粘り強く、しなやかに、したたかにーーVOYAGE GROUP宇佐美氏が語る「創業期の経験と企業として求められるもの」

by Eguchi Shintaro Eguchi Shintaro on 2013.9.2

どんな企業も、創業期には苦労や失敗を多く経験している。失敗を糧に、どれだけ前を向いて進んでいけるかが起業家には問われてくる。

VOYAGE GROUP代表取締役CEO宇佐美進典氏は、99年に創業し、ECナビやPeXなどのメディア事業やテクノロジー事業を中心に、無料シェアオフィスBOATやVOYAGE VENTURESなどの投資事業を展開し、現在では社員300名を超えるグループ企業へと発展させた。

同氏がMOVIDA SCHOOLで語った、創業期における経験と企業として求められる取り組みについてまとめた。

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ゼロから何かを作りたい意識から創業

学生時代から起業したいと考え、新卒でトーマツコンサルティング(現デロイトトーマツコンサルティング)に入社した。その後、ゼロから作る経験をしたいと考え、ソフトウェアベンチャーに転職。インターネットが来ると予感し、妻と2人で最初の会社を立ち上げた。求人情報の検索サイトを作ろうとし、ベンチャー育成の助成金をもとにサービスを作った。しかし、自分が思い描いていたものと出来上がったものに大きなギャップがあった。

そこで気づいたのは、確かに大きなプロジェクトではあったが、自分の人生を賭けるほどのものではないということだ。自分の人生を賭けるからには、世界を変えるような大きなものでなければいけないと考え、個人や身内でやることの限界を感じ、同じ目標を共有するチームでやりたいと思い2度目の起業でアクシブドットコム(現在のVOYAGE GROUP)を創業した。

事業がピボットしても、変わらない行動理念

一度社長を経験し、自分は社長の器ではないと感じ代表取締役CEOが友人で自分は取締役COOとして創業した。創業時の思いは、どんな会社にしたいかを常に考えていた。事業の内容で何をするかよりも、どんな会社にしたいかを決め、企業としての軸を作ることだ。事業の内容がピボットしても、変わらない行動理念が定まっているかが会社として大きな基盤となる。

上手くいっている競合を徹底的に分析すること

スタート時は、事業計画通りにはなかなかうまくいかなかった。軌道に乗るまでに何度も事業を変え、変えてもうまくいかず失敗づくしだった。しかし、自分の能力を把握し、共同創業者と2人でやったことで、日々新しい挑戦が行えたことで、道が拓かれていった。また、資金調達を早めに実施したことで、資金繰りに苦労することなく事業に集中することができた。

事業に必要な情報のために、上手くいっている競合サービスを徹底的に調べて真似をした。その時に見るべきは、お金の回し方などのビジネスモデルをきちんと分析することだ。サービス自体がイケていないように見えても、ビジネスが上手くいっているところもある。売れている競合を真似しよう。

何もしないよりも、何かをチャレンジしてする失敗のほうが良い

失敗も多くあった。戦略や戦術に注力し人やカルチャーを重視していなかったが、戦術や戦略は人やカルチャーがあってこそ活きるものだと学んだ。自分たちの思い込みでサービスを作り、時に違った方向に進むこともあった。ユーザの声やステークホルダーのことを考え、何のためのサービスかを常に忘れてはいけない。

チャレンジしてうまくいかなかったことではなく、むしろ何もやらなかったことのほうが大きな失敗だ。挑戦は評価されることなので、少しでもチャンスがあれば、ぜひ行動に移してもらいたい。

人が組織のカルチャーを創る

今の起業家にアドバイスすることとして、スタートアップは、良いチーム創りに注力すべきだということ。その後に事業を考えてもいいくらい、人は重要だ。採用に関しては、自分よりも優秀な人を採用する気構えを持ってもらいたい。そして、トップが完全に採用にコミットすること。コントロール出来る人を採用するのではなく、枠を飛び越えて自分で考えて行動できる人を採用しよう。そこを妥協してはいけない。

受託は「生き抜く」ためのもの

成長企業を目指すのであれば、極力受託はやらないことだ。資金調達をしてでも、自社サービスを作ったほうがいい。生き抜くための受託もあるが、あくまで「生き抜く」ためにやっていることを忘れてはいけない。

粘り強く、しなやかに、したたかに生きる

環境に柔軟に対応しよう。大事なのは粘り強く、しなやかに、したたかに生きていくことだ。どんなに事業や社名が変わろうとも、根底にある会社や人がどうありたいかをぶらさず、常に成長市場を狙って突き進んでもらいたい。

経営者の発信や広報を重視する

経営者の情報発信は、スタートアップにとって重要だ。ブログで自身の考えを発信することで、採用にも良い影響を及ぼす。最近ではソーシャルメディアも一つのツールとして活きてくる。メディアとのリレーションシップにおいても、定期的なリリースや情報発信をすることは大事だ。当たり前だが、実力以上の広報をするといつかメッキが剥がれる。実力との乖離ではなく、堅実に実力を伸ばすことを怠ってはいけない。

創業から2年が勝負

自分に合ったメンターを探そう。細かなアドバイスではなく、大きな指針を示してくれる人と定期的にコミュニケーションを取ろう。よく言われるかもしれないが、「創業」という魔法が効くのは2年までだ。結果がでない中で社員が頑張り続けられるのは2年が限界だと考え、早く成長の実績を作っていこう。

歴史から学ぶ

社長の器は会社の器でもある。社長次第で変わってくる。だからこそ、器を大きくするために歴史から学ぼう。特に『ローマ人の物語』などを薦める。インターネットも電話もない時代に、言語も宗教も違う人たちをどのようにマネジメントしたか。どういったリーダーシップを発揮するとどうなるかを、歴史から学ぶことができる。

すべてに対して誠実に

すべてに対して誠実であろう。誠実さは大事であり、取引先やユーザ、社会全体に対してそうした気概を持とう。人に何かを言われることは、自分にどこか非があるからだ。誠実さを忘れず、日々を過ごしてもらいたい。

普段の言動一つ一つに気を配ってもらいたい。言葉一つが自走することも多い。自然と出てくる言葉によって、言霊となって個人や組織全体に浸透してくる。カルチャーは個人の個性を通じ、組織としての文脈が出てくる。だからこそ、言葉にしていく作業を通じて、自分たちの価値観や行動理念を作り上げていくことが大事なのだ。

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