起業も事業も一人ではできない−−アイスタイル菅原氏が語る長く戦うために必要なチーム経営

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上場までの道のりには、紆余曲折の苦労や経験がある。そうした経験は、あらゆる状況に対応するための大きな学びとなる。

女性向け化粧品レビューサイトなどを運営しているアイスタイルCFOの菅原敬氏は、コンサルティング会社の経験を経ながら、アイスタイルを創業から上場まで導いた一人だ。

同氏が、MOVIDA SCHOOLで語った、長く戦うために必要なチーム経営についてまとめた。

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ネットベンチャーの盛り上がりで創業を手伝った

最初はコンサルティングの会社に勤めていたが、1990年代後半のインターネットの盛り上がりによって、周囲が続々とベンチャーを立ち上げていた。現CEOの吉松徹郎氏が、同じく共同創業者の山田メユミ氏と化粧品業界の流通構造と変えようとアイスタイルを創業したのはその頃。吉松氏とはコンサルティング会社で同じプロジェクトに配属されていた同期同士で24時間ほとんど一緒に行動しており、そのまま創業の手伝いをしていた。2004年にフルタイムで参画してからは子会社2社の社長などを経験して、現在はアイスタイルCFOとして経営管理全般を担当している。

上場申請を取り下げてでも会社の再構築を図る

創業したはいいが、初年度は売上90万円程度だった。その後、2年目で売上1億円に到達。最初は創業者2人による事業運営で進めていたが、資本の強化や会社の再構築を図り、チーム経営への移行や事業モデルの切り替えによって、急成長することができた。チーム経営体制へ移行後、大きな事業転換を数度はかっているが、その過程で上場申請も一度取り下げている。

創業から13年で上場

結果、創業から13年かかって上場を果たすことができた。それまでは、ファイナンスで総額約14億円ほど調達していた。VCからの投資やエンジェル投資家からの救済、事業会社からの投資など、ファイナンスに関しての紆余曲折を経て今に至る。

特に事業会社からの出資に関しては、競合になる前に提携を図ったり、株主になっていただきジョイントベンチャーを作りノウハウを吸収するような戦略を実施した。

ファイナンスはCEOの力

当社の場合でも、CEOの力がファイナンスに活きている。順風満帆なベンチャーはほぼ皆無だ。様々な困難があるかもしれないが、最終的な判断をするCEOの事業全体に対する影響力は大きい。だからこそ、CEOは最後まで諦めずにいてほしい。

起業も事業も一人ではできない

起業には大きな力が必要だ。そのためには、起業家一人が頑張っても仕方がない。周りを巻き込むことで始めて何かを成し遂げられると認識しよう。そのためには、どれだけ味方を作るかが重要だ。経営陣のみならず、社員、ユーザ、お客様、株主、提携パートナー、社外の友人など、様々な味方を巻き込もう。

特に創業当初のアイスタイルは、多くの社外のメンバーに助けてもらった。メーリングリストで情報共有などのやりとりをしていたが、そのメーリングリストに社外の人たちも入っていた。サイトのコンセプトに関するアドバイスなど、様々な人の協力を得て成長してきた。

経営陣の向き不向きで成長の方向性をつかむ

経営者もそれぞれに個性がある。それに合わせて事業としての方向性も決まってくる。経営者の色や個性が、会社のアセットや成長方向性、事業展開が決まってくる。経営陣の向き不向きで、成長の方向性をつかむことは波に乗るという意味で大事だ。

窮地の時はとことんしゃがむ

事業を進めていく中で、良い時と悪い時は当然訪れてくる。その中で、どうしても難しいこと厳しいことが起きてくるかもしれない。しかし、その時は中途半端はリカバリーをしても大概はうまくいかない。厳しいと思った時は逆らわずに徹底的にしゃがんでみること。ピンチの時こそ、チャンスは訪れてくる。

厳しい時こそ、経営陣でのコミュニケーションが試されてくる。歴史が長くなると、役員クラスでのコミュニケーションが希薄化してくる事が多いと聞くが、窮地に立たされた時にこそ、絶対的なコミュニケーションの蓄積によってその後の立て直しが変わってくる。日頃からコミュニケーションをし、苦しい時には一緒になって立て直しを図ろうと思えるためのチーム作りを常に考えよう。

意思決定のプロセスよりも成果を出すこと

事業における大事な意思決定は迅速にするほうがよいと言われることもあるが、そんなことはない。大きな意思決定の時に必要なのは、いくら考えても考え足りないくらいギリギリまで粘ること。

どんなに意思決定のプロセスがシンプルで美しくても、その意思決定によって成果を出せなければ意味はない。意思決定の判断は、正解という意識よりも、より正しいと思える意思決定をおこない、その判断をもとに成果を出すことだ。意思決定のプロセスではなく、正しい成果を出すための努力をしてもらいたい。

メンタルマネージメントと頼れる仲間

事業を進めていく上で、最も大事なのは社長の心が折れないことだ。自分が描く会社の将来像やビジョンをどこまで信じられるか。心の拠り所とする何か1つのものを持てるかどうか。常に孤独である社長のメンタルマネージメントのためには頼れる仲間の存在も重要だと思う。仲間を大切にし、企業を一緒に成長させてもらいたい。

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