パズドラ、Candy Crush、Clash of Clansーー三強ゲームアプリに代表されるように、ネイティブ時代は本格的な幕開けを迎えている。参入プレーヤーたちの攻勢もよく聞こえてくるようになったし、さらに興味深いのは並行してこれらのアプリの品質を向上させる有力プレーヤーたちが次々と立上がり高評価を得ている事実だ。
先日開催されたB Dash CampではグロースハックのKAIZEN Platformが提供する「PlanBCD」が高い評価を得たし、モバイルゲームの開発プラットフォーム「Fello」は公開1カ月で100社を超えるユーザー獲得に成功している。そして今日、公開されるツールもまた魅力的だ。
サイバーエージェント子会社でスマートフォン向けのカメラアプリmy365を運営しているシロクは10月10日、スマートフォンアプリ向けの総合デバッグサービス「Growth Debug(グロースデバッグ)」を公開した。
これは以前紹介した8月公開のプッシュ通知解析サービス「GrowthPush」の姉妹サービス。ツールとデバッガー提供の二つの構成でサービス提供され、料金等については問い合わせが必要としている。
競争激化が予想されるグロース系サービス
「ブルーオーシャンだと思ってたら海が茶色になってきました。市場として盛り上がるのはよいことなんですけどね」(シロク取締役の向山雄登氏)。
8月のGrowthPush公開時に3カ月で1000アプリ導入、1億配信を目指すとしていたので現在の状況を聞いてみたところ「アプリ数は苦戦してるけど、3カ月で1億配信は達成できそうですね。海外が対応まだ無理で、ソーシャルゲームが多いです。その他はカジュアルゲーム、コミュニティ系など」とまずまずの出だしを教えてくれた。
さらに親会社のサービスでもあるAmeba関連アプリについては「200アプリすべてに導入してくつもりで進めています。1000アプリ達成時に20%ぐらいの割合を予定」しているという。
GrowthPush利用時の平均的な効率化についても「(自社で運営している)My365では平均してDAUが1.2〜1.5倍になってます」。とこちらも予定通りの様子だった。
スマートフォン時代のデバッグ課題は「細かい改善」の管理
今日公開されたGrowth DebugはそのPushサービスとはちょっと違ったアプローチでの品質向上、効率化を実現するサービスだ。「サービス」と書いたのはこれが単なるツールだけの提供ではなく、人員も含めた形で提供しようとしているところにある。詳しく説明しよう。
まずはツールだ。従来バグ発見時にエクセルなどで管理をしていた工程を全てオンラインツールで実施する。テスト結果は画像と端末のID、ログなどと一緒にJIRAやRedmineなどのチケット発行ツールに送信できる。
向山氏は「これまでのサービスでは例えば入力してから登録までの動きをスクリプトにして、アップデートの時にそれを走らせてデバッグしてたんです。けど、スマホアプリでは細かい改善が多くて早く、そういうスクリプトが無駄になることが多かった。そこで結果的に手入力が増えたんですね」と背景を語る。
さらに「バグを発見してテスト項目を作る箇所はチームによって質がばらついて効率が悪かったんです。エンジニアがデバッガーにいちいち確認したりとか。しかもソーシャルゲームだと課金ひとつのバグが売上に直結することもしばしばです。そこでパソコンと端末をつないで、不具合を発見したときにエラーログや端末のIDなどをボタンひとつで報告できるツールを提供しようと考えたんです」と続けた。
重要な工程なのにエクセルなどの汎用ツールで処理されていた工程を効率化し、エンジニアが新機能の開発に使える時間を確保できればプロダクトの「グロース」に繋がる。
デバッグ経験者ネットワークとサイバーエージェントでのノウハウ
もうひとつがデバッグ経験者ネットワークの提供だ。「サイバーエージェントのアプリは沢山あるので、その経験がデバッグを効率的に進めるのに役立ちます。こういったデバッグ経験者をネットワークしてサポートします。つまりツールと人で効率化する、という狙いですね」(向山氏)。
現在は人材会社10社ぐらいと提携していて、タイミングに応じて呼んでくるスタイルだそうだが、これは「PlanBCD」がUXデザイナーをネットワーク化してクラウドソーシングしているイメージに近いので、もしかしたらそういった展開もあるかもしれない。ちなみにこのGrowth Debugだが、Amebaのアプリで実績を調べたところデバッグ時間に約30%の改善ができたそうだ。
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