、Hacker Newsにおいて304票を獲得、ダウンロード数は65,000となっている。デザイナー向けのiPhone用ワイヤーフレーム作成というニッチなアプリにしてはかなりの数字である。

ここには運以上の何かがある。プロトタイピング・オン・ペーパー(見本を紙の上で制作する、という意味)の頭文字を取ってつけられたこのPOPというアプリには、ユーザの心をつかんではなさない、興味をそそる何かがあるのだ。

簡単に言うと、同アプリはユーザがモバイルアプリをデザインする際、ペンで紙に描いたスケッチを同アプリ内に取り込み、アップロードし、さらにそれをリンクしてインタラクティブなプロトタイプを制作できるようにするというものだ。デザイナーたちは標準的なワイヤーフレーム作成ソフトのインターフェースにわざわざ慣れなくてもよくなり、より手軽にアプリをデザインできる。

デザイナーとデベロッパーの間で意思疎通に問題が生じるのはよくあることだが、同アプリはこれにも解決策をもたらす。POPではインタラクティブなスケッチ帳が用意され、UXデザイナーはインターフェースがどのような仕組みになっているのかについてずっとうまく説明することができるようになる。アプリの動作を説明するのに、デベロッパーの想像力に頼らなくてもよくなるのだ。

POPを利用することで意思疎通の問題が減り、最終的には時間と費用の節約にもなる。同アプリのシンプルさがHacker Newsにおいてファンを引き寄せた。今では、子供たちでさえ親と一緒にモバイルゲームをデザインするために使っている。これは同チームがまったく予想しなかったユーザ層である。

そして、シンガポールや米国の投資家さえも今では興味を持っている。

私は土曜日(12日)の朝、シンガポールのオーチャードロードのカフェでShao-Kang Lee、Leo Linの両氏に会った。Shao-Kang Lee氏は明らかに疲れているようで、Leo Lin氏は少しよそよそしく思われた。それも当然のことだろう、両氏はちょうど投資家やアクセラレータとのたくさんのミーティングを終えたところだったのだから。

私たちとのミーティングは両氏のシンガポールにおける資金調達の最後の予定で、それが終われば飛行機でシンガポールを離れる予定だった。そして、次はサンフランシスコへと向かうのである。

Lee氏は「働き過ぎ」という単語を、何度も何度も会話の中で使った。スタートアップの創設者たちは皆、必死で働くという意味で述べたわけではない。このクレイジーなペースで続く成長にどう対応すればいいのか、という意味で彼はその言葉を使ったのだ。

ダウンロード数があまりにも急激に増えたため、適切な収益モデルをじっくり考えて、導入することができないという問題に彼らは直面していた。ちょうど今も、彼らは調整に必死で取り組んでいる。同アプリはこれからも無料で利用可能となる予定だが、パワーユーザにはいずれ有料になるかもしれない。

ダウンロード数が多いというのは非常に素晴らしいことではあるが、同チームは別の評価指標の向上に取り組んでいる。Lee氏が私に話したところによると、これまでに4万件のプロジェクトが作られ、各プロジェクトに利用されるシートは平均7枚だという。

これは励みとなる数字だ。なぜなら、人々が同アプリでインタラクティブな機能を利用して、ワイヤーフレームを実際に完成させていることを意味するからだ。

彼らは将来、各ユーザの平均プロジェクト数、そして収益システム実装後にはプレミアムサービスのコンバージョン率を含む他の評価指標に注目することになるだろう。

同チームは断固として台湾から引っ越すと主張している(「台湾にはスタートアップのエコシステムが存在しないからだ」、とLee氏は述べた)。彼らがどこに移転するか決定を下すのは、シリコンバレーのエンジェル投資家たちと会ってからのことだろう。

もしすべてがうまくいくなら、さらにもっと多くのパーティーが開催されることを期待しよう。

注:WOOMOOとはPOPを開発した企業の名前だ。

【via SGE.io】 @SGEio

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