AppAnnieがアプリの売り上げに関するレポートを公開した。日本と韓国のデベロッパーによる素晴らしい実績を目にして、中国に注目するのも面白いのではないかと考えたが、結果としてはそれほど明るい材料はなかった。
まずはiOS App Storeでのデータに関するAppAnnieのレポートを引用してみよう。
「ソーシャルネットワークのカテゴリにおいて、ダウンロード数の成長が最も早い主要国の1つは中国だ。中国の毎月のダウンロード数は、2012年1月から2013年1月までの期間で2倍に増加している。事実、同カテゴリにおいて世界中のダウンロード数の半分は現在、アメリカと中国が占めている。中国におけるソーシャルネットワークアプリの売上高はまだ非常に少ないが、パブリッシャーが今年、このようなダウンロード数の新たな結果が、実際に利益へとつながるのかどうか楽しみだ。」
以下のグラフでは、中国におけるソーシャルアプリのダウンロード数が赤で表示されている。
WeChat、Whatsapp、そしてデートアプリ
新しく発表された世界のアプリ月間ダウンロード数ランキングでは、WeChatが中国を代表する唯一のアプリとしてランクインした。Tencent(HKG:0700)が開発した同アプリは第6位にランクインしている。
レポートでは、WeChatが1月にダウンロード数でWhatsappを上回り、東南アジアや中東においてLineおよびKakaoTalkのようなライバルと競争を繰り広げながら、海外市場で大きな躍進を遂げている。けれども、今のところWeChatには消費者サイドで収益を上げる方法が存在せず、同アプリは他のランキングには登場していない。これとは対照的に、99セントの有料アプリであるWhatsappはソーシャル関連アプリの売上高で2位に入っている。他方、Lineは有料のスタンプセットやソーシャルゲームのプラットフォームによって、トップに位置している。
2013年1月の中国におけるiOSアプリのトップ10ダウンロードでは、チャットと出会い系アプリが他を圧倒した。iOSダウンロードの首位の座を奪ったのは、初登場した出会い系・チャットアプリのMicroLoveだ。大ヒット中のメッセージアプリWeChatは3位。2位となったのはPapa。
このInstagramクローンのPapaは、写真とともにボイスメッセージの投稿ができる機能により昨年、中国でとても人気が高かった。中国ウェブ企業の最大手Tencentは、IM型アプリQQおよびQQ HD(8位、9位)により引き続きトップ10にランクインしている。Sina Weiboは7位に食い込んだ。
WeChatは今のところ、マネタイズに関する動きを見せていないようだが、Tencentは、便利なソーシャルツールへと同アプリを改善することおよび、ユーザ獲得に注力していく、と以前説明している。
日本に取って代わられつつある中国のデベロッパー
レポート内の他の部分には、世界で最も人口が多い中国の名前があまり登場しない。新興のテクノロジー大国として、中国のデベロッパーは世界の舞台ではまだ本当の成功を収めてはいない。Tencentは世界のパブリッシャーが並ぶiOSの月間ダウンロード数ランキングの9位にランクインしているが、それくらいだ。
世界で展開する中国製のアプリやゲームはほんの少ししか存在せず、地元市場のスマートフォンユーザはお金を出し渋っており、隣接する韓国や日本と比べると中国の現状はあまり明るいとは言えないようだ。
実態が把握できないAndroid
AppAnnieのしっかりした調査にもかかわらず、中国におけるAndroidのデータは残念ながら役に立たない。なぜなら、中国の消費者たちの多くは、アプリをダウンロードする際にGoogle Playを利用しない(そして有料アプリがサポートされていない)からだ。その代わり、中国のAndroidユーザは様々なサードパーティーのアプリストアに頼る。このため、(非常にたくさんの)中国のAndroidファンが電話で何をしているのかわからないままだ。
Google Playのダウンロード数ランキングにおいて、唯一の中国のパブリッシャーとなったのは、3G.cnのフリーウェアのツールやユーティリティーを開発したGo Launcherのチームだ。Go Weatherのようなアプリを含むGoシリーズのアプリは世界中で人気が高く、これによって同チームは(直接の売り上げではないが、)ダウンロード数で第5位となった。
これは、中国のアプリ制作者が韓国や日本のデベロッパーとは異なり、自国の市場から得られる利益に頼ることができない、そして世界でヒットするアプリをまだ送り出せていないことを再び思い出す良い機会だ。このために中国のデベロッパーは、自国の市場において広告あるいはクロスプロモーションのプラットフォームのような、とりわけAndroid上の他の収益源から利益を上げようと苦戦しているのである。
【via Tech in Asia】 @TechinAsia
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