その事業はあなたでなければできないのか?−−きびだんご松崎氏が語る事業を「自分ごと化」する方法

SHARE:

起業家はどのような問題意識を持って事業に臨むべきだろうか。実はこの問題意識の持ち方ひとつで事業やサービスの方向性は大きく変化する。

松崎良太氏は新卒で日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)に入行した後、三木谷浩史氏(楽天代表取締役会長兼社長)と共に楽天の創業期に関わった人物だ。楽天ではリンクシェア買収など、国内外のグループM&A案件を多数手がけ、退社後にはスタートアップ支援としてTokyo Otaku ModeやGinzaMetricsなどへの投資や、クラウドワークスなどの社外取締役を務める傍ら、2013年には自らもスタートアップとしてクラウドファンディング型ECの「きびだんご」を立上げている。

同氏がMOVIDA SCHOOLで語った社会への問題意識と解決方法としての事業についてまとめた。

IMG_8989_2

技術によって人と人とがつながる時代になった

個人や小さなチームがエンパワーされ、競争力の主体が国や企業から個人にシフトする時代に来ている。技術の発展によって、今までだと出会えなかった人とネットを通じてつながりやすくなった。技術を介して人と人がコミュニケーションしやすい環境となり、それによって生まれる新しい体験や価値が重要になってくる。

商品やサービスなど自分たちの生み出すものの価値を認め、共感し応援してもらうものを成長させる1つの手段として、お金を払って応援する形が出てきた。応援している人たちの手を貸りてプロジェクトを成功させリターンを返す行為は、まさに昔話の桃太郎のきびだんごの精神と似ていると考えた。

超直接金融という新しい考え方

従来の資金提供の形は、間接金融と直接金融の2つがある。銀行が間に入り、お金を貸す人と借りる人の仲介をするのが間接金融、株主が直接資金提供をするのが直接金融だ。これを超える仕組みとして、消費者自身が欲しいものを作るプロジェクトに対して、直接支援をする「超直接金融」とでも呼べるようなあり方がある。アメリカではkickstarterのようなサービスも登場し、消費者のニーズに応えるプロダクトが多く開発された。こうした形に何かヒントがあるのではと考えたのが、サービス立ち上げのきっかけだ。

継続して支援する仕組みとしてのクラウドファンディング型ECサービス

kickstarterを分析すると、少しの「もったいなさ」を感じる部分もある。プロジェクトが掲載され、目標達成に到達するまでは大きく盛り上がるのだが、期間終了後は祭りの後の寂しさのようなものを感じるのだ。掲載期間以外に支援する手段がなく、継続的な支援がしずらい状況だった。継続してプロジェクトの次期プロダクトを支援する仕組みができないか。

その問題を解決したいと考え、2013年3月にきびだんごをローンチした。きびだんごはクラウドファンディングと言い切っていない。「クラウドファンディング型ECサービス」と表現している。やりたいことがある人をみんなで支援し、プロジェクトオーナーが支援の見返りを提供するのは一緒だが、目標金額に達成したプロジェクトはそのままEC機能を持たせ、買いたいと思った人に対して継続的に購買できるようにしたのが特徴だ。

等価交換の商品を提供することができるプロフェッショナルなクオリティや実績を持った人を軸に、支援の仕組みを提供していきたいと考えている。

自分ごと化して起業を考えろ

プロジェクトは、プロジェクトオーナーや支援などで関わるすべての人たちがプロジェクトを「自分ごと化」することで、その後の盛り上がりが大きく変わってくる。いかに多くの人たちにとっての「自分ごと化」ができるか。そのための要素を作り出すことが大事だ。

起業家にとっても、事業を自分自身のプロジェクトとして見つめ直すことが大事だ。それは、あなたでなければいけないものなのか。事業の内容も含めて、すべてを自分ごととして照らしあわせてみることが、起業家に求められている。

ヒト、モノ、コトの3つの要素が高いレベルでバランスするのが優れたプロジェクト

優れたプロジェクトには、3つの要素が含まれている。プロジェクト自体の共感を持たせることができる「魅力的なコト」、プロジェクトオーナー自身の持つ要素としての「魅力的なヒト」、特典として得られる価値としての「魅力的なモノ」だ。

これは、スタートアップの事業にも共通している。実現しようとしている目的が課題解決や社会的な意義など、共感が得られることなのかどうか。創業者や経営陣の志や信頼など、魅力的な人がやろうとしているかどうか。得られるサービスがユーザやステークホルダーにとって価値が有るかといったように、ヒト、モノ、コトによって優れた事業かどうかを測ることができる。

「なりたい人」ではなく、「やりたい人」になろう

世の中には2種類の人間がいる。実現したいことがある「やりたい人」と、なりたい自分の理想の姿を追いかける「なりたい人」だ。「なりたい」はあくまでも自己実現で人からの共感は得にくいが、「やりたい」は、ほかの人のためにもなることであれば共感を得やすい。やりたいことがある人は、やりたいことを追いかけ続けることが諦めない理由となる。なぜ、それをやりたいのか。なぜ、あなたでなければならないのか。なぜ、ずっと続けられるのか。この質問の答えを、常に自問自答していくことが大事だ。

----------[AD]----------