【レビュー】「NewsPicks」はスマホ時代の経済情報誌になり得るかーー鍵は経済通の「人力」キュレーション

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NEWS_PICKS___もっと自由な経済紙を。

ソーシャルメディアとスマートデバイスの出現により、私たちは個々の人物が発信する小さなアップデートですら、いつでもどこでも、本当に文字通り24時間受け取れるようになってしまった。

当然ながら問題になるのは「何を受け取ればいいか」だ。この課題に取り組む3つのニューステクノロジーについてはこの記事に書いたこともある。

そして今日、また新しいアプローチでこの課題に挑戦しようとするプレーヤーが現れた。業界分析情報のデータベース「SPEEDA」を運営するユーザベースは9月18日、経済情報に特化したiOS向けニュースキュレーションアプリ「News Picks」を公開した。

スマホ時代の「経済情報誌」とは

「News Picks」は国内外30誌のメディアが配信する経済情報をアグリゲーション配信し、さらにユーザーベース専属のセクターアナリストや業界で活躍する実業家などがキュレーションした情報を一元的に取得することができる。Ver.5.0以降のiOSに対応しており、利用は無料。年内にはウェブ版の公開も予定している。

なんだRSSのアグリゲーションか、と思った方は半分はアタリで半分はハズレだ。なぜならこの「サービス」(あえてアプリとは書かない)の注目すべきポイントはユーザベースという会社がこれをリリースしたことにあるからだ。

ユーザベースの設立は2008年。投資銀行出身の創業メンバーが立上げたSPEEDAは、金融や事業会社向けに同社が提携するシンクタンクなどから集まる業界情報を容易に収集・分析できるサービス。

この分野では米ブルームバーグやトムソン・ロイターといった巨人が君臨しており、従来、情報端末に専門的なコマンドを習得して利用するのが通常だった情報収集の方法をよりシンプルかつワンストップに改良したことが特徴になっている。アジア中心にネットワークを拡大しており、上海、香港、シンガポールに拠点を構えている。

経済通のキュレーションが鍵…のはず

つまり、経済事情に強い専門家ネットワークを持つ同社が経済ニュースをピックアップしてくれるというのだ。

「経済通のオススメ経済情報が読めるサービス」とでも言うべきだろうか。ただでさえ情報が溢れ返るなか、この取捨選択はありがたい。ということで、そういう視点でアプリを実際に使ってみた。

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アプリを立上げると、まずソーシャルアカウント等でのログインを要求される。ちょっと意外だったのはソーシャルアカウントでのログインだけでなく、独自のパスワードを求められ、ユーザーアカウントの作成を求められる点だ。正直言うと、ここで一瞬つまづきそうになった。

その後、興味のある人物や業界カテゴリを選択する。Vingowではタグ情報だったがそれに似ている。

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設定が完了するとフォローしている人物が画面右上に設置されている「Pickボタン」でピックアップした情報や、ロボット(自動的に話題をクロールしてくれるカテゴリのような存在)の配信するニュースがタイムラインに並ぶ。

ニュースにメモを付けることも可能で、情報をピックアップした人がどの点を気にしたのかも分かる場合がある。

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ユーザー別の画面ではその人がピックアップした情報だけを見れるので、特にこの人が気になっているニュースが欲しい場合はこの画面を使うと便利だ。RSSリーダーと同様に各ニュースサイトで原文をチェックすることも可能。

もっと「ワガママ」にオススメしてもらった方が嬉しい

ただ、実際に一連の流れでニュースを見てみたのだが「情報の取捨選択」についてはまだ改善の余地がありそうだった。まず、このサービスでもっとも重要と思われる「経済通」をどうのように選択すればいいか分からなかった。例えば堀江貴文氏を選択したとして、どういう経済情報が手に入るのかわかりづらい。

同氏はTwitterのアカウントもあるので、気になったニュースであればそこでも流れてくる。さらに一般のユーザーも混在するので、結果的に玉石混交に近づいてしまう。また元になるソース情報にもライフハック系のものがあったりすると「?」と思ってしまう。

それとインターフェースだ。私がこのサービスに期待したことは「自分が取得すべき必要最低限の経済情報を教えてもらう」ことだった。しかし、ソーシャルを双方向に盛り込んだために、利用ユーザーは「オススメを教えてもらう」と同時に「オススメ情報を教える」側にも回ってしまう。

結果的に主となる導線がみえづらく、もっとも価値のある要素がぼやける印象になったのは残念だ。

Gunosy、Vingow、SmartNewsといった先行しているニューステクノロジーは「一方向からの配信」になっている。読む側は受信だけすればいいので、結果的に情報収集が容易になる。もっとストレートに、ワガママに「この経済情報だけ読めばいい!」と押し切っても良かったと思う。

私たちもスタートアップというごく限られた界隈で日々巻き起こる新サービス登場、資金調達に買収といった経済戦争の一端をお伝えしている。このようなニッチな経済圏ですら可視化が可能になった今、このようなサービスの重要性はさらなる高まりが予想される。それだけに今後のアップデートも含め、期待感を持って追いかけたいと思う。

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