日本にもGoogleのようなテクノロジー企業が必要ーー共同代表の木村氏に聞く「Gunosyの正体」(後半)

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ニュース系テクノロジー・スタートアップの戦いが熱い。各プレーヤーはそれぞれの特徴を打ち出しつつ、経営戦略でも経験者の投入が相次ぐなど、徐々に大人の戦いへとステージを移しつつある。

前半の記事では新たに開始した広告展開からGunosyとは何か?という点についてGunosy共同代表の木村新司氏に話を聞いた。後半では、競合との戦いや起業経験者としての次の目標などを聞く。(聞き手:筆者、話は全て木村氏)

ーー前半からのつづき

競合との戦いーーニュースからコマース、「デジタル情報」の点と点をつなぐ

TB:その他、競合となるサービスがいくつかあります。彼らとの差別化は。

木村:「検索の手前」が重要なキーワードと考えてます。Gunosyは人がなにかアクションを起こす前に、それに必要な「近い情報」と出会わせることができるわけです。そういう意味でニュースというのはひとつめの仕事でした。

今後は本とか音楽、綺麗なイメージでもいいです。コマースだって最近では個人のものになりつつあるじゃないですか。こういったありとあらゆるコンテンツを人と出会わせる。

TB:おお、ニュース以外にも広げるんですね。

木村:Gunosyって頻度に強いんです。毎日なんらかの形でアクセスするチャンスがある。コンテンツに強い人たちと組むことで世界中で効率的なマッチングが発生するようになる。

そうするとどうなるか。今まで存在しえなかった消費が生まれるんです。点と点を結ぶ、スティーブ・ジョブズの有名な言葉じゃないですけど、これをレコメンドの世界で実現する。そうすれば世界って幸せになると思いません?

2013_11_05のkigoyamaのGunosy

TB:Amazonは買ったモノのレコメンドでした。Gunosyはあくまで興味範囲からの推薦なんですよね。

木村:誤解されがちなんですけど、推薦してる記事って別にお友達がシェアしたものから出してるわけじゃないんです。逆にそういうものは一切とってない。

本当にユーザーの興味範囲だけをおおまかにみて、その人の頭の中を模倣しようとしているんですね。だから、結果的に前の日に読んだ記事とかも混じってレコメンドされたりするんです。

TB:Gunosyはツールとして成長を続けていますが、一方でエンタメ的な「ファン」を作る方面はまだこれからのような印象を持っています。例えば、リアルタイム生を出すとかそういう方向性はあるのでしょうか?

木村:そもそもの限界として興味範囲はそこまでリアルタイムなものじゃないので、更新はまだ難しいです。一般的なニュースは更新かかるようにしてますが。

まあ、いくつかのサービスを使い分けてる方も多いと聞くので、ひとつで全部できた方が便利ではありますよね。

朝刊や夕刊って一日の行動じゃないですか。タイムラインって雑誌的な動きだし、12時前にはクックパッドの情報が届いてもいいと思うんですね。こういうテレビ欄的な「流れ」というのはエンタメ的要素として考えてはいます。

起業経験者としての次の目標「日本にも新たなテクノロジー企業が必要」

TB:共同代表の話に少し戻るんですが、木村さんは起業家として大きなイグジットを経験して、個人投資家としても活動し、そしてまたこの現場に戻ってきました。このGunosyではどういうスケールの事業を目指しますか?

木村:やはり競合含め、大手の動向を考えると大人の勝負も出てくるでしょう。20代の若いメンバーには想像の範疇にないことが沢山出てくる。これまでの経験で起業の現場も大手もみることができました。だから僕の役割は、彼らの想像の「タガ」を外すことなんだと思ってます。

TB:経営陣の布陣もこれまでのつながりを有効活用される?

木村:経営は人だし文化だし。色んなスタートアップ経験者に声かけてますし、今後みなさんが知っているような方も参加してくることになると思います。

それとアトランティスの時、AdMobになれるチャンスがあったとしてもファイナンスで20億円を集めることは難しかったんですね。

その頃と違って、既存のプレーヤーも大きいですし、しっかりと大きな会社にするためにはこの今の段階でしっかりとした人と資金を投入しなくちゃいけません。

私はその点苦労をしたので、どこが落とし穴かを理解した上で思いっきりストレートを投げ続けますよ。

日本にもGoogleやfacebookといったしっかりとしたテクノロジーで若い人たちが働ける場所が必要なんです。やはり僕らは次世代に残る1兆円企業を作らないといけないんです。

TB:お時間ありがとうございました。

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