人を惹きつけるコンテンツを生み出すためにマーケターが身に付けるべきクリエイティビティとは? #IM2013TOKYO

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2月25日に開催された「INBOUND MKTG 2013 TOKYO」。三番目のセッションは「Thinking Lovable Content and Marketing – 人を惹きつけ、愛されるためのマーケティングとは?そのためにマーケターが身につけるべきクリエイティビティとは?」というテーマで行われた。

ゲストには、good design company代表の水野 学氏。デジタルコミュニケーション・エージェンシー、株式会社インフォバーンの増田 隆幸氏。フリーランスのコミュニケーション・デザイナー、河野 武氏の三名が登壇した。

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マーケティングが人々にとって邪魔者ではなく、人に好かれるためのものになることを目指すことが必要になってきている。最後となる本セッションで登壇したゲストの方々は、「インバウンドマーケティングの実践者じゃなかったとしても、同じように目的を定める優良なコンテンツづくり、潜在顧客へのアプローチを考える人たちを招聘した。」とモデレータを務めた高広氏は語った。たしかに、それぞれの領域で活躍している三方が同じステージで語る姿はとても新鮮なものだった。

クリエイティビティに訪れた変化

「クリエイティビティに訪れた一番大きな変化は?」という高広氏からの質問に、水野氏は「市場のドーナッツ化」という表現を用いたのが印象的だった。

水野氏「市場のドーナッツ化が起きてると思っています。企業がマーケティングを突き詰めていき、差別化を繰り返しているうちに、顧客のニーズの中心からズレた輪ができてしまっているのではないかと。本当は、消費者は中心の部分を食べたかったのではないでしょうか?」

また、水野氏はデザイナーに騙されている企業が多いと感じる面もあると語る。

水野氏「外から見ていても、デザイナーのごまかしが効いている商品、サービスのケースが多いように感じます。見た目だけではなく、きちんとユーザーのために最適化がなされているかを見極めることが必要です。デザイナーに騙されないようにするには、デザインに対するコンプレックスをなくすこと。デザインはセンスより知識だと私は考えています。デザインに対するリテラシーを向上させることが重要です。マーケターも自分の領域の周辺リテラシーを高めていくことが大事なのではないでしょうか。」

企業に必要なリテラシー

自社でもギズモードなど有名な媒体を複数運営し、企業のオウンドメディア構築を実施しているインフォバーンの増田氏と、「最愛志向のコミュニケーション戦略」を提唱している河野氏は、「読者側のリテラシーが向上する中で、企業に必要なリテラシーとは?」という質問にこのように回答している。

増田氏「企業はサービスのプロではありますが、情報提供のプロではありません。そのため、読者目線に立つ際、自分の視点を入れつつコンテンツを作っていくこと。インフォバーン代表の小林弘人は、雑誌はその雑誌を取り巻くコミュニティこそが最も重要だると主張しました。まず企業側が自分をさらけ出し、コミュニティの一員としてお互いをさらけだすことができるような発信を心がけることが必要になると思います。

河野氏「Web上での人との付き合い方は、あまりなれなれしくなく、かといってよそよそしくもないようにしなくてはいけません。私が仕事で企業向けに研修を実施する時、まずソーシャルメディアで話しかけて良い状況かどうかを判断するトレーニングを行います。細かい配慮が重要なのです。

人を惹きつけるコンテンツの発想法

水野氏「消費者を仲間に入れることが重要です。以前、お笑い芸人にドッキリを仕掛ける企画を行いました。その際、ドッキリのことを知らないのはお笑い芸人本人のみ。消費者は一緒にドッキリをしかける仲間という構図。一緒に参加できるようなコンテンツや機能を用意することが大事です。

増田氏も消費者を共犯者、仲間として接し、本音でコミュニケーションをとっていくことが重要だと語る。これは基調講演で話されたインバウンドマーケティングにとって重要な「Authentic(嘘をつかない)」という考え方にも通じる。その上で、弱み、突っ込みどころ、隙を見せていき、消費者に関わる余地を与えることだという。

河野氏は、北欧雑貨、北欧食器のネットショップを運営するクラシコムを引き合いに出しながら、コンテンツの文章を書く際に大事な心構えを「自分が書きたいものでも、大勢の人が読みたいと考えるものでもなく、自分が読みたいと思ったものを書くこと。」だと語った。

今回、「INBOUND MKTG 2013 TOKYO」で行われたセッションの内容をお伝えした。デジタルマーケティングは、Sd Japanの読者にも多いスタートアップの人々にとってもチェックしておかなければならない領域ではないかと私は考えている。今回のレポートが、皆さんのマーケティングに少しでもヒントになれば嬉しく思う。

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