マンション比較と口コミの「マンションノート」ーーこれまでにありそうでなかった三つの理由

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2013.9.28

マンションノート___日本最大級のマンション口コミサイト

国内の住環境、不動産関連のサービスはリフォーム関連のSUVACOや部屋探しのiettyなどいくつか新星も出現していて、ちょっと面白くなりそうなテーマと感じている。そこで休日なので、ニュースというよりはひとつ興味深いサービスを取材したのでご紹介したい。マンションの比較口コミサービス「マンションノート」だ。

高額商品の口コミだからこそ必要な「独特の運用ルール」

まさしくマンション版の「食べログ」といった面持ちで、ユーザーの口コミと評価点がマンション毎に分かるようになっている。

興味深いのはこの評価点や口コミをポストする際の独特のルールだ。

通常口コミサイトの場合、ごく少数の投稿者の情報を閲覧者が眺める、という図式になりがちだ。そこで重要なのが投稿する側のモチベーション設計になってくる。マンションノートでは、そこが面白くて、評価点や口コミなどの情報を沢山見たい場合、必ず自分も投稿者にならなければいけない、というルールを取り入れている。

Brillia_Mare(ブリリアマーレ)_有明_-_東京都江東区有明___マンションノート

また、もう一点、高額な商品だけにマンションデベロッパーなどの業者がサクラとして入ってくることを考えなくてはならない。ここも面白く、それらを排除するのではなく、レビュー投稿者は必ずそのマンションのいいところと「気になるところ(=悪いところ)」の両方を書くというルールにしているのだ。

運営するレンガ代表取締役の藤井真人氏は「完璧なマンションなんてないんです」と表現していたが、なるほど宣伝もできるが事実も伝えなければいけない、合理的な設計だと思う。

運営側ではさらに徹底していて、100項目ほどの審査項目を用意してスタッフが書き込みを目視でチェックして口コミや評価の質を担保しようとしている。

ありそうでなかった三つの理由

実は私は実際にマンションの購入検討をするなか、数年前にあるサービスを使っていた。この掲示板だ。匿名で書いてある内容は某大型掲示板に近く、情報量は多い。噂や宣伝、中傷を割り引いて参考にしていた。

需要はある。だからこれまでに食べログのような評価ポイントを付けるサービスもあっても全く違和感はない。逆になんでなかったのだろうか。藤井氏との話から三つほどに整理した。

1:宣伝で悪いことは書けない

大手デベロッパーやマンション情報サービスを運営する仲介事業者等は、宣伝は書けても「不利な情報」を提供することは難しい。広告モデルの限界に近いかも。

2:データベース情報が必要

藤井氏の関連でマンション関連のデータベース情報が既に50万件ほど手元にあるのでサービスが成立した。これがなければ手軽に始めることはできない。

3:面倒な運用ルールと複雑な設計

先に書いたような独特の運用ルールがなければ情報の質が担保できない。

三つ目の理由は「え、そんなのパクればいいじゃん」と思うかもしれないが、面倒なこと程、じわじわくる参入障壁はないのだ。そういう選択をする人は大体、もっと楽な事業を見つければそっちに乗り換える。

購入者、デベロッパー、仲介時業者の三方が適切にマッチングされ、それぞれの体験や価値が最大化されなければこのサービスは成り立たない。また、中立であることも重要だ。こういった「微妙なバランス」の上に成立している点もこれまでになかった理由かもしれない。

ただ、マンション購入というのは「一生に一回」(そうじゃない人もいるけど)の出来事だ。確かに購入後のコミュニケーションも実施されているようだが、食べログのように利用機会が「一日三回やってくる」類のものでないという点が、事業モデルにどう影響してくるか気になる。

自己資金で運営、25万人のユーザーが利用

サービスを立上げた藤井氏は新卒で博報堂入社後、エニグモ創業時に取締役COOとして参加。その後また博報堂で経営戦略などに携わった後、2012年12月にレンガを創業した。

ベテランの起業家らしく、資金調達などの具体的な計画は教えてもらえなかったが、まだ自己資金で運営しており、早々にスケールへと移行するのではないかと感じた。

なおサービスは運営開始後、約半年を経て毎月25万人が利用しており、現在、アルバイトや有志の方も含めて20名ほどのメンバーで運営しているという。これまでノーマークだっただけに、今後の展開が気になるプレーヤーだ。

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