
SD Japanではインフィニティ・ベンチャーズ・サミットを取材中だ
IVSの冒頭で、主催するインフィニティ・ベンチャーズLLPの共同代表パートナー、小林雅氏が挨拶で話していたように、新政権に変わってから起業家の役割、新産業を生み出す力への期待値というのは確実に上がっていると感じられる。
このセッションではサイバーエージェント代表取締役の藤田晋氏のモデレートで、若手起業家6名の「今」がざっくばらんと語られた。
セッションに参加したのはウィルゲート代表取締役の小島梨揮氏、コーチ・ユナイテッド代表取締役の有安伸宏氏、トライフォート代表取締役の大竹慎太郎氏、nanapi代表取締役の古川健介氏、HASUNA代表取締役の白木夏子氏。(以下敬称略)
起業の現実ーー創業の苦労
藤田:リッチマン・プアウーマンっぽいPRしてて、社歴が浅いのに大変な成長をしている。創業時のハッタリって重要ですね。ところで創業時の作戦は?
大竹:創業当初から組んでやるんであれば徹底的にやろうと考えていた。Facebookを軽く越える、という目標を立てたら、逆算すると圧倒的な成長スピードで成長しなければいけないことが分かった。
藤田:はい、ライブドア事件以降、珍しく鼻息荒い起業家ですね。ウィルゲートさんの本を読んでやってきた。大変な苦労をされているが、ネガティブな表現が散見されたのですが…

小島:設立二年目は二十歳で経験が無いまま多くの方を雇用してしまった。
1億円調達して30人、すぐに崩壊してしまった。「こんな会社いなければよかったと」。悲しいチャットの履歴がありました。
藤田:創業段階からネガティブな芽を見つけたらつまみ出せ、といっていましたが、お勧めです。学生時代に起業したメリットとデメリットは?
小島:経験が圧倒的に不足していたので、何が正解か分からなかった。回り道して失敗を繰り返してそういうのが大きなダメージになった。若いというレッテルを貼られるというか。逆にその分、痛みは敏感にキャッチアップできる。
マネタイズはどう考える?事業の方向性はどうする?
藤田:ブログをよく拝見してますが、書くのが上手いなと。社長がネット上に頻繁に出てきて経営に対するプラス面、マイナス面って何がありますか

古川:ネットサービスをやっている経営者がそこに精通しているのは正しいこと。
マイナス面は社長暇なんですか、って重要な会議の場所で言われたことですかね。採用をみてもブログ経由が多い。採用サービスより来る人のモチベーションが高かったり、直接経営面にプラスの面が大きい。
藤田:現代経営者にとってブログを書けるというのは便利。社内へのメッセージにもなる。ところでnanapi事業的にはどのように考えてる?マネタイズを考えなくて極端に大きくするか、マネタイズを考えるか、どっかに売却するか、この三つが選択肢だと思うが。
古川:すごい規模にならなければマネタイズは出来ない。2000万UUはマネタイズできるかというと全然です。日本でのアクセス50番以内には入らないと事業にならない。マネタイズを成功させるメディアもあるけど、自分は大きなものを作りたいです。
藤田:Cyta.jpはどちらかというとネットネットしてないですよね。違和感は感じない?
有安:確かに作り込んでいるオペレーションはネット系じゃない。例えばネットサービスだったらユーザー調査にもアンケートをメールで一斉送信しておわりかもしれないが、自分たちはミステリーショッパーを使ってリアルな調査をしたりしている。メールでユーザーが取れない場合は電話も使う。
藤田:地味系ですね。最後に白木さん、社会倫理性の高い事業ですが、広報戦略はどういう考え方?
白木:世界で劣悪な環境で働く子供たちを「かわいそう」だからという理由でジュエリーを買って欲しくなかった。だからポジティブなメッセージを伝えられる媒体に出るようにしている。
日本の起業文化を若手起業家はどう感じているのか
藤田:イグジットを祝福する文化ができてきたが、独立にこだわる?売却?
古川:グロービスから出資を受けている。事業モデル上、一番メディアが大きくなるように注力する資本政策になっている。売却はすごくいい。サービスを大きくするために買う側に回りたい。市場に合わせてこれって買いやすいでしょ、というのはあんまり好きではない。言葉で説明できない良さのあるもの、そういうものを作りたい。
nanapiも元々「どうしてないのかな?」と思って作ってみたら、四年かかって分かったんですが、分の悪いサービスだった。めんどくさくて誰もやってなかっただけだった。
藤田:日本の起業家意識は先進国に比較しても低い。めちゃくちゃ大変だし。起業の課題はどう考えるか?
古川:実は日本というのは起業しやすいと思っている。大企業はベンチャーだからと言わず発注してくれるし。ただ、年齢層がやや高め。企業で経験積んでから起業するよね、というのがある。私もリクルートで3年やってました、というのがあったからやりやすかった。学生だとどうしてもひとつ下に見られる。
小島:失敗した場合に大変だったのは資本政策と組織の問題。こういう情報がもっとれあれば深刻にはならなかった。未熟でも失敗して再起できた、失敗者に対して寛容であってほしい。倒産すると終わりというのではなく。

有安:日本は起業家天国。実際にやってみたら恵まれていて、マーケットに流れるお金に比べて起業家の数は圧倒的に少ない。
政府の政策というよりは、圧倒的な成功事例が必要。起業して億万長者にでてくれば目の色が変わるんじゃないかな。あと成長すると法律的にグレーなところに指導がやってくる。余計なことをしない、というのも大切では。
藤田:確かに成功事例がでてくれば効果が高いですね。
セッションの終わりには若手起業家から藤田氏への逆質問があった

大竹:引き際はいつか?その場合はどういう人物に任せたいか
藤田:正直ずっとやめよう、やめよう、ずっと思っていた。黒字化したら、アメーバ立上げたら。でも達成したら達成したらで新しい目標ができる。
本当に大事なメディア事業を立上げるのに細かいところまで自分で取り組んだ。結果、やりすぎて代われないのが、今。(会場爆笑
古川:驚異に感じている若手起業家は?
藤田:全然なくって。競合となる事業ができたら、同じアイデアを嫌がる人もいるんだけど、経営者の器は大きく持っていたいですよね。MobageとGREEだって競争したから大きくなった。同じようにいろんな起業家が参入してくるのは賛成。若い経営者は応援したい。
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