2013年上半期のアジアのテックイベントを一挙紹介

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毎年春以降は、アジア各国でテックイベントが目白押しだ。アジアや世界のその他の地域に、自分のプロダクトやサービスを露出させたいと考えているスタートアップには絶好の機会である。言うまでもなく、これらのイベントには投資家も多く顔を出しているので、広く国外からも資金調達の可能性を模索するのにも打ってつけだ。

時々Facebook グループ上でも紹介しているが、改めて、今年上半期にアジア各国で開催されるイベントのスケジュール等についてまとめてみた(日程順)。読者におかれては、日本のスタートアップ魂を世界に披露すべく果敢にチャレンジしてみてほしい。

SD Japan では、これらのイベントの主催者からメディアスポンサーを依頼されているものがあり、可能な限り、イベントでの日本のスタートアップ動向をお伝えしたい。なお、ここにまとめたのは、あくまでアジア地域のイベントに限定しており、世界の他の地域のイベントについては、折を見て整理してみたいと思う。

Startup Asia Singapore 2013

<これまでのイベント関連記事は、こちらから。>

Startup-Asia-Singapore-2013

昨年からスタートした Startup Asia も、いよいよ2年目に突入する。SD Japan のパートナーメディアでもある Tech in Asia のフラッグシップ・イベントで、アジア各国から約900名に上る起業家、投資家、メディアらが集結する。起業家らのインサイトが共有できる Coffee Chat(南国のシンガポールでは Fireside Chat という表現は は似合わないらしく、今年から Coffee Chat に名前を変えたようだ)、パネル・ディスカッションに加え、何より楽しみなのは、スタートアップがピッチで凌ぎを削る Startup Arena である。

なお、シンガポールで日本企業向けにマーケティング・サービスを提供するエージェンシー Reginaa Pte Ltd を営む大畠佑紀さんが、4月3日にシンガポールで日本のスタートアップ向けの前夜祭を開催するそうだ。こちらも Don’t miss it.

beLAUNCH 2013

<これまでのイベント関連記事は、こちらから。>

belaunch2013_logo韓国のテックメディア beSUCCESS が開催する年に一度のスタートアップ・イベント。基本的には、海外スタートアップが韓国に進出しているためというよりは、韓国スタートアップが海外に進出する目的で、世界中からキーパーソンを集めて開催される。今回のイベントの位置づけや背景については、この記事を参照。先日、東京でもサテライトイベントが開催され、日本からはソーシャル翻訳サービスの Conyac がピッチに参加することが決まった。

GMIC (Global Mobile Internet Conference)

<これまでのイベント関連記事は、こちらから。>

gmic2013_logo中国の有名インターネット企業が組織する団体「GWC(中文名:長城会)」が年に一度開催するテックイベント。中国のテック・コミュニティに訴求するのによい機会だ。GREE や DeNA など日本を代表するソーシャルゲーム・プラットフォームが、この場でその一年の方向性を示したり、大きな発表をしたりすることも多い。例年、日本からも多くのテック関係者が参加しており、メイン会場では中国語・英語・日本語の三カ国語同時通訳が用意される。スタートアップ向けには、アーリーステージ向けとグロースステージ向けに G-Startup というピッチ・コンペティションが用意されている。

CHINICT 9th Edition

chinict_logo今年9回目を迎える CHINICT。香港の企業により運営されており、中国内外から起業家や投資家を集めて開催される。規模的にも内容的にも〝お祭り的〟な色合いが濃い GMIC に比べると、ネットワーキングや知識の共有というから言って実利を求める性格が強いように思われる。CHINICT が開催される清華大学の一角には、Microsoft China や、かつては Google China のあった清華科技園がある。Google China のCEOを務めた李回復氏(現在、Innovation Works=創新工場代表者)もイベントに頻繁に登壇する。筆者の私見だが、前出の GMIC が間接的には中国政府の意向を反映しているのに対し、CHINICT は民間運営で自由にやっているという印象を受ける。

Echelon 2013

<これまでのイベント関連記事は、こちらから。>

echelon2013_logo

SD Japan のパートナーメディアe27 が年に一度、シンガポール国立大学(NUS)のオーディトリウムで開催するイベントだ。アジア各国の都市で、スタートアップがピッチで凌ぎを削るサテライトイベントを開催し、そこから選ばれたスタートアップがシンガポールの総本山で優勝を争う、というスタイルを取っている。e27 は東南アジアのスタートアップにフォーカスしていることから、この地域の起業家や投資家とネットワーキングするのによい機会である。昨年に引き続き、今年も東京でサテライトイベントが開催されるようなので、日本のスタートアップにとっては、入り口が身近に用意された国際ピッチイベントの一つと言えるだろう。


上記に加えて、例年のテックイベントの開催状況から推測すると、おそらく、次のようなイベントが開催されるだろう。いずれも開催の有無やスケジュールは正式発表されておらず、開催月は目安にとどめてほしい。

一般参加、ピッチへの参加のについて、「どのイベントに行くのがよいでしょうか」と意見を求められることがよくあるが、「一通り全部に参加してみたらどうか」と答えるようにしている。その理由としては…

  1. 開催が始まって、複数回続いているイベントは、スポンサーやコミュニティから一定の価値が認められている。(参加価値のないものであれば、自然淘汰されるはず。)
  2. 世界は広いので、アプリやサービスのグローバル展開を考えるなら、どこかの一国や一地域を攻めればよい、というものではない。優先度をつける必要はあるが、この種のイベントが開催される国や地域は、比較的優先度は上位に位置づけられる。
  3. 多くの国や地域にノービザで渡航でき、貨幣価値や物価の観点から、日本のスタートアップはこれらのイベントに参加しやすい。このアドバンテージを生かさない手はない。

…と言ったことが上げられる。

すべてのスタートアップが世界を目指す必要は無いかもしれないが、少しずつでも、世界のテックイベントで日本のスタートアップのプレゼンスが増せば、日本のスタートアップ・シーン全体にとっても好影響がもたらされるだろう。これらのイベントに参加される起業家やスタートアップの皆さんには、心から健闘をお祈りしたい。

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