本稿は、B Dash Camp 2013 in 福岡の取材の一部だ。
ウェブサービスの進化と共に、広告のプラットフォームも激しく進化をしてきた。単純なバナーを取り付けていた時代からアドネットワークや検索リスティングの誕生、最近ではDSPなどのアドテクによって1インプレッション単位での取引が当たり前になりつつある。
高度にソリューションが成長する一方、新たな課題もまた生まれてくる。B Dash Camp のステージで語られた、国内広告ビジネスの課題をいくつかのポイントにまとめた。
(登壇者はヤフー執行役員の荒波修氏、スケールアウト取締役の菅原健一氏、セプテーニ・ホールディングス代表取締役社長の佐藤光紀氏、モデレーターはソニー銀行営業統括の河原塚徹氏が務めた)
ソーシャルメディアの出現は従来広告に影響があるのか?
荒波氏:今週が決算の発表になるので数字は言えないが好調。デバイスには変化があって、やはりスマートフォン、タブレットなどの比率が上がっている。
佐藤氏:ソーシャルメディアは公式サイト的なページを持ちながら、ユーザープールを作ることができる。エンゲージメントを高めることで良質なユーザーを集め、グローバルに展開が可能な点が評価されている。ただ、まだ試行錯誤の段階。
個人データを広告に活用する場合の課題
菅原氏:DSPは1インプレッション毎に広告枠を購入できる仕組み。購入する対象は枠か人で決める。人で決める場合に必要なのが個人のデータ。例えば海外の自動車比較サイトがユーザーデータを活用し、競合車種をユーザーに提案する事例もある。
荒波氏:ヤフーはショッピングやオークションなど大量のデータを持っている。今後は広告配信への活用も考えている。一方で大切なユーザーデータの取り扱い方法、特にサードパティーの情報は特に注意が必要と考えている。
リッチ広告の今後
荒波氏:オリンピックの招致活動キャンペーンで触ると体操選手が動くというクリエイティブを提供した。これらは好評を頂いたが動画についてはこれから。
佐藤氏:割合からすると英語圏に比べてやはり比率は低い。ここには二つ論点があって、まずプレミアム系の広告がテレビに対してどうバリューを提示できるかという話がある。
次にデバイスの変化。スマートフォンなどのデバイスによってユーザー体験が変わってきている。この二つの論点についてそれぞれの変化をどう捉えるかということが重要。
菅原氏:テレビCMで使った動画の権利処理の問題もある。そのままでは動画広告に使えなかったりする。
ネット広告を理解できる人材「CMO」不在論
佐藤氏:CMOの不在論はちょくちょく語られる。デジタルの活用が当然と思っているトップに対しては、様々な提案も前提がOKとなるので、細かいチェックへの落とし込みができる。そもそもアドネットワークって何?DSPって何?という状況だと進まない。
アドネットワークが持つ「安全性」の課題
荒波氏:ヤフーの広告はYDNをリニューアルをしてどんどん伸ばすと同時に、どうやって安心・安全のネットワークを作れるかということにも取り組んでいる。どのドメインに掲載されていて、広告主もどこに出したいか、という話ができる。自分たちは「日本最大のDSP」と思っている。
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