世界を見渡した時、ビジネス向けソーシャルネットワークといえば「LinkedIn」だ。
本家上陸と前後して、国内でもこれを模したビジネス向けソーシャルネットワークがいくつか出現したが、いずれのサービスも苦戦を強いられていると言わざるをえない状況だろう。
そんな中、独自の路線で国産のビジネスソーシャルを構築しつつあるサービスがある。ーーEightだ。
運営元のSansanは6月24日、同アプリのアップデートを発表した。iOSとAndroidでの利用が可能で両方ともに無料。現在のユーザー数は20万人で、登録されている名刺の累計枚数は500万枚になる。
Eightは2012年2月にリリースされた名刺管理のスマートフォンアプリでユーザーは撮影した名刺情報をコンタクトリストとして管理することができる。
他の競合アプリとの決定的な違いはやはりOCRではなく人力による情報の入力だろう。今回のバージョンアップではここがさらに強化され、名刺記載の全項目について入力してくれるようになった。同時にWebアプリもアップデートされており、その他のアップデート情報はここにある。


Eightが単なる名刺管理アプリに留まらず、ビジネスソーシャルといわれるゆえんはオンラインでの名刺交換と交換相手の情報がアップデートされるアイデアにある。
Eightを利用しているユーザーが相手と「つながっている」と判断されるとEightから名刺交換リクエストが配信される。詳しくこれまで仕組みを知らなかったのだが、ヘルプによるといくつかの条件に合致した場合を判断して処理しているらしい。
通常、LiknedInなどでは会ったこともない人からスパムリクエストがやってくることがあるが、Eightではこれを名刺交換を起点にしているところがやはり独特だ。少なくとも名刺交換した相手からならリクエストがきても自然だからだ。
これからこのビジネスソーシャル系機能についてさらに進化があるのかEight事業部の日比谷尚武氏と千住洋氏に話を聞いたところ、今後はより「つながり」押しにシフトしていくのだという。
「名刺を起点にしたSNSは確かに珍しいかもしれませんね。現在20万人に利用して頂き、今年の3月、4月は特に利用が伸びています。今後は出会った人的資産の活用や自分の職歴など、その情報を元に『名刺から繋がる』という文化を作り出したいと考えてます」(千住氏)。
現在、電話番号を入力するだけで名刺交換ができる機能の追加も準備中ということで、このあたりの利便性はさらに上がりそうだ。
ただ一点、相手がアカウントを持っていない場合(もしくは名刺とは違うメールアドレスでアカウントを作っている場合など)に意図しないリクエストメールを送信してしまうことがあるので、利用の前に少しだけ注意しておいてもいいかもしれない。
数々のビジネスソーシャルが難しい選択を迫られる中、名刺文化の強い日本でEightが独自の解を見いだせるのか、今後の伸びに注目したい。
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