モバイルコマースがチャットアプリの秘密兵器になりうる理由とは?

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Spencer Ng氏はグローバルマーケット調査会社TNSのクライアントサービスアソシエイトディレクターだ。彼はありとあらゆるモバイルに関心をもち、現在はMobile Behave(スマートフォン利用の測定プログラム)をアジアの主要市場で運営している。このプログラムの詳細については彼にeメールで聞いてほしい。


チャットアプリが勢いを増している中、これらのサービスがどのようにマネタイズしているかに関するニュースが増えている。そして、誰が自分たちのユーザベースを活用してこの競争に勝つのだろうか?

その秘密兵器は、mコマース次第なのかもしれない。mコマースは今まさに進行中だ。Tencent(HKG:0700)はユーザがブランド小売店で物を購入することも可能なチャットアプリWeChatを所有している。

最近、同社はチャットアプリ上で動作するマクドナルドの支払い機能まで発表した。彼らは例外ではない。Viberのような同様のアプリが革新的な新しいビジネスモデルを取り入れて、利用者から収益を上げつつある。例えばLineでは、近くの店が提供するグルメクーポンをユーザが見ることができるようになっており、2億人の登録ユーザのうち32%が既にそのようなクーポンを利用したことがあるという。

モバイル消費者に対する当社のMobile Life 2013シンジケート調査のデータを使用すると、複数の国を、モバイルチャットアプリの普及率とmコマースの普及率の座標軸にプロットすることができる。 1人あたりGDPの違いから、mコマース式の価値は市場によって異なることが明らかだ。

しかし、明確な視覚的相関(モバイルチャットアプリの普及率が高ければ、mコマースの普及率も高いということ)から、この2つのモバイルテクノロジーの普及率が上がるにつれて、チャットアプリとmコマースの広範なコンバージェンス(意味:一点に集まること)に対する機会が高まっていることを示唆しているようだ。

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今後のコンバージェンスに対処するためにチャットアプリは何ができるか?

はじめに、トレンドをつかむのに最適の場所はどこかを知る必要がある。mコマースには顕著な地理的側面がある。

ネットショッピングのほか、モバイルクーポンはローカルな実店舗ネットワークで活用できる最近のトレンドだ。そのため、この2つのテクノロジーのコンバージェンスを進めるには適切な市場を優先することが絶対に必要となる。

コンバージェンスの潜在力が高い市場

図の右上、第一象限にある国は、コンバージェンスからもたらされる機会が最も高いことを示している。国内におけるKakaoTalkやWeChatの成功からすると、韓国や中国はアクティブなマネタイズに向けてオーディエンスを惹きつけて離さないサービスを提供している。

この両国の他に、香港も注目すべき有望な市場だ。その理由は、高級小売事業の機会があることや中国本土の人(主にWeChatユーザ)が買い物するために香港に行く傾向があるためである。

香港観光局によると、年間に中国本土から香港を訪れる人の数は香港の人口の約3倍であるという。これは、WeChatのようなチャットアプリが小売業界と協力して、高級な製品やサービスを中国本土からの旅行者にもたらすべくモバイルクーポンサービスを提供するビジネスチャンスがあることを示している。

台湾もまたコンバージェンスに関して注目すべき面白い市場だ。香港同様、中国と比較して1人あたりGDPの水準は高い。しかしもっと重要なことは、チャットアプリLineがすでにこの市場のリーダー的存在で、チャットアプリユーザの間での普及率が70%を超えていることである。

今こそLineはリーダー的ポジションを活用して小売事業者と密接な関係を築き、すぐにでもmコマースサービスを始める好機であろう。そうすることで、ファーストムーバーのメリットを確保できる。

コンバージェンスの潜在性が低い市場

これらの市場では、ロジスティクスの問題、インターネットインフラの不足、クレジットカードの低利用といった要素の組み合わせがeコマース、いわんやmコマースの成長を妨げてきた。しかしながら、潜在性が低いというのはやや当たらない。

チャットアプリが都市レベルの戦略を採用している限り、まだ機会はある。例えばインドネシア。 最も顕著なサービスの本格展開はチャットアプリ普及率が全国平均を50%も上回るジャカルタに限られよう。さらに、限定的なサービス展開をすることにより小売事業者の獲得努力が地理的に集中し、広大な土地に薄く広がらないようになる。

インドネシアのチャットアプリ界において最大ユーザ数を誇るBlackberry Messenger(BBM)だが、ユーザ数はBlackBerryの垣根を越えてさらなる加速が予想されるという話だ。問題は、BBMがこれからどのようにしてユーザからマネタイズするかということだ。mコマースへの参入が本格化するのであれば、決済の問題を克服することが重要であろう。インドネシア市場では従来、現金が主流なのだ。

mコマースのエコシステムに関心のある小売事業者にとって、これは何を意味するか?

モバイルマーケティングがますます重要になるであろう。 チャットアプリなどは小売事業者が巨大なモバイルユーザベースへ踏み込むための中核的なプラットフォームとして現れ、モバイルクーポンや割引で従来型店舗とサービスを提供していくことになるであろう。

韓国では消費者の68%がすでにこのサービスを利用している。 さらに、Baskin RobbinsやStarbucksなどの小売事業者はすでにKakao 「ギフト」サービスを使ってモバイルクーポンを友達に送るサービスを提供している。2010年に107の対象アイテムであったのが、今では9,970アイテムとなっており、小売事業者がコンバージェンスを活用したいという需要が強いことを示している。

韓国をコンバージェンスレースの先頭と見ている一方で、その他の地域の見通しも有望のようだ。香港と台湾ではそれぞれ30%、40%の消費者がロケーションに応じた割引やサービスを受け入れるとしている。チャットアプリ以上に、このチャンスうまく利用する手段はあるだろうか?

かなりのリテールプレゼンスを持つ企業なら、このデジタルシフトを見逃さないように技術的コンバージェンスを正しく判断し、知見を得ていく必要があると言えるだろう。

注記:特に明記のない限り、データはすべてTNSのシンジケート調査Mobile Life 2013によるものである。本調査は消費者のモバイル業界におけるグローバル調査であり、43の市場に及ぶ3万8,000件のインタビューを対象としている。なお、このインタビューは2013年1月に行われた。

【原文】

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