優れたアイデアさえあれば、創業時に技術面のパートナーは必要ない?

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創業者たちは、技術面を支える共同設立者に十分な報酬を提供していないとして激しい批判を受けている。DropmyemailのCEOであるJohn Fearon氏がこれについて答えている。

(関連:John Fearon による、これまでの寄稿

idea最近、私はシンガポールで活動している起業家のJon Yongfook氏が、技術面で才能に恵まれた開発者にアイデアがいつも売り込まれていることに言及している記事を読んだ。また、起業家が技術系の共同設立者を得るのに適切なタイミングはいつかということについて議論されている記事も読んだ。

私は、ビジネスマインドとは、共同設立者を獲得するためには単なるアイデア以上のものを備えるべきだという考えに賛成である。だが、もしアイデアが良いものであれば、リスクを冒してひとりでやってみる価値があるとも考えている。

アプリのアイデアはありふれたもので、だれでも思いつくことができるが、それを実際に作るのは誰にでもできることではない。これは、良いプログラマーがどこでも求められているの理由のひとつだ。ビジネスに携わる人々は、アイデアが「難しい」部分に属しており、プログラマーはプロダクトを作り出す上で「簡単な」パートを担当する、と考えるべきではない。

同時に、ベンチャービジネスで成功するにはすべての側面において最高のものを提供する必要があることを念頭に置くのが良識的だと思う。完璧なUXとUIを備えていたとしても、見事に開発されたアプリが人々の注目を集めることができないでいる。市場内にたくさんの似たような選択肢が用意されているためだ。

実業家が求めるもの、技術者が求めるもの

技術者たちもまた、いつも実業家を共同設立者にしようとする。時に、技術者だけで構成されるチームは実用さを欠いたアイデアを生み出す。自分たちの観点からアイデアを語る開発者たちは私に助けを求めてきた。彼らはビジネスを始めることを楽しみにし(例えば食べ物の写真編集アプリケーションや共同購入のサイトなど)、政府から資金を得られると期待し、私がこれをビジネス化できるか頼んでくるだろう。

恐らく私自身少し現実主義すぎるのかもしれないが、いつも思うことは、どうやってマネタイズするかということだ。投資の見返りはあるだろうか?投資する意味は?どうやってトラクションを得るのだろうか?

開発者たちが最初のアイデアをベンチャーキャピタルの前でピッチしたり、可能性のある投資家との話し合いに持ち込まれたり共有したとき、その話はまるでバチェラーパーティー(結婚前の独身最後のパーティー)でテキーラが飲み干されるのより早くシャットダウンされてしまうのが私には分かる

技術者たちがコーディングに集中するように、ビジネス思考の人たちは彼らの持つ知識や技能を重視する。彼らは自分たちのプロダクトが他より抜きん出るために、資金を調達し、マーケティングや営業を行い、交渉をし、ネットワーキングをし、ソーシャルメディアを活用し、そしてPRを行う。

いかなるプロダクトでも成功するには、技術とビジネスの良いバランスが必要だ。Stanford大学とBritish Columbia大学のジョイントコース「Technology Entrepreneurship」は、工学部でもコンピューター工学部でもなく、ビジネススクールで提供されている。

ビジネスを学ぶ生徒たちは、少なくとも1人は技術面を担当するパートナーを含む4人のチームをつくり、事業をローンチし、VCにピッチしなくてはいけない。この業務と営業のバランスは、将来も広く販売されるようなしっかりとしたものを築く上で必要とされるものだ。

だから、もしあなたにビジネスマインドがあり、技術系の共同設立者を引き入れたいと思うなら、資金、独占的なネットワークや内部情報といった特別なセールスポイントを準備しておく必要がある。そうすれば誰でも特別な何かを持って来て、対等の立場で仕事に取り組むことができるだろう。

十分なアイデアがあれば、技術的な共同設立者は必要ない

とはいえ個人的見解では、あなたが十分なアイデアを持ってさえいれば、技術的な共同設立者は必要ない。タダで多少有望なプロダクトの開発に専念する誰かと組むメリットより、あなたの分け前が少なくなったり、リスクを取ろうとしない人と仕事をするデメリットの方が大きい。

よって、テック業界での次なる大きなアイデアに全てを賭けようとする実業家たちへのアドバイスだ:

      ・資金を探す(友人や投資に目のない人たち)
      ・月ごとの給与と少数の株の持ち分でCTOを雇う
      ・短期間で必要最低限の機能を持ったプロダクトを作る
      ・精力的に着手し売り込む
      ・資金を増やしスケールアップさせる

こうやって私はDropmysiteやEatAdsなどのスタートアップを始めた。そこからAngel’s Gate、DEMO Asiaに行きつき、実際のビジネスを築いたのだ。

慎重に事を進めたり、どうなるか見守ったりするのは私の信条ではない。めまぐるしく変わるテックスタートアップの世界では、大きく成長するか、荷物をまとめて故郷に帰るかのどちらかだ。

だから実業家が自分自身のアイデアを練るときは、技術パートナーを惹きつけるために何をオファーするかも考えなければならない。さもなければ、十分な資金を工面して技術支援スタッフを雇うかだ。

【via SGE.io】 @SGEio

【原文】

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