リーン・スタートアップという言葉が初めて生み出されたのは、2008年アメリカの起業家 Eric Ries の手によるものだ。この言葉が日本に紹介された当初は、(バズワードにありがちなことだが)やや違った意味でコンセプトが伝播したこともあったが、その後、Steve Blank の「アントレプレナーの教科書(原題:Four Steps to Epiphany)」の訳書が広く紹介され、リーン・スタートアップの概念を深く理解している人々が起業家の啓蒙に努めてくれたおかげで、本来の意味が浸透していったように思える。(「リーン・スタートアップ」については、この記事で細かく言及されている。)
先日、ベトナムのスタートアップ・シーンを紹介したこの記事にもあったように、リーンの考えは、トヨタ自動車の「かんばん方式」などにも由来するなど、もともと日本の産業システムともゆかりが深い。ある意味でリーン・スタートアップはスタートアップ手法の逆輸入版であり、その生い立ちを考えれば、日本のスタートアップにも馴染めるシステムのはずだ。
リーン・スタートアップを具体的にどのように始めるか、世界中で起業家に手ほどきをしている団体がある。ニューヨークに本拠を置く「Lean Startup Machine」だ。ホワイトハウスの Innovation Fellow Program でコーチなどを務める、起業家の Trevor Owens 氏が昨年立ち上げ、これまでに6大陸40都市で102回にわたって、3日間集中講義型のワークショップを開催してきた。
当初、私はこのイベントのイメージがつかめなかったので、Lean Startup Machine で広報を務める Ariba Jahan に「Startup Weekend のように、3日間で何かしらアイデアかプロダクトを創り出すことを目的としてるのか」と尋ねてみたところ、彼女によれば、成果物を出すことを期待しているのではなく、あくまで「起業家が自らリーン・スタートアップできる手法を体験してもらうこと」に主眼を置いているとのことだ。
世界各地で開催されてきた Lean Startup Machine だが、来月いよいよ日本にも上陸し、5月17日〜19日に東京・渋谷周辺で開催される。イベントでは、以下の人々がメンターとして、リーン・スタートアップのハンズオン・ワークショップに協力する予定だ。(順不同)
- Ian McFarland氏(デジタルガレージ グループCTO)
- 前田紘典氏(Open Network Lab マネージング・パートナー)
- 和波俊久氏(Lean Startup Japan 代表)
- 及川喜之氏(セールスフォース・ドットコム CTO)
- Jason Winder氏(Makeleaps CEO)
- 清川忠康氏(Oh My Glasses CEO)
- Chris Palmieri氏(AQ CEO)
- Eugene Fabian氏(Microsoft Singapore)
- 林千晶氏(ロフトワーク 代表取締役)
- Pieter Franken氏(マネックス証券CTO)
- 有安伸宏氏(ダックダイブ 取締役 / Cyta.jp / Meetrip)
- 角征典氏(ワイクル 取締役)
- 高橋雄介氏(一人企業 代表取締役 / AppSocially)
- 倉貫義人氏(ソニックガーデン 代表取締役)
- 山本郁也氏(SprayPaint CEO、ネコメシ UXデザインエンジニア)
蒼々たる顔ぶれが集まるようなので、ワークショップはもとより、この人たちに会いに行くだけにでも面白そうだ。
参加にあたっては、事前に Eventbrite のこのページからチケットの購入が必要。イベントの詳細について知りたければ、Lean Startup Machine の Ariba Jahan(Ariba [at] LeanStartupMachine.com)にメールするか、Facebook のグループから問い合わせてほしい。
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