急成長を遂げたモバイルチャットアプリ「Line」の成長ストーリーとその未来

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Mr. Kang Hyunbin, head of business office at LINE Plus Corp
Line Plus Corpの事業責任者を務めるKang Hyunbin氏

人気のモバイルメッセージチャットアプリ「Line」は、2011年に起きた悲劇的な東日本大震災がきっかけとなって、NHN Japanによって開発された。SMSや通話が災害時に利用できなかった時、データによるメッセージ送信が通信の主要なツールとなったのだ。

Lineの人気が高まり、同アプリは今年の2月にLine株式会社という子会社に分れ、独立した。ユーザ同士のチャットを促進すること以外に、同アプリはゲームやマンガを含む異なるデジタルコンテンツを導入し、真のモバイルプラットフォームとなった。

2年未満でユーザ数1億5000万人の規模にまで成長するのは容易なことではなかった。Lineが急成長できた理由の1つは、同サービスがユーザのニーズにじっと耳を傾けたからだ。Lineの海外展開を支援するLine PLUS CorpのLINE事業室部長を務めるKang Hyunbin氏が次のように語ってくれた。

「実際には、日本のユーザ、そして世界のユーザが、私たちがLineを発展させる理由、そしてLineをどのように成長させるかという要素を提供してくれていると思います。ですから、Lineのユーザは共同設立者のようなものです。」

Lineのキャラクターとコンテンツ

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Hyunbin氏は、Lineの成功は豊富なコンテンツとユーザインターフェースに拠るところが大きいとも信じている。例えば、Lineのユーザは言葉だけでなく、それ以外のツールも使ってメッセージを表現することができる。絵文字のアップグレード版とも言える「スタンプ」ツールがあって、アジアでは大きな人気を博している。Lineはスタンプの各キャラクターに異なる個性を作り上げるという点においては非常に長けている。

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コニー、ブラウン、ムーン、ジェームズに始まるこれらのキャラクターは、それぞれ異なる個性を持っていて、アジアでは大ヒットとなっている。日本では、Lineのかわいいキャラクター達がTVのアニメ番組となったり、ぬいぐるみやTシャツ、その他のキャラクターグッズとして販売されている。スクリーンショットの写真を例えとして見てほしい。友達に心のこもった「さよなら」を表現するのも、スタンプを使えばこんなに楽しいものになる。

Lineにはユーザを楽しませるゲームもある。人気の高いゲームの1つ「Line Pop」は、日本だけでなく、タイや台湾でも人気がある。あまりにも人気があるので、ポイントを稼ぐためのアドバイスやテクニックを紹介するチュートリアルビデオもある。

また、Lineが最近リリースしたマンガのコンテンツが日本で成功しており、他の国にもそのマンガを導入する予定だとHyunbin氏は語る。

グローバル市場でのLine

LINEは、日本における成功にとどまらず、引き続き世界の様々な国に拡大していく。野心に燃えるLineは、中国やベトナム、インドネシアへと、オンライン/オフラインのマーケティング戦術を活用して積極的にサービスの拡大を図っている。

中国での展開

Hyunbin氏は、中国でサービスを開始してあまり時間が経っていないにも関わらず、同国でのユーザ数は急速に増えていると言う。同氏はさらに次のように説明してくれた。

「現段階では、中国本土の市場でもっと多くのことができるよう基本的なインフラを確立したところです。例えば、中国本土ではGoogle Playが利用できないので、Androidのサードパーティー企業と数多くの提携をしなければなりません。

また、それらのサードパーティー市場に合うように『apk』ファイルを修正しなくてはなりませんし、(中略)、Lineをダウンロードしてもらえるようさらに多くのユーザを引きつけなければなりません。」

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中国のAndroid市場向けにサービスを調整すること以外では、Lineのかわいいスタンプによって多くの中国人ユーザが同サービスを利用し始めているとHyunbin氏は語る。Lineは中国人ユーザの好みに合うように、カスタマイズしたパンダのスタンプも導入し、Lineでオフィシャルアカウントを登録してもらうためにTmallやMogujieなどの中国企業とも提携している。

中国におけるLineの計画は、北京や上海、広州などの第1級都市に住む20~30才の働く女性をターゲットにすることだ。この年齢層の女性ユーザの特徴はファッションに非常に敏感であることだとHyunbin氏は説明する。

だから、TmallやMogujieなど、ファッションを扱う中国のeコマースサイトとの提携はごく自然なことだ。同氏はまた、メディアの構造やユーザが求めているものなどに関して、同社は今も市場をさらに理解しようとしている段階なので、中国での大規模なプロモーションはまだ始めていないとも述べた。

「今は中国でのユーザベースは大きくありませんが、成長傾向にあり、さらには今後計画する予定の取り組みもあります。まもなく大きなユーザベースを獲得することができると思っていますし、将来的に必ず達成することができると信じています。」

ちなみに、同業界の中国のマーケットリーダーは疑う余地もなく、TencentのWeChat(中国名はWeixin)である。

タイ、インドネシア、スペインなど

中国市場の状況とは異なり、Lineはタイの市場を独占し、同国で1500万人のユーザを誇っている。タイにおいては、同サービスは馴染みのトレンドを見出している。ユーザが同サービスのスタンプを大いに気に入っているということだ。「タイ市場での大きな現象も、ユーザがLineのスタンプを使って本当に上手く伝えたいことを表現できるということです。」とHyunbin氏は語る。

Lineチームはタイが同サービスにとって大きな市場であることを認識している。将来的には、タイ市場でLineブランドの商品を導入したり、ニュースやマンガ、セレブのアカウントなどタイ語のコンテンツといった、さらにローカライズしたコンテンツを提供することを目指している。Hyunbin氏は、地域性のあるゲームを開発できるタイのゲームデベロッパーと提携することにも目を向けている。

Lineは、中国とタイ以外では、台湾、インドネシア、ベトナム、フィリピン、そしてスペイン語圏の国々でも積極的に活動している。Hyunbin氏の説明によると、スペインでのLineの人気は、ほとんどがスペイン語圏の南米において口コミによるサービスの成長を促進しているようだ。そして、スペインには、すでに1200万人以上のユーザがいる。

Hyunbin氏は、Lineにとってインドネシアは東南アジア地域の主要な市場であることを強調し、同国のスマートフォン利用の急成長は今後さらに多くの人がモバイルアプリやコンテンツを利用していくことを示していると述べた。Lineは同社の社内データをもとに、同サービスがユーザ数において最も人気のあるチャットアプリであると述べている。

Lineは国別のユーザ数内訳を公表することは避けたが、ユーザ数1億5000万人のうち4500万人が日本のユーザだと言う。つまり、ユーザの70%が日本国外のユーザということだ。

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「IPOを気にする時間はない」

Lineが巨大なモバイルプラットフォームに成長するにつれ、同アプリ上のコンテンツはさらに増えている。(Facebookが現在経験しているように)Lineのユーザもサービスが複雑になりコンテンツが溢れかえっていると感じることがあるかもしれない、ということにHyunbin氏は気付いている。

同チームはこのことに慎重に対処し、機能を常に簡素化しようとしている。コンテンツのセレクションにおいては、市場ごとに合ったコンテンツを選び、それらのコンテンツがユーザに関連付くようにしている。同氏は良い例を提示してくれた。

「例えば、eコマース業界には大手のグローバル企業があります。ですが、各市場には国内の主要企業もあります。ある意味、私たちは現地の企業と提携し、各市場のユーザに合った最高の体験を提供したいと思っています。」

Lineは株式上場するのかと尋ねると、Hyunbin氏はそういう計画は全くないと述べ、今もユーザが最優先であると語った。Lineの東南アジアチームのトップ、Jin-woo Lee氏は次のように付け加えた。

「既にLineがかなり大きくなっていると考える人はたくさんいます。ですが、1年もしくは2年後の成長率を見ると、もしかしたら今の2倍か3倍に成長している可能性もあります。まずはサービスの拡大にかかっています。より大きなユーザベースを確立する必要があります。その後は、IPOも自然と起こりうるでしょう。今は、IPOを気にしている時間はありません。」

先日発表されたLineの初の業績発表で、Line株式会社は第4四半期に5800万米ドルの収益を記録したことが分かっている。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】