台湾のスタートアップ・カンファレンス #IDEASShow から、ピッチ登壇のスタートアップをご紹介(1/3)

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ideas-show_logo台湾のスタートアップを語る前に、まず台湾のことを知っておく必要がある。面積とGDPは日本の九州とほぼ同じ、人口は九州の約1.7倍程度だ。アジアの中でも比較的小さな市場ではあるが、台湾のスタートアップの奮闘ぶりは、科技報橘(TechOrange)との提携により提供している翻訳記事などでも随時お伝えしている。

7月24日〜25日の2日間にわたり、台湾の資策会(資訊工業策進会、略称III=トリプルアイ)の年例スタートアップ・カンファレンス「IDEAS Show」が開催された。資策会は日本で言う経済産業省の外郭団体のような位置づけにあり、台湾のIT産業全般を牽引する役目を負っている。筆者が20年程前、台湾で仕事をしていたときにもお世話になった記憶があるので、それから考えても資策会は随分と歴史のある組織だとわかるが、近年はスタートアップを初めとするイノベーションの創出に力を入れているようだ。

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昨年の IDEAS Show では、午前午後をあわせて27チームのスタートアップ・ピッチだったが、今年はそこから遥かに数を増やして46チームのピッチとなった。短時間であまりに多くのスタートアップの審査に臨んだため、ピッチの審査員の中には疲れている人も見れとれたが、急激な参加スタートアップの増加を招いた背景には、資策会のインキュベーション・プログラム「IDEAS Show+」のほか、之初創投(appWorks Ventures)玉山創投(Yushan Ventures)台湾創意工場(TMI)などから生み出される卓越したスタートアップが、コンスタントに増えつつあることが挙げられる。(直近の之初創投の Demo Day の様子は、ここから見ることができる。)

今年の IDEAS Show では、46チームが次の7つのカテゴリに分かれてピッチした。

  • 青創組(若者/学生グループ)
  • 自造者社群(ものづくり系)
  • TV App(テレビアプリ)
  • 系統平台組(システム・プラットフォーム・グループ)
  • IDEAS Show+組(資策会のインキュベーション・プログラム出身スタートアップ)
  • 応用服務組(アプリ・サービスグループ)
  • 国際交流組(国際グループ)

本稿ではまず、これらのうち頭の3つのカテゴリ——青創組(若者/学生グループ)、自造者社群(ものづくり系)、TV App(テレビアプリ)——でピッチした15チームを取り上げる。

青創組(若者/学生グループ)

情芸網(チンインワン)

gardener_logoウェブサイト http://www.gardener.com.tw

台湾中部にある南開科技術大学のデジタルライフ・イノベーショングループが開発。スマート・テクノロジーを使って、工芸品を作る人、ギフトを送りたい人、ギフトを受け取る人を結び、手軽に工芸品を届けられるプラットフォームを構築している。竹で編まれたQRコードのマット、LED を使った提灯などが販売されており、クレジットカード決済により海外発送にも対応している。

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Fourdesire

fourdesire_logoウェブサイト http://fourdesire.com

人間の身体は水が必要で、実に体重の70%は水分だ。Plant Nanny は楽しく健康を保つためのサービスで、定期的に水分を補給するのを促してくれる。iPhone 上のアプリ内の植物に水をやるたびに、ユーザは水を一杯飲むことになる。これを続けることで、アプリ内の植物は枯れることなく育ち、毎日、何杯の水を飲む必要があるかをユーザに教えてくれる。

fourdesire_onstage

Movement

movement_logoウェブサイト http://movement.cjband.org

マスムーブメント(大衆運動)に関する情報を拡散するためのプラットフォーム。「議題延伸」機能を使えば、ユーザは世界中のマスムーブメントと対話できるようになり、より見識を深めることができる。最大の売りは、世界中のマスムーブメント向けのプラットフォームであることで、ムーブメントの参加者が力をあわせて効果を最大化するのを助ける。新しいムーブメントをより速く広く拡散するのに役立つ。

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友善台北好餐廳(ユーシャンタイペイハオサンティン)

evermore_logoウェブサイト https://play.google.com/store/apps/details?id=com.cmoremap.evermore.love

国立交通大学の学生による社会奉仕プロジェクト。彼らは2012年、異なる障害を持つ身体障害者30人に、台北の飲食環境(レストランの入口、スペース、トイレ、盲導犬の随行可否など)、サービス(メニュー、エチケット)、その他の情報(営業時間、住所、価格、交通)などをまとめてもらった。情報の収集と並行してアプリを作成したところ、参加した障害者達は、自分達が「助けを求める人」から「誰かを助けられる人」になったことを実感した。「友善台北好餐廳(仮訳:フレンドリーな台北のレストラン)」というアプリでは、「障害者に優しいか」「レストランの嗜好別」「台北地下鉄の路線別」のカテゴリでレストランを探すことができる。アプリ開発には20人の障害者が参加し、弱視や肢体不自由者も簡単に利用できるよう工夫されている。

evermore_onstage

自造者社群(ものづくり系)

全台首創3D列印網(3DMaker)

3dmaker_logoウェブサイト http://www.3dmaker.com.tw

3Dプリンタやアクセサリーの販売に加え、3Dプリントサービスや3Dプリントの訓練サービスを提供。ロボットアームやインタラクティヴ・アートなど、ハードウェアやソフトウェアのインテグレーションが必要なプロジェクトにはコンサルテーションも提供する。

3dmaker_onstage

木易人(Shepherd)

shepherd_logoウェブサイト http://www.shepherd.tw

光硬化技法による3Dプリントサービスを提供する。14ミクロンのレイヤーを重ねて作る精度の高いものから、ゴムのように硬度を27〜95まで自由に変えて作れる3Dプリントまでを提供。

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OpenLab Taipei

openlab-taipei_logoウェブサイト http://www.openlabtaipei.org

Openlab.Taipei は、FLOSS(フリーウェアとオープンソース)を活用した創作ツールを使う、デジタルアーティストが集まる場所である。物理的な場所は定まっておらず、インターネット上、IRC、喫茶店、コワーキング・スペースなどで集まりを持っている。デジタルアーティストにとって、商業ベースのデジタルツールは数々の制約のために自由なツールではない。有名な書家が自分の筆と墨を持つように、彫刻家が自分の彫刻刀を持つように、デジタルアーティストも自分のツールを持ってもよいのではないか。FLOSSの隆盛により、デジタルアーティストはツールの自由度が高まり、より透明性と可能性の豊かな作品を創り出すことができるようになる。

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印酷網(PrintCool)

printcool_logoウェブサイト http://printcool.com.tw

德芮達科技社は3Dプリンタや制作設備を提供するベンダである。華人のための3Dプリントプラットフォーム「印酷網」を展開し、ハンドメイド、ハイテク、概念のオンラインシェアを融合させ、全く新しいプロダクトの制作プロセスを生み出そうとしている。

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TV App(テレビアプリ)

QLL (Quick Language Learning)

qll_logoウェブサイト  http://www.qll.co
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Quick Language Learning は、モバイルデバイス向けのデジタル学習ツールの開発に特化している。これまでに、中国語(繁体字、簡体字)、英語、日本語、韓国語、スペイン語で、3〜8歳の子供向けに140以上の Android / iOS アプリをリリースしている。スマートテレビ向けに、英語を聞きながら学習できるアプリ「聴故事学英文」を開発した。

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達博遊戯(ダーボウユーシ)

ウェブサイト http://www.double2.com.tw

達博網路は、スマートテレビのプラットフォーム上でゲーム開発を行う企業で、ネイティヴアプリの開発、Android、iOS、Linux、Windows などクロスプラットオームの開発に対応ができる。

double2_onstage

非凡大探索(フェイファンダータンスォ)

unique_logoウェブサイト http://www.ustv.com.tw

台湾のニュース専門チャンネル「非凡新聞(Unique News)」の特集担当記者が作るグルメ専門番組。6年間にわたり、記者チームは台湾のグルメ、レストランなどを紹介してきた。料理の手順を紹介し、食品の品質や安全性に言及し、台湾の飲食業界で成功した起業家らも紹介する。

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遠傳影城(ユアンチャンイェンチュアン)

fetnet-vod_logoウェブサイト http://vod.fetnet.net(日本からはアクセス不可)

台湾の通信キャリア「Far Eastone(遠傳)」が提供するビデオ・オン・デマンドサービス。高品質なストリーミング・ムービーを、時間や場所にかかわらず、あらゆるデバイスで閲覧可能。月間料金はNT$199(約650円)。常時1,000本以上のハリウッドやアジアの映画や日本アニメ、台湾や香港の人気歌手の番組等が閲覧できる。

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図新聞Video(トゥシィウェン・ビデオ)

tuxinwen_logoウェブサイト http://vmetro.hithot.cc

図新聞Videoは、世界につながるホットなキーワードやビデオをリアルタイムで提供する。23カ国語で利用可能、一画面の中でほっとなキーワードを画像で確認することができる。画面をクリックするだけで、関連ニュースやビデオを閲覧することもできる。

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iKala

ikala_logoウェブサイト http://www.ikala.tv

iKala はテレビアプリでホーム・エンターテイメント・ソリューションを提供、リビングをカラオケルームに変えることができる。アーティストのミュージックビデオを流すことも可能。PC、ノート、スマートフォン、タブレット、テレビで閲覧できる。楽曲データはクラウド上で毎週更新され、ソーシャルコミュニティ機能によって、他のユーザから新曲の情報を教えてもらうこともできる。

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LiTV

litv_logoウェブサイト http://www.litv.tv

LiTV はIPTVのサービスプラットフォームで、有料/無料のビデオ、カラオケビデオを世界中の華人視聴者に提供している。スマートTVがあれば、セットトップボックスは必要ない。株式のティッカー、投資分析のほか、映画の予告編やエンターテイメント・ニュースなどを無料で提供。

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ここまで見て来た中で、3Dプリンティングは日本と同様、台湾でも人気が出て来たスタートアップ・ビジネス分野の一つである。価格的には日本で注文するより安いが、量の論理によるコスト優先の業界ではないため、各国各様で特色のある3Dプリンティングビジネスが立ち上がって行くのだろう。日本の事例は、ABBALabiJet の事例を参照してほしい。

また、興味深いのはスマートテレビの分野では、ターゲット視聴者として、台湾に住む台湾のみならず、世界に住む華人コミュニティを対象にしている点だ。この中には、中国大陸はもとより、横浜や神戸の中華街に住む人々、サンフランシスコやバンクーバーのチャイナタウンに住む人々なども含まれる。言うまでもなく、これは台湾だけでは市場が小さ過ぎるからで、日本のコンテンツ配信が国内の配信に限定されているのとは対照的である(コンテンツホルダーからすれば、地理的な条件ではなくプラットフォームで配信先を縛ってライセンスしている、ということだろう)。台湾の人口は2,300万人に過ぎないが、対象を華人に広げると、中国の13億人、世界の華人5,000万人を市場として捉えることができ、ネット普及の偏差を考慮しない人口ベースの単純計算で、市場規模は約60倍になる。

残る4つのカテゴリ、系統平台組(システム・プラットフォーム・グループ)、IDEAS Show+組(資策会のインキュベーション・プログラム出身スタートアップ)、応用服務組(アプリ・サービスグループ)、国際交流組(国際グループ)については、後日レポートをお伝えする。

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