何をやるかよりも誰と組むか−−ピクシブ片桐・永田氏が語るビジネスに必要な「こだわりとパートナーシップ」

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サービスを作るにあたって大切なのは、どのような思いで開発するかだ。成功しているサービスの多くは、開発者たちの顔や考えが色濃く反映されている。大きな成長を果たすためには、徹底したサービスに対する思いやこだわりを持つことが求められる。

600万人以上のユーザを誇る世界最大のイラストSNSのpixivは、今も日々数万以上ものイラストが投稿されており、日本のカルチャーを発信する大きなプラットフォームとなっている。

ピクシブの片桐孝憲氏と永田寛哲氏が「MOVIDA SCHOOL」で語った、事業に対する哲学やサービスづくりにおける大切さ、パートナーシップについてまとめた。

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サービスは、何を理念とするか常に考えろ

mixiがそうであるように、良いサービスは口コミによって広がり、そこから次第にビジネスになっていく。そう考えていた時に、旧友であった永田氏と再会し、意気投合し自社サービスを作ることになった。2007年当時イラストレーターの発表の場が少なく、イラストレーターのギャラリー兼SNSサービスが必要だと考えたのが、pixiv立ち上げのきっかけだ。リリースから20日間で1万ユーザが集まり、pixivの擬人化されたキャラの「ピクシブたん」のユーザ企画が自発的に立ち上がるなどし、そこからサービスが成長していった。

pixivの理念は、リリースした当初は「より多くのイラストを集める」だった。これはGoogleの「世界の情報を集める」を例にするように、シリコンバレー的な思想をベースにあらゆる情報を集めることが、ビジネス展開できるのではと考えた。しかし、リリースから1年がたつ時にユーザから再度「ピクシブたん」の漫画企画が立ち上がり、イラストレーターたちのイラストへの思いに改めて気づかされた。そこで「ピクシブたん」を公式企画化し、pixiv一周年イベントを開催。応募作に書かれた「お絵かきは楽しす」の言葉に感動し、それをもとにコンセプトを刷新。「お絵かきがもっと楽しくなる場所」へと理念を変更した。

これは、当初考えていたシリコンバレー的思想からは外れているかもしれない。しかし、使っているユーザたちが楽しめるよう、ユーザを第一に考えた結果だ。本当に大事なものは何か、それらを常に考え理念に落とし込んで欲しい。

互いに相補関係にあるパートナーを選ぼう

起業直後やサービス開発直後は、毎日失敗の連続だった。事業の途中でお金が尽きる時もあった。こうした辛い状況に陥りがちだからこそ、創業時のメンバーは友達同士でなければストレスに耐えられない。事業を進めていく上で大事なのは、事業の成功や失敗よりも働く環境が快適かどうかだ。ストレスなく仕事ができる環境からいいサービスは生まれやすい。

メンバーそれぞれが相補関係になるのも大切だ。例えば、片桐氏はウェブ的な発想や大胆なアクションができ、永田氏は実務的な仕事やビジネス戦略を組むのが得意なように、2人とも互いに自分に持っていない能力をもっている。自分と出来る能力が同じ相手だと、意見が対立した時に出し抜こうと思う気持ちが芽生えてくる。だからこそ、自分の不得意分野を得意とする相手と組むべきだ。自分が不得意な能力を持っているパートナーだからこそ、どんな状況であってもこいつがいないとダメ、という補完しあう関係になる。

どんな優秀な起業家も、一人では何もできない。一人の起業家とそこに集まる仲間たちが互いに力を合わせることで、世界を変えていける。何をやるかよりも、誰と組んでやるかが重要だ。

パーソナリティに合った事業や役職を選べ

自社サービス含めた事業は、起業家自身のパーソナリティと合っていなければいけない。多くの成功しているサービスは、起業家のパーソナリティと通じるものが多い。自分に合っているからこそ、サービスを開発する時も飽きずに楽しくやり続けられる。

社内の役職も、パーソナリティによる適材適所を踏まえて配置しよう。神田昌典氏が提唱する「桃太郎理論」のように、アイデアと行動力がある起業家の桃太郎役、戦略を組みアイデアを形にする実務家のイヌ役、作業のシステム化や効率化を図る管理者のサル役、グループ全体をまとめ調整役を担うキジ役といった、各々の役職とパーソナリティとの関係性も重視すべきだ。事業を円滑に運用するために必要な考えだと認識しよう。

危機的な状況こそ、飛躍のチャンス

会員が30万人を越えた2008年当時、事業の黒字化を図ろうと資金調達を計画していたが、リーマンショックの影響により不可能となった。調達ができなくなったことで、自力で収益をあげる必然性がでてきた。いかに収益をあげるかに奔走した結果、半年後の2009年にサービス単体での黒字化を達成。こうした苦労の経験が、現在のpixivに活きている。

危機的な状況や制約が多いときこそ、様々なアイデアやクリエイティブな発想が湧いてくる。ピンチの時こそ、そこには飛躍のチャンスがあると考えよう。

受託を経験して分かった「仕事の方法」

pixivが軌道に乗るまでは、受託開発で収益を上げてきた。起業当初は請求書の書き方も分からない状況だったが、やらなければいけない状況の中で仕事の仕方を覚えていった。顧客に接する大切さやお金を稼ぐ意味を身をもって体験できた経験は、現場を通じて得られるものが大きい。

自分で仕事をつくっていく経験など、仕事に対して能動的な意識をもつことの大切さは受託で学べることが多い。いきなりスタートアップをするのもいいが、受託の経験を通じ”ビジネス”の感覚を得ることも大切だ。

U-NOTEリンク】:スクール当日にライブで記録されたU-NOTEです。合わせてご参照ください。

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