5月25日にOpen Network Labの主催で「Onlab Growth Hackers Conference 2013」が開催された。DropboxやAirbnbなど、世界規模でのグロースハックを手がけたスペシャリスト達が、それぞれのユーザー獲得の経験・事例を共有した。
プロダクトを利用するユーザ動向データを解析し、プロダクトの改善・改良を迅速に行っていくシリコンバレーで今最も注目の役割である「Growth Hacker(グロースハッカー)」について語られたセッションの模様をレポートしていく。
各スピーカーによるセッションが終了した後、ゲストスピーカーによるパネルトークが行われた。この記事では各ゲストが、グロースハックについてコメントしたことを紹介していく。
パネラーとして登壇したのは以下の方々(登壇順)。
- Sean Ellis氏 -Qualaroo社CEO-
- 古川 健介(けんすう)氏 -株式会社nanapi 代表取締役-
- Ilya Lichtenstein氏 -MixRank社 Cofounder/CEO-
- 松本 龍祐氏 -株式会社コミュニティファクトリー代表取締役-
まずはユーザの理解を深め、プロダクトの質を高めること
Sean氏:
日本のグロースチャレンジャーはアメリカと変わらないことがわかりました。SEOにおいても重要なのは。人々が求めているものを考えること。文化上の違いはあるにせよ、ユーザ志向でなくてはならないことは変わりません。テストすることによって真実が分かります。人によってレスポンスの違いがあるので、試さなくてはならない。テストし、解析し、理解を深めること。
古川氏:
グロースハックはテストするための手法が注目されることが多く、テクノロジーに寄った話が多くなっています。大切なことは人間が何を考えているのか。それを想像し、テストを行い、数字を見てユーザが何を求めているのかを知ることが大切ですね。
本当の意味で成功してきたプロダクトとは、合理的な、定量的なメトリクスだけではなく、どうやって人々が抱えている課題を解決するのかにフォーカスしています。グロース戦略を実現するには、プロダクトの価値に集中する必要がある。まず最初に、優れたプロダクトを作り、繰り返し利用してくれて、いいねと言ってもらえるようにするかが大事。
Ilya氏:
本日はいろいろなアプローチが紹介されましたが、どのサービスもユーザ中心の話をしていました。CVRではなく、ユーザの理解を深めること。これが大切ですね。
松本氏:
コミュニティファクトリーは、アプリ開発メインにピボットして2年しか経っていません。それでも、マーケットにマッチすると爆発的にユーザが獲得できることがアプリのおもしろさ。複数出しているアプリのひとつひとつが仮説検証であり、ヒットしないアプリからも学びがあります。大事なことはKPIというより、ユーザの課題にフォーカスすること。そこに数多くトライするテスト市場として、アプリマーケットはおもしろいですね。
デザインもしっかり集計するようにしています。どのスタンプが受けるかなど、カワイイマトリクスと呼んでいるカワイイデザインの方程式を作ってます。「幼い↔大人」、「甘い↔辛い」の軸でカワイイは、ブランド、アプリ、ハートの形に至るまでだいたい分類可能です。リリースしたアプリ、機能が思っていたほどユーザに刺さらなかったときは、このマトリクスにおいて位置を少しズラして再度考えるようにしています。
議論よりもテストを
古川氏:
グロースハックはサービスを後から伸ばすときに必要なもの。ユーザのエクスペリエンスが出発点です。グロースする際も、数字から施策を決定するだけだと、最適化ばかりになり、打ち手が小規模なものになってだんだんとつまらないものになってしまうので、注意が必要です。
あえて、数字が大幅に上がったり下がったりする可能性のある打ち手をすることもあります。数字が上がったとしても、下がったとしても、その2つの地点から調整していくことができます。
Sean氏:
議論に終止符を打つためにテストをしてみること。
古川氏:
仮説の評価をリーダーがしてはいけないと思っています。仮説が出てくること自体を素晴らしいことにすると、チームメンバーからも変な仮説、面白い仮設が色々出るので、それを全部試します。100個仮説を出して、全部試すほうが早いですから。
今日のカンファレンスの感想を3 wordsで
Sean氏:
I’m still learning.
Ilya氏:
Don’t be stubborn.
松本氏:
努力・勇気・勝利
古川氏:
Just do it.
「グロースハック」と呼ばれている考え方、役割、手法についてカンファレンスの内容をお借りしてレポートを実施した。少しでも読者の方の理解の助けになることができれば幸いだ。
この記事は、5月25日に開催されたGrowth Hack(グロースハック)をテーマにしたカンファレンスのレポート。他のセッションについては「Onlab Growth Hackers Conference 2013」でまとめている。
今カンファレンスを主催したOpen Network Labはスタートアップを支援するSeed Accelerator Programの第7期を2013年5月31日(正午)まで受付を行なっている。
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