「プロトタイピング市場に可能性を模索する」ーーシンガポールのプロトタイプ作成と3Dプリントのスタートアップ

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シンガポールに本社を置く3Dプリントとプロトタイプ作成のスタートアップPrototype Asiaが現在の課題、次のステップ、バブルに対する投資家の見方について意見をシェアしてくれた。

3Dプリントは次代の目玉となるのだろうか、それとも単なるバブルに過ぎないのか?ここシンガポールでは3D業界に対する認知度がますます高まってきており、Pirate3Dのようなスタートアップは家庭用プリンターでKickstarter南洋理工大学などクラウドファンディングの調達に成功し、3000万米ドル規模の研究センターで製造するという時代に向けて準備を進めている。

e27はPrototype Asiaの設立者でディレクターのGuillaume De Lazzer氏から、まだ初期段階にある3Dプリントとプロトタイピングサービス市場での課題について話を聞ける機会を得た。

フランス出身のDe Lazzer氏はアジアで約8年過ごしてきた。同氏は当初、パートナーのBernoit Valin氏と2010年にソフトウェアの流通会社を始めたが、1年前に方向転換しプロトタイピングと3Dプリントサービスに取り組むことにした。同社は設立当初から自力でやりくりしてきた。

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De lazzer氏らが事業を開始した当時、シンガポールではプロトタイピングサービスはあまり人気があったわけではなく、まだ珍しい分野で未開拓の巨大市場だった。

同氏は、

「私たちはこれまで電子機器や機械、ソフトウェアを扱ってきました。なぜ誰もプロトタイピングをやろうとしなかったのか理解できません。」

と言う。

Prototype AsiaのチームはRaspberry PiやArduinoなどコンピューターシステムを扱っていたため、電子機器やソフトウェアに取り組むには問題ではなかった。

顧客に専門知識を提供

De Lazzer氏は、スタートアップ、大企業、クライアントとしての広告代理店の3者全てが直面している同じ問題を目の当たりにした。Prototype Asiaには様々な顧客がおり、ユーザがアイデアを改善させ、ふさわしい製品を作る手助けができる。

「顧客の皆様はハードウェアに関するアイデアを持っていますが、(アイデアを)どのようにローンチするかについては実際、よくわかっていません。だから私たちが手助けするのです。私たちは概念実証でお助けしますので、先方は投資家にお示しできるのです。後になって、生産プロトタイプでお役に立つことができます。」

大企業向け支援も大差はない。Prototype Asiaはハードウェア構築の専門知識を持っていない可能性のある企業支援向けに、専門知識と経験を持ち合わせている。

ほとんどの場合、これらの顧客はただ試作をプリントしに訪問してくることはない。手順としては、アポの予約をした顧客が自身のアイデアの説明をするところから始まる。するとPrototype Asiaは、似たような商品や規格品でクライアントが気に入るものがないかどうか探すのだ。

その後De Lazzer氏やメンバーは、顧客のアイデアには妥当性があり実現可能かどうか検討し、試作作りのスケジューリングを行う。Prototype Asiaは顧客に見積を提出し、その後プロジェクトに取りかかる。

現在の課題

未だ初期段階の同業界において事業を展開するには、Prototype Asiaが克服しなければならない課題は多い。

Prototype Asiaが直面している課題の1つが新興市場への投資家を見つけることだ。投資家たちはITバブルのときのように3Dプリントが次のバブルになるのではないかと懸念している。

De Lazzer氏はこれを次なるバブルだと思っているのだろうか?

「難しいですね。彼らの心配は理解できます。しかし、もし多くの人々が特にプロ用のプリンターに大金をつぎ込み過ぎたら、かなりの資金投入が必要なので次なるバブルだと言えるかもしれません。」

と彼は述べた。しかし他のどの業界でも同じように、ある程度のリスクは伴うものだ。もし、投資家がリスクを恐れ経済的に伸びているプロトタイピングと3Dプリントサービスの可能性を見逃してしまうと、イノベーションや発展を阻害してしまうことになる。

プリンターが7万米ドル以上する一方で、試作品の製作費用は、数百から数千ドルとプロジェクトの規模によって様々である。

人を雇うのも大変だ。現在正社員が3人しかいない状況で、様々な角度から試作品作りに取り組んでくれる人を探すのは困難だった。まずは試作品作りにおいて、ハードウェアとソフトウェアの両面がわかる人材を探すのに苦労していた。また、シンガポールで会った多くの人たちは良く知らない分野の仕事には就きたがらなかった。ただ、同社は無理にそのポジションを埋めようとは思っていない。

また、設備の入手にも苦労したようだ。設計やプログラミングのために必要な多くのツールや電子機器は、Windowsのプラットフォームを利用している。それに対応するため、彼らはWindowsやソフトウェア開発ツールが関単に利用できるよう、Microsoft BizSpark*に登録した。

次のステップ

Prototype Asiaは今後1年間で3Dプリンターや機器をさらに追加し、メンバーや試作の製作能力を増やしていく予定だ。

De Lazzer氏は、今のところまだシンガポールや東南アジアには競合はいないと述べたが、欧米には同種の企業が存在する。その1社Stratasysが10月1日にシンガポールにオフィスを開設した。

最近シンガポールで開催されたInside 3D Printing Conferenceを見ても、近い将来3Dプリントやプロトタイプ作成サービスのブームが起こることを世間の高まる関心が示しているのは明らかである。

Mediabistroの会長兼CEOであるAlan Meckler氏は次のように述べた。「最近の6億400万米ドルでのMakerBot買収、100以上の家庭用3Dプリンターメーカー、さらに、25%の年間生産率の増加により、(シンガポール)市場における3Dプリントのパワーとポテンシャルが以前よりも高まってきていることが示されています。」

3Dプリントやプロトタイピング市場がここシンガポールで過熱していることは疑う余地がない。投資家たちはこの状況を理解し、当市場へ足を踏み入れることができるのだろうか?それとも尻込みしてしまうのだろうか?もし投資家がシンガポールの3Dプリント市場に積極的に資金を投入するのであれば、この分野において新たなスタートアップが登場してくるだろう。


*Microsoft BizSparkは、ソフトウェア(無料)、サポート、認知度を高めるサービスを提供するグローバルプログラムで、スタートアップの成功を支援している3年間プログラムだ。詳細はこちらのページを参照してほしい。

【原文】

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