ベトナムのスタートアップシーンが東南アジアで最も積極的である10の理由

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筆者が10のアクションに関する投稿を先月公開した際、多くの注目を集めた。その理由は、私がこの投稿に10という数字を入れたことと、読者がリストをクリックすることが大好きだったことにある。

だが、主な理由はベトナムの起業家がスタートアップシーンを大切にしていることにある。コミュニティが一緒に仕事して構築する必要があるという感覚がはっきりとある。そして、東南アジアを旅し地域全体の有力者たちと話し、現時点でベトナムにおいて非常にユニークなものかもしれないという感覚に私は気づき始めている。

つまり、ベトナムは既に盛り上がっているし、スタートアップシーンも支援の必要はないのだ。勢いを保ちさえすればいいのだ。最近シリーズBラウンドの資金を獲得したTiki.vnの設立者兼CEOのSon Tran氏は、ベトナムのスタートアップのピークはまだ来ている途中で、2015年または2016年までは減速しないと思うと私に語ってくれた。

一番にはその数

ベトナムの2013年の起業家数は、ものすごい進展を見せている。 今回紹介するのは、そのうちの何人かだ。

1. 新規企業の増加:先日、開催されたTIGERS@メコンイベントのプレゼンテーションにおいて、計画投資省の副局長Nguyen Hoa Cuong氏は、新規登録企業の数は2010年以降減少していることに言及した。これはベトナムの経済成長の着実な停滞を明確に示している。

しかし2013年、成長率はすでに昨年の登録数を大きく超えている。2012年全体の登録社数6万9,874件と比較し、2013年半ばの時点で既に3万9,000社の登録がある。これらの数字は、経済が好転していることを示している。すなわち、貧しい経済に直面していてもベトナム人は未だ起業家精神に溢れているということだ。

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2. ベトナムはスタートアップ投資とイグジット戦略において地域のリーダーである数字を見てほしい。ベトナムは1月以来、5件の著しいイグジットと15件以上の重要なハイテク投資を実施してきた。

シンガポールを除く東南アジア諸国では類を見ない。本質的に、これは2つのことを意味する:投資家はベトナムのIT展望に将来性を見出しており、ベトナムのスタートアップはそれを実現しているということだ。

気質

3. ポスト共産主義時代における積極的でハングリーな精神:ベトナムが社会主義志向の市場経済で1989年に国を開いてから、2008年までには極度の貧困線から引き上げるほどの驚異的な成長をしており、GDPも顕著に成長してきた。

もちろん、最大の成長エンジンの1つは、ベトナムで若い企業が多く誕生したことだった。ベトナムの企業や競争の急速な成長の背景には、かつての世代の勤勉や価値が、若くて仕事熱心な現代の世代に受け継がれたことがある。抑制された貧困、機会に目覚める戦争の世代はいなくなってしまった。これはベトナムのスタートアップシーンに引き継がれている。未開拓市場・機会の機が熟しているというメンタリティーである。

4. 抜け目ない人々:ベトナムには「法律はジャングルのように無数にあるが、人々はジャングルの法則に従う」という調子のことわざがある。別の言葉で言うと、ベトナムの法律や政治システムにおける障害や地雷にもかかわらず、依然として人々は非常に成功した企業を構築しているということだ。

ベトナムのいわゆる腐敗にもかかわらず、非常に成功した企業を構築しているように見えるのは地元企業だ。これは、全ての産業における若年および年配の起業家からの実践的なビジネスメンタリティーから生じている。

5. 「ベトナム人は本質的に起業家精神に溢れていること。」:少なくともベトナムでは常に耳にする言葉だ。家族経営の店が至るところにある。地元の通りに新しい店が開店すれば、数か月後には新しい競合店を見かけることになる。

常に金儲けの方法について頭をめぐらせているのだ。悪徳商売や貧欲なビジネスマンにみられることだが、起業家精神の根底にも刻み込まれている。

歴史

6. ベトナム人の海外移住:残念なことに、ベトナムは外国と長い期間にわたって多くの戦争を経験してきた。しかしこれにより、多くのベトナム人が外国で居住することになった。

そしてこうした人たちが母国の市場に興味を持ち始め、もしくは地元の起業家とつながるにつれて、いくつかの恩恵も見られ始めた。例えば、Nhom Muaというベトナムのお買い得情報サイトは、破綻する前、2011年から2012年にかけて飛躍的な成長を遂げたが、外国人と外国にいたベトナム人の帰還者のチームが運営していた。

エコシステムは成長路線にある

7. 国内外のイベントが好調:以前、新たなハッカソンや地元のカンファレンスも加わることで、ベトナムのイベントは非常に急速に成長していると述べた。StartMeUpのような地元主催のイベントから、DEMO ASEANといった国際的に認められているものまで、なんでもある。

これでわかるのは、スタートアップや起業への関心のレベルがもともと強いとかコミュニティに由来するものというだけでなく、成熟した市場からも関心が出てきているということだ。これが、エコシステムを育てるのに一役買うのだ。

8. 想像以上にいる指導者たち:これは筆者の10のアクションに関する投稿の中で、ベトナムのスタートアップのリーダーは隠れていると述べた。つまり、読者が思うよりもずっと多いということだ。Tai氏もその1人だ。

ベトナムで成功したモバイルテック企業の一つであるSocbayの設立者兼CEOであるが、業界での動きや投資動向についてかなり控えめにしている。彼らが世を忍んでいるからといって、それが即、何もしていないという意味にはならない。これは、競り合うような雰囲気をもたらすが、同時にもっと引き出されなくてはならないリソースでもある。

9. 物事を完了させる人的ネットワーク:ベトナムは長い間、無理難題が多いという評判がある。近隣諸国ほどオープンでもなく、アクセスも容易でない。しかし、強力な人的ネットワークがベトナムの2大都市をつないでおり、この中に入るにはいくつかの手続きと法的な障壁が必要なだけだ。

最近のマクドナルドの進出事例を見ると、ベトナムでの不可能をコネクションによっていかに可能にするかという典型的な物語のようである。Samsung、Nokia、Rocket Internet、Microsoftなどベトナムにオフィスを開設できた企業も全てこの点を理解している。

10. スタートアップイニシアチブの増大:5desire、Hatch.vn、Startup.vn、Startups.vn、Saigon Hub、Start Center、Hub.IT、Seedfund.vn、VYE Bootcamp、Launch、Action Space、そしてFounders Instituteは特に昨年中に成長しているイニシアチブの数例だ。

コワーキングスペース、掲載サイト、イベントそしてエコシステム上でスタートアップのニーズを適合させるプログラムの堅調な成長ぶりを目の当たりにしている。この成長ぶりが続けば、来年末までには健全で成熟したスタートアップシーンを見ることができるだろう。健全という意味では、収益を稼ぎ出したり、可能であればイグジット戦略を実施したり、圧倒的なユーザ数を獲得したスタートアップのことを指している。

おまけ:11. 海外で教育を受けたスタートアップたち:先に私が述べた通り、海外で教育を受け、ベトナムに戻りビジネスを始める若い設立者の世代がいる。教育をより一層受けた彼らグループは西洋的な考え方を理解し、そういった原理原則をベトナム経済に適用することができる。

さて、以上に述べた全ての事柄がその勢いを続けると、Son Tran氏の言うように、ベトナムの状況が2015年まで上昇し続けるだろうというスタートアップの予言が現実のもととなるかもしれない。そう願うばかりだ。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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