Microsoft Venturesが本格始動、台湾スタートアップの雄「Accupass(活動通)」が北京のアクセラレータに移転へ

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Microsoft がスタートアップ担当部門を設立し、支援を開始したことについては、10月に大阪で開催された B Dash Camp 2013 で、日本マイクロソフトの砂金信一郎氏が披露した話に詳しい。数ある Microsoft Ventures の活動拠点の中でも、バンガロール(インド)、北京(中国)、パリ(フランス)、シアトル(アメリカ)については、既に外部メンターによるメンタリングを含むアクセラレータが稼働しており、今後数ヶ月のうちには、テルアビブ(イスラエル)、モスクワ(ロシア)、リオ・デ・ジャネイロ(ブラジル)にもアクセラレータが開設される見込みだ。Microsoft Ventures のブログを見てみると、今月に入って、世界各地の拠点で、ちょうど第一バッチの卒業生が顔を見せ始めているようだ。

ところで、イベント・チケッティングと言えば、海外では EventBriteAmiando、アジアでは Peatix、日本では DoorKeeperTixeeEventRegist など、複数のプラットフォームが存在する。EventBrite のマーケットシェアは大きいものの、圧倒的なドミナントはまだ存在しない。その理由について、日本の内外でこの種のプラットフォームを営む複数の起業家に意見を求めたところ、「プラットフォームがイベントと連携を深めて行く課程で、オンラインだけではブランドが浸透しにくいからではないか」との答えをよく耳にした。つまり、O2O のサービスである以上、イベント・オーガナイザーらとの Face-to-Face のエンゲージメントが必須、という見解だ。

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左から:Accupass 共同創業者 羅子文(Benjamin Lo)氏と謝耀輝(John Sie)氏

そのような背景や言語対応の理由から、中華圏では Accupass(活動通)がよく使われている。これまで同社は台湾・台北と中国・深圳を拠点に活動していたが、Microsoft Ventures の北京のアクセラレータへの入所が認められ、これを機に全チームを北京に移転させると発表した。選抜過程においては、中華圏から総数450チームのスタートアップから応募があったとされ、その中の数少ないスタートアップの一つとしてアクセラレータ入所が許された。スタートアップ各社はコミュニティ・エンゲージメントの観点からも、ミートアップやイベントを頻繁に開催するニーズがあるだろうから、Accupass がスタートアップが多く集まるアクセラレータに身を置くことは、サービス利用の拡大にもつなげやすいだろう。(北京のスタートアップ・シーンの最新動向については、この近著を参照されたい。)

Accupass の CEO を務める羅子文氏は、時期は明言しなかったものの「いずれ日本市場にも進出したい」と語った。この分野はレッド・オーシャンではあるが、例えば、先頃、Peatix が発表した ColorSync に代表されるようなテクノロジーを創り出せれば、国境を越えて、コンペティターから一歩抜きん出ることも可能だ。Accupass が北京のスタートアップ・シーンでイノベイティブなしくみを創り出し、日本市場にやって来る日を楽しみにしたい。

Accupass は2012年、ベンチャーキャピタル DCMQualcomm Ventures から200万ドルの出資を受けている。

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