中国でのラグジュアリーフラッシュセールサイト事情は?中国のファッションビジネス専門家へのインタビュー

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編集者注:このインタビューは、中国のファッション業界に関する専門家であるTimothy CoghlanがTechnodeのために行ったものである。Timothy Coghlanは中国のファッションビジネスに関して彼のブログmaosuiteで発信中である。


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アジアにおけるラグジュアリーブランド小売業界の経験が豊かなThibault VilletはL’OrealとCoachでのシニアポジションを経て、2009年に中国でGlamour Sales(魅力恵)を立ち上げた。

競争が非常に激しい中国のeコマースの世界において、今や折り紙つきの成長ビジネスとなったGlamor Sales関して、ThibaultはTechnodeにファッション、ラグジュアリー、テクノロジーを横断するビジネスとその運営について語った。

Q. Glamour Sales のビジネスモデルについて教えていただけますか?

Glamour Salesはフラッシュセールサイトで、ラグジュアリーブランドにフォーカスしています。委託販売をする欧州モデルを採用しており、ネット事業者が前もって全ての商品を購入する米国モデルではありません。

商品を取り寄せるために、当社では直接ラグジュアリーブランド、もしくはその公式販売業者と取引を行っており、中古、並行輸入商品は購入しません。その理由は次の2つです。 第一にマージンが低すぎること、第二に純正品を販売することが当社のビジネスを拡大させるチャンスになると考えているためです。

中国でビジネスを始めて4年が経ちましたが、現時点で、中国では780ブランドを取扱い、そのうちの95%がインターナショナルブランドです。中国での売り上げの内訳をみると、売上の70%がファッション、20%がビューティー、10%がホームデコまたはライフスタイル関連商品です。

ファッションの売上に関しては、靴、アパレル、バッグ、アクセサリー、ジュエリーや時計といったその他のアイテムの間でかなりバランスはとれています。

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Q. どのように商品を選択しているのでしょうか。Glamour Salesの商品において、今シーズンものとオフシーズンの在庫ものの割合はどれくらいでしょうか。

最高級ラグジュアリーブランドは、全て1~2年前の商品ですが、もう少しお手頃なブランドはシーズンから数か月経過した商品を扱っています。例えば、 Dolce & Gabbana のようなブランドでは、現在2012年のウィンターコレクションを販売していますし、Jacadiのようなキッズブランドでは、シーズンが終わったばかりの2013年のスプリング/サマーコレクションを販売しています。

私たちのマーチャンダイジング部門には20人から成るチームがあり、絶えずブランドと議論を行い、ブランド側が提案してくる在庫から、スタイル、価格、その両方から、カスタマーが最も興味をもつと思われるものをチョイスしています。

結局のところ、私たちが最も重視しているのは、カスタマーにとって適切な商品を選ぶことであり、マーチャンダイズチームにはセールスだけでなく、売却率についてもインセンティブを与えるようにしています。

Q. 中国では、多くのEコマースサイトで、高級品から家庭用品まで、異なるカテゴリーの商品を幅広くあつかっています。他の国では、高級品ブランドはこのようなことを容認しないのではないでしょうか? なぜ、中国では事情が異なるのでしょう?

消費者は、まずはお試しレベルの商品でウェブサイトを試し、一旦そのプラットフォームを信頼すると、次第に購入するサービスや製品の価格を上げるという傾向を有することが分かっています。これが私たちの商品ラインナップの18%を化粧品がしめている理由の一つとなっています。化粧品は比較的安価であり、低リスクでサービスを試すのにぴったりの商品なのです。

もちろん、中国マーケットが発展し成熟が進むにつれ、私たち自身もより良い商品を取り扱うようになってきています。数年前にサイトで取扱いを始めたブランドの中にも、私たちのイメージと合わなくなったり、他のより良いブラントの参入により、取扱いをしなくなったものもあります。

正直なところ、ラグジュアリーブランドの商品の供給は予測がつきません。シーズンによっては、販売が好調であったために私たちが取り扱う在庫がないこともあります。最高級のラグジュアリーブランドを扱うことだけで、長期にわたって拡大し続ける大規模ビジネスを築き上げることは賢いやり方ではないと考えています。

Glamour Salesを販売戦略のひとつとして捉えていたり、私たちだけのために商品を作っていただけるようなファッションブランドや、手に入れやすい価格帯の高級ブランドとも取引をしています。

Glamour Salesは今後もずっと贅沢品に注力するのか?について、それはどうなるかわかりませんが、私はそうは思っていません。地下があって、1階、2階のあるショッピングモールのような、いろいろな商品のあるサイトにトライするかもしれません。

この12月、仮想的な階層構造(バーチャルツリー)を導入します。そこでは、商品の展示のしかたに差をつけて、比較的手の届くブランドと最高級のブランドは分けて扱うことになります。これは、ブランド企業、お客様ともに要望のあったことです。

Q. Glamour Salesのカスタマーはフラッシュセールスのためにサイトに来ているのでしょうか。

毎朝9時にセールがスタートするフラッシュセールスのコンセプトは好まれています。また、商品に限りがあるため、ちょっとしたレースや競争になっていることも人気の要因のひとつです。

毎日、最大で7ブランドのセールを開催し、各ブランドは約100種類の商品を用意しているので、合計で約700の新商品が毎日セールに登場します。セール期間は7日間ですが、初日に約50%、最初の3日間で80%が売れます。

結局のところ、なぜリピーターを獲得できているのか?については、全体的なユーザー体験とカスタマーサービスがお客様に喜ばれているからだと思います。私たちが選択したブランド、商品、ディスプレー、サイズ、写真、商品説明から決済、配送、返品、アフターサービスに至るまで、私たちはこれら全てをカスタマーエクスペリエンスと呼んでおり、力を入れています。

Q. モバイル端末の増加は、ビジネスにどのような影響を及ぼしていますか。

モバイルの影響は非常に大きいです。この4年間で、スマートフォンによる売り上げが2%から22%へと増加しました。タブレット端末を含めると、現在のビジネスの半分を占めます。それに比べて、日本ではスマートフォンによる売り上げはすでに40%に達しています。この傾向からすると、来年末までに売上の半分がモバイル端末によるものになると確信しています。

私たちは挑戦し続けていますし、ITからクリエイティブ部門に至るまで、全てのチームにまずモバイルに特化したアプローチに再度集中するように後押ししています。以前はデスクトップ用ウェブサイト関連を開発後にモバイルアプリなどに応用してきましたが、今では、モバイルを第一に考え、モバイル用が完成した後にそれをデスクトップ用に応用するという方向に会社の方針が変わりました。だから、今では、商品説明、開発中のインターフェイス用に撮影するイメージ画像に至るまで、全てがモバイル中心です。

私たちにとってのチャレンジであり、ITからクリエーティブまでチームとして再フォーカスし進めているのはモバイルファーストへの集中的アプローチです。以前はデスクトップ用サイトの開発、アプリ、モバイルという流れでしたが、現在では会社全体がモバイルファーストへと変化し、まずモバイルの要素が決まってからデスクトップへと進んで行くようになってきています。実際に今では、商品説明、イメージ撮影、インターフェースの開発等全てがすでにモバイル中心になっています。

Q. Glamour Salesが米国の小売業者Neiman Marcusから大規模投資を受けました。詳細を教えていただけますか?

Neiman MarcusがGlamour Salesに投資したのには、2つの狙いがあります。一つは、中国でのフラッシュセールの可能性を信じていることで、投資の半分はそれが理由です。もう一つの理由は、中国で定価(eコマース)販売を始めるためです。

Neiman Marcusは、中国市場に定価販売で進出するには少し時期尚早であり、ビジネスモデルを変更することに決めたのです。Neiman Marcusの定価販売eコマースサービスはアメリカに移転している最中であり、中国の顧客に対応する中国語のサイトをダラスから運営するのです。

Q. Glamour Salesは小売、ファッション、テクノロジーといった業界を跨いで運営していますが、それぞれの業界の異なるニーズのどのようにバランスをとっていくのでしょうか? また、こうした業界を跨いで働けるスタッフをどうやって見つけるのでしょうか?

当社は「小売店」として始まり、市場からオープンマインドになるよう強いられ、現在では、Webプラットフォームに関していえば、「(技術)製品」の開発に多くの時間を費やしていると私は思います。

スタッフに関しては、初めに小売りやファッション業界のバックグラウンドを持ちマーチャンダイジングや顧客サービスの技術に優れた者に焦点をあてました。そしてさらに、“データセンシティビティー”、つまりデータに関したスキルに長けている、つまりマーケティング、ユーザー体験、マーチャンダイジングともちろんITとファイナンスの人間のようにデータの扱いに強いスタッフ望みました。

現在では私たちは以前にも増してCRM、そしてソーシャルネットワークの統合とコンバージェンスに力を入れています。

今、私たちが取り組んでいるのは、朝は携帯、昼間はiPad、そして夜はデスクトップでといったGlamour Sales を利用しているカスタマーの調査です。彼らのソーシャルネットワークの利用状況は刻々と変化しています。

昨年まではWeibo(微博)が中国では主要なSNSプラットフォームでしたが、今年はWechat(微信)です。数年前はGoogleがまだ中国にあったのに、現在は存在していません。

それために、継続性のあるGlaour Salesでの経験を提示しつつ、顧客の興味やコメント、購入したものなどを複数のデバイスやプラットフォームを通じて追跡し、顧客が希望するものやチャンネル、時期に合わせて相互作用を生み出すことが非常に重要と考えています。

これには、絶えずテック業界で起きていることに精通している強力なCTOが不可欠ですが、CTOだけでは不十分なのです。私たちはBSMチームと呼ばれる部門を立ち上げました。BSMチームはマーケティングとITというお互い接点のあまりないチームどうしをコラボさせることを目的としています。

BSMチームの仕事は、モバイルアプリ、決済、ソーシャルコマース、モバイル広告に至る全てのITトレンドをフォローし、私たちが進むべき方向へと導くことにあります。

Q. 中国への進出を希望している多くの外国の小売業者は、実店舗のネットワークをセットアップするのに比べて、eコマースは参入しやすいと考えているようですが、これについてはどうお考えでしょうか。

eコマースに関して言えば、中国は世界で最も競争が激しいマーケットだと思います。なぜなら、中国あるいは海外のB2Cプラットフォームのみならず、中国に商品を発送する海外のウェブサイトとも競争しているのです。

実は、いまだにマーケットの70%がTaobaoに代表されるようなC2Cプラットフォームであり、ファッション製品を海外で購入し、オンラインで再販売する個人取引で成り立っているのです。そのため、競争が非常に激しいマーケットの真っただ中に私たちはいるのです。

私の経験によると、中国で取引し成功するためには中国市場の理解が必須です。この市場とエコシステムは独特で、宣伝から消費者の嗜好、消費行動にいたるまで全てを理解し、適応し、地域に合わせていくには時間がかかります。

中国インターネットエコシステムは既にバージョン3.0もしくは4.0で、アメリカやヨーロッパから既存の(ウェブ、あるいはeコマース)プラットフォームを持ち込むことはできず、既存のプラットフォームを適合させ、最高の物を中国に提供しなければなりません。

私が言いたいのは、中国には長期にわたるコミットメントが必要で、1年や2年で回収できないということです。 つまり、成長をするにはお金が要りますし、Glamour Salesの場合、収支が合うまで4年かかりました。中国の事業機会が巨大なので (潜在的な) ROIは大きくなりますが、時間がかかり、すぐには回収できません。

Q. 中国のeコマースマーケットで他にユニークな点は何かありますか。非常に激しい競争が繰り広げられている中国のeコマースマーケットにおいて活躍し、投資を増加させ、オペレーションを監督する外国人起業家として、この道のりについてどうお考えでしょうか。

もっとよいプロジェクトやチャンスがあるかもしれないと考えることも時々ありますが、とてもエキサイティングでやりがいのある仕事です。中国人ではないことがハンディキャップであることも時々ありますが、結局のところ、私たちは150人態勢のチームを作り上げ、そのうちの148人は中国人なのです。

このビジネスの好きなところは、とても進みが速いにもかかわらず、いつも段階を踏んで進んでいくことです。時々、ふと気づいて、「商品」について考えることがあり、商品に多大な努力を費やすようになります。

そうすると、「あ、商品はたくさんあるけど、もっとクライアントが必要だ」と気づき、今度は、取引と顧客を獲得するのにエネルギーを注ぎます。そうすると、また「あ、商品もカスタマーもあるけれど、注文が多すぎるから、オペレーションを改善する必要がある」ことに気づきます。

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