教科書英語に別れを告げられる「OKpanda」が日本で正式ローンチ、仕掛人は中毒的サービス体験を生むシリアルアントレプレナー

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OKpanda-injapanOKpandaの共同ファウンダー、日本にて

英語を話せるようになりたいと口にする日本人は多い。実際、市場規模でみると、日本の個人英語学習は年間50億ドルにも及ぶ。そのゴールを後押しする英語学習サービスは数知れないが、TOEFLでみる日本人の英語力は最下位から3番目。カンボジアや、モンゴリアより多少高い程度のレベルに留まっている。そんな市場に「必ず勝者が出てくるはず」と話すのは、米国のスタートアップ「OKpanda」だ。同社は、初期ローンチを日本市場に定める英語学習サービスで、年内にもそのiPhoneアプリをリリースする。現在日本を訪問している共同ファウンダーでCEOのAdam Griesに話を聞いた。

残念ながら、日本の義務教育で習う英語は教科書英語。会話は必ず“Hello, how are you?”に対して、“I’m fine, thank you.”と返すやり取りだと習う。だが、実際に人に会って掛け合う言葉はバラエティに富む。そんなあらゆるシチュエーションにおける会話パターンを、アバターとのインタラクティブな会話を通じて習得できるのがOKpandaだ。アバターとのコミュニケーションは、タイプ入力もあればスピーキングもある。初対面の人と出会ったとき、仕事で面接を受けるときなど、あらゆる状況で想定できる会話シナリオを網羅していく予定だという。

3人の共同ファウンダーたちは、彼ら自身、6 〜8カ国語を話す熱烈な語学学習者だ。語学習得のプロセスや難しさを自ら経験している。語学習得に必要な要素は、ライブ、デジタル(オンラインやモバイル)、コーチングの3つだと話すAdam。ライブというのは、Skypeなどの通話サービスを使った人とのコミュニケーション。デジタルは、それを補完することもでき、自分のペースで行える学習。さらには、習得のプロセスやスピードなど、目的を見据えて学習をガイドしてくれるコーチの存在。それぞれをバラバラに提供する語学サービスはあっても、まだこれらを統合した決定的なサービスは登場していないと話す。

今回の日本市場を皮切りとしたローンチに際して、OKpandaは先日、シードラウンドで140万ドル調達している。引受先には、Resolute Venturesやグーグルのエリック・シュミット率いるInnovation EndeavorsKapor Capital500 Startupsが名を連ねる。また、KarmaやTapjoyのファウンダーで、Facebook Commerceのトップを勤めるLee Linden、超人気ソーシャルゲーム「Mafia Wars」のファウンダーであるRoger Dickeyなども出資しているという。

500 StartupsのDave McClureはこうコメントする。

「英語がグローバル言語であることは間違いない。そして、今では誰のポケットにもモバイルフォンがあり、これは非常に大きなチャンスだと言える。OKpandaはモバイル学習を楽しく簡単なものにし、今の日本にはこれら2つの要素がどちらも必要だ。英語習得を口約束するサービスが多い中、OKpandaがこの市場でやらかしてくれることを期待している。」

OKpandaのCEOであるAdam Griesは、ソーシャルゲームの領域でFacebookとiOSを合わせて総ユーザー数7,300万人のサービスを手掛けてきた。また、CTOのNir Markusは、一人用ゲームにコンペティション要素を追加できる「PlayerDuel」のファウンダー兼CTOだった経歴を持つ。そんな中毒性の高いエンターテイメントサービスを生んできたノウハウを、社会的により意義のある教育という分野に応用していく。

Adamはこんな風に話してくれた。

「日本市場を選んだ理由はいくつかある。売り上げで見た市場規模の大きさ、スマートフォンやモバイルインターネット環境の普及、根強いモバイル課金の文化など。また、楽天やユニクロに代表される社内英語公用語の推進、またオリンピックに向けても英語力の底上げが求められるタイミングでもある。また、僕自身、子どもの頃から日本が好きで、上智大学で勉強した経験もある。共同ファウンダーの3人に2人は日本語を習得している。日本には、火がつくと凄まじい勢いを見せる国民性があると思う。そんな日本が、これからグローバル経済で闘っていくためにも、英語力の習得という分野でそれをサポートしたい。」

素晴らしいユーザエクスペリエンスと中毒性のあるメカニクスを用いて、日本の英語学習市場に参入するOKpanda。年内にリリース予定のサービスだが、既に同社のウェブサイトで事前登録ができる。また、日本での正式ローンチに向けて、OKpandaの7人から成るチームは現在全員日本に来日している。現地のエンジニアやビジネス開発などに最適な人材も探しているという。

OKpanda

 

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