【インタビュー】Hao123〜Booklap提携に見る、大手ネット企業とスタートアップの手の組み方

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hao123-booklap_logos先頃、書籍発見サービスの Booklap は、中国最大手のサーチエンジン Baidu(百度)と提携し、ディレクトリーサイトの Hao123コンテンツ供給を開始した。世界有数のサーチポータルが、スタートアップと手を組む理由は何なのか。

Baidu Japan 事業企画本部の夏超(Xia Chao)氏と、Booklap を運営する Prosbee の CEO 笠井レオ氏に、今回の提携が意味するものと今後の展開について聞いた。

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右から:Baidu Japan 事業企画本部リーダー 夏超氏、Prosbee CEO 笠井レオ氏

Hao123 の位置づけについて教えてください。

Baidu 夏:

Hao123 は、世界の9カ国で展開するディレクトリー・サービスです。エジプト、ブラジル、タイ、台湾、トルコ、インドネシア、ベトナム、サウジアラビア、そして、ここ日本で展開しています。中国本土の Hao123 とは異なり、各国の Hao123 は現地ユーザに受け入れられるように、徹底したローカリゼーション戦略を取っています。コンテンツの収集や戦略の判断は、各国現地法人の担当者に委ねられています。

今回の提携において、Baidu Japan と Prosbee の間に金銭的な関係は存在するのか。

Baidu 夏:

資本提携とか開発委託ではないので、金銭の授受は発生していません。提携という言葉が仰々しいほどフランクなものです。とにかく面白いコンテンツを集めたいという思いから始めました。スタートアップにとって難しいのは、何よりユーザ獲得でしょう。一方、Baidu にとっては、各国市場で面白いサービスを一から作るとなると時間がかかるし、それだけの開発リソースを割くことはできません。両社が手を組むことで、うまく行ったらいいし、仮にうまく行かなくても、双方にとって失うものは何も無いと考えたわけです。

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Hao123 に表示された、Booklap「今日の名言」

Prosbee にとっては、Baidu Japan と組むことで、海外展望などの道が拓けることになるのか。

Prosbee 笠井:

もちろんその可能性はありますが、海外展開する場合、それに先立って、Booklap 自身も多国語対応する必要があります。その展望が無いわけではありませんが、現在は日本市場に集中し、ユーザ開拓することに注力したいと考えています。

Baidu としては、今後、日本のスタートアップと協業を重視していくのか。スタートアップはどのようなメリットが得られるか。

Baidu 夏:

xiaHao123 については、どんなサービスが日本のユーザに刺さるのか、いろんなスタートアップと組んで試したいと考えています。ですので、Hao123 と連携したいスタートアップが居たら、ぜひ連絡してほしいと思います。Hao123 は広告収入モデルで成り立っていますが、Baidu 社内では、Hao123 のことを〝バス〟に例えています。お客さんは目的地を目指していて、Hao123 はそこへと〝お客さんを運ぶバス〟に過ぎません。今回の場合、目的地の一つは Boolkap ということになります。魅力的な目的地が増えれば、バスに乗ってくれるお客さんが増えることになります。

Prosbee 笠井:

kasaiBaidu Japan と組んだことで印象に残ったのは、意思決定スピードが非常に速いことです。これは、 Baidu のような大きな会社と付き合う上で考えられないことでした。そして、決定したことをやりきるというカルチャー。当たり前のことですが、その当たり前のことを現実化させていくプロセスが、スタートアップにとっては、すごく勉強になりました。我々の社内の運営にも応用したいと思います。


夏氏が Hao123 を担当することになったのは今年1月。以来、日本のインターネット・サービスやスタートアップとの連携を加速させており、先頃、Baidu の Android 向け日本語入力アプリ Simeji とユナイテッドのスマートフォン着せ替えアプリ CocoPPa が提携したのも記憶に新しい。

一般的に、スタートアップが大手企業と手を組むのは敷居の高いものだが、Hao123 と Booklap の提携のケースのように、フラットな関係であれば、サービス開発以外の種々雑多な調整事に時間がとられることも無く、スタートアップにとっては、ユーザ獲得のレバレッジを利かせる上で有効な手段が得られる。Baidu Japan では、他にも連携できるサービスを探しているということなので、興味のあるスタートアップは連絡してみるとよいだろう。

一方、Booklap は先日の資金調達を受け、開発体制を一気に強化する予定だ。現在活動の拠点としている渋谷・神泉のシェアオフィス「BOAT」から巣立つ日も、そう遠くはなさそうだ。

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