だが、特筆しておかなければならないのは、ソーシャルメディアを利用する中国のネットユーザの比率が他のいくつかの国よりもはるかに大きいことだ。We Are Socialは、中国のネット人口の91%がソーシャルメディアサイトにアクセスしていると推測している。そして、そのうちの88%がソーシャルメディアのアクティブなユーザだ。これと比較して、アメリカでソーシャルネットワークサイトにアクセスしているのはネット人口のわずか67%にすぎない。
またWe Are Socialの調査により、「Tencent(騰訊)が業界を掌握している」という中国ソーシャルメディア業界で長くに渡って言われている事実も再確認できる。ネット企業大手のTencentが提供する様々なサービスにはQZone(Q空間)やTencent Weibo(騰訊微博)、Pengyou(朋友)などがあるが、同社のサービスは中国ソーシャルメディア活動全体の56%を占めている。そして、Sina WeiboとFacebookクローンのRenren(人人)がTencentの後を追う最もシェア率の高いサービスで、それぞれが市場の約19%を保持している。
だが、We Are SocialのマネージングディレクターSimon Kemp氏は、モバイルが同業界に大きな影響を与えているとThe Next Webに語っている。同氏は、Tencentの別のサービスWeChat(もしくはWeixin)を例に挙げてその点を説明している。WeChatは最近、ユーザ数が3億人を超え、ここ4か月の間だけで1億人のユーザを獲得したことを発表した。
Stuart Tohmas氏が執筆したこの記事はもともと、受賞サイトのMemeburn(Memeの発音はミーム)で掲載されたものだ。Memeburnは、主に新興市場の新しいテクノロジーを追跡し、イノベーション、モバイルテクノロジー、スタートアップ業界、総合的なテック文化やオンラインビジネスの分野に関する記事を紹介している。このコンテンツはMemeburnのライセンス許可のもと再掲載されている。
2011年(タイ太陽暦2554年)に5人のチームでスタート、現在は7人のチームでタイ語と英語のサイトを運営している。チームの全員は本業を掛け持ちしており、Mimee 自身は、一般企業でコンサルタントをしつつ、ThumbsUp を切り盛りし、スタートアップ・イベントをオーガナイズし、さらに、タイの衛星ニュースチャンネル「SpringNewsTV」で、「Thailand Can Do」というIT番組のプレゼンターを務めるという、多忙な日々を送っている。
タイには AIS、DTAC、TRUE という3つのテレコムキャリアが存在するが、全社共スタートアップ向けの表彰プログラムを持っている。問題は、この3つのキャリアが行っているプログラムに大きな差異が無く、どのイベントに行っても、同じ顔ぶれのスタートアップが上位を独占してしまうらしい。コミュニティを大きくして、もっと多くのスタートアップが出て来るようにせねば…というのが彼女の思いだ。現在は、タイのスタートアップを海外に進出させることに注力しており、4月4日~5日にシンガポールで開催される Startup Asia Singapore でも、タイのスタートアップについて講演するとのことだ。
Vincent Sethiwan & Permsiri Tiyavutiroj from LAUNCHPAD
Vincent は以前、ピッツバーグのアクセラレータ Alpha Lab に参加していて、タイに帰国後、日系のコンサルティング会社に務めている際に Sam と知り合った。二人は自分たちのスタートアップ経験をもとに、インキュベーション・プログラムを3月中頃からスタートする予定だ。彼らの口からも、Mimee が言っていたのと同じような話を聞くことができた。
後述するバンコク在住で The Next Web のアジア特派員を務める Jon Russel も、コージーなこの空間を好んで、HUBBA でニュースを執筆することが多いそうだ。近くに日本料理レストランや居酒屋が多いこともあり、日本のスタートアップがタイ進出の拠点にするにも都合がよさそうだ。
Jon Russel from TNW & Paul Srivorakul from Ardent Capital
Jon Russel(右)と筆者 (Photo by Elisha Ong, Burpple)
The Next Web の Jon Russel とは、シンガポールの Echelon で会って以来の再会だ。筆者と The Next Web は、同サイトが立ち上がって間もない頃に創業者と連絡を取り合っていたり、寄稿を誘われたりもしていたので、意外と親密に連絡を取り合う間柄だ。彼の書く記事は、例えば、それが東京に本拠地がある日本の会社のニュースであったとしても、東京にいる SDJapan よりも早くて正確で、シンガポールの Tech in Asia よりもインサイトフルであることが多い。
Jon は、バンコクを離れる前に会っておくべき人物として、Paul Srivorakul を紹介してくれた。Paul はバンコクを拠点に東南アジアにフォーカスして投資する Ardent Capital の創業者で、最近では、e27 に共同出資している。これまでには NewMedia Edge、Admax Network、Ensogo Group を創業、それぞれ、STW Group、Kimil Media、LivingSocial に売却している。
今回会った人物から得たインサイトを集約すると、タイのスタートアップ・シーンは、まだまだこれから…というのが私なりの理解だ。成功したスタートアップとして、Oakbee(関連記事)、Wangnai(関連記事)、Builk(関連記事:Startup Dating サロンでのピッチ)の名前がよく取り沙汰されるが、そもそも「タイのスタートアップにとっての成功とは何か」というと、シンガポールで資金調達し、タイ国外でもサービスを展開することなのだそうだ(Vincent Sethiwan談)。いわゆるシリコンバレーのスタートアップのマインドセットには程遠く、自戒を兼ねて言及するなら、日本のスタートアップのマインドセットに近いのかもしれない。
アジアのご多分に漏れず、タイには日本人や日本製品に対する信奉者が数多い。タイ国内ユーザ数は、Facebook 1,830万人(※1)に対して、LINEは 1,227万人(※2)。前出の Jon Russel は、このことを「なかなか、いい感じの数字」と言っていた。タイ警察では捜査情報の共有プラットフォームに LINE が採用されるなど、日本産アプリの現地定着を説明するには好例が生まれつつある。