挑戦する人生ーー語る経験者、挑むルーキー #IVS

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特定非営利活動法人ジャパンハート代表で医師の吉岡秀人氏による講演。発展途上国の子供に起こる悲劇に立ち向かう。会場には約500人の学生参加者。

多くの人間が20歳という年代に社会へのデビューを果たす。就職や起業、スポーツ選手であればプロとして舞台を獲得する時期かもしれない。

多くの人達はこの年代までほぼエスカレーター式に人生を歩む。義務教育、高校、大学。

人は成長の過程の中で経験し、学び、そして否応無くやってくるいくつもの人生の選択に挑戦し続けることになる。

快晴の6月末日、私はIVSサマーワークショップ2013の会場にいた。ここに集まった約500名の学生たちは、ちょうどこの人生の「最初の選択」に挑戦しようとしているルーキー達になる。彼らの不安と羨望の入り交じった視線の先には、既に多くの人生の選択を乗り越えた経験者たちが壇上に上がり、その体験を彼らに伝えていた。

挑戦する人生ーー経験者は語る

GMOインターネット代表取締役会長兼社長の熊谷正寿氏やセプテーニ・ホールディングス代表取締役社長の佐藤光紀氏、グリー代表取締役社長の田中良和氏らが参加したセッションのタイトルは「挑戦する人生」。

自身もマラソンランナーとして、斜め上の挑戦を続けるインフィニティ・ベンチャーズLLP(IVP)共同代表パートナー小野裕史氏のモデレートで、早朝から集まった学生たちにメッセージが送られた。

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「インターネット関連事業で約20年間挑戦し続けている。心も折れそうになるし、会社も折れそうになる。なぜできたか。将来やりたいことを明文化して共有したから」ーー。

小さな現場ならいざ知らず、彼らのように第一線で迫り来る選択に挑戦し続けるモチベーションはどこからやってくるのか。熊谷氏は人の喜ぶ顔が原動力となり、循環する世界観を持っている。

豊かになりたい、というのはもちろん原始的なモチベーションの一つだ。しかしそれだけだといつか原動力は尽きてしまう。佐藤氏も「わかりやすい動機をひとつひとつ達成すると、得たこともないようなものを得てみたい。見たこともないものを見てみたいようになる」と表現していたが、人生を積み重ねていくと、本質的な生きる目的というものを求めるようになる。

また学生時代特有のもやもやとした不安感についてもいい助言があった。田中氏は自分がオンリーワンだとかナンバーワンのものなんて滅多に無い、それよりも自分が年齢を重ねたとき、振り返って気がつける良さや価値があるはず、と話していた。

分からないからこそ漠然とした不安に苛まれることもあるかもしれないが、そこで止まるよりも行動することの方が重要なのだ。自分の評価は周囲が決めるものであって、自分で決めるものではない。

さらに佐藤氏はそんな不安との向き合い方について「なかったことにすることはできない。上手く付き合っていく。『ナシ』にすることがゴールじゃない」と話していたが、まさにその通りだと最近つくづく感じる。ここから逃げることはできない。(学生じゃない自分がうんうんと聞いてしまっていた)

挑戦する人生ーールーキーの挑戦

さて、私は以前書いた通り、今回参加する学生さんで起業家志望の方に「どうして起業したいのか」というお話を伺いたいと投げかけたところ、何人かの方とお会いすることができた。

そしてこれは驚くべきことなのか、これが当たり前なのか、以前中央大学で取材したときとほぼ同じような回答が多かったのが印象的だった。あまり無茶苦茶する人って多くないのかもね。

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中央の友巻憲史郎さんとその仲間たち

なかでも関西からはるばるやってきてくれた友巻憲史郎さんのチームは、言葉だけでなくしっかりとサービスまで作っていた点で本気度が違っていたので、こちらにショートインタビューをご紹介させて頂く。

どうして起業とかサービスを作りたいと考えたの?

この二年間休学していました。そこでサービスを作ったりシンガポールに行ったりしてスタートアップシーンを見ていたんです。それでなんかチャレンジしたい、と休学したメンバー4人でわいわいとサービスを作っていました。現在は10人ぐらいのメンバーでやっています。

就職は考えなかった?

いや、就職活動していて内定も決まっています。ただ、その時間がくるまでのあと1年半でサービスに挑戦しようとしています。

ところでどんなサービスを作っていらっしゃるの

いくつか失敗したサービスを振り返って、どういうサービスがいいんだろうと考える中、実際に人を動かせるサービスがやりたいと思ったんです。テクノロジーがすごい訳ではないけど、人がちょっと動く。

休日を楽しむというコンセプトで、何していいかわからない場合に、雑誌をみるような感覚でいろんな過ごし方に出会える。やりたい場合はそこに参加できる。スモールビジネス向けのマーケティングツールとしてこの「Picola」を運営しています。

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折角ここまで作ったのだったら就職せずに起業しちゃえ、とは考えない?

自分が本気になれるもの、実現したいなと思えるものがあれば今すぐにでも起業したいです。けど海外やインターンをしてみて、まだぜんぜんそのレベルになってないです。

それと「起業イコールアプリ作る」とか、「サービス作る」というスタートが雰囲気としてあるんです。自己満足だけで終わったり、ビジネスにならなかったり。上手くいっていない同世代をみていると、サービスを作りたいということと、会社を大きくするとか事業として成功することは違うって気がついて。面白いことはしたいけど、事業をやりたいかといわれると、もっといろいろ学びたいですね。

挑戦する人生

IVPの小野氏によれば、このサマーワークショップに参加する学生さん、昨年に比べて圧倒的に起業とかベンチャーで働きたい(or 働く)という方が大多数を締めるようになったのだそうだ。

以前は古参の大手企業や公務員志望の学生が多かったらしく、挑戦への意欲が学生にも沸き起こりつつある状況ならば歓迎したい。

ただ起業も就職も選択肢のひとつであり、全ては自分が決めるべきものだ。セッションでも多く語られていたが、この二日間でいろいろな選択のきっかけを掴んだ学生は多いのではないだろうか。この場所で生まれた熱量がいつか形となって自分たちの目の前に現れることを期待したい。

 

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