※本稿は、Mona Nomura(もえ/@mona)によるゲスト寄稿だ。彼女はサンフランシスコ・ベリアで育ち、ロサンゼルスに短期滞在しながら、ニューヨークで約11年生活した。これまで、常にテクノロジー、スタートアップのメンタリングやアドバイスに関わってきた。最近、東京に移住し、日本での生活を初めて楽しんでいる。イベントで彼女を見かけたら、ためらわずに声をかけてほしい。
MONOCO や rinkak は、デザイナーを消費者と結ぶことを標榜している。日本版の Etsy や Fab と考えればよいだろう。一方、BASE は、Squarespace、Shopify、Strikingly のローカル版との言える。ここで紹介する3社は、今日の日本のEコマースで興味深いスタートアップであり、海外のEコマースが直面しているのと同じ難題を解決しようとしている。
MONOCO
MONOCO は、限定販売のファッションや工芸品を販売するEコマースサイトだ。商品は世界中のバイヤーによって集められる。同サイトは2012年4月から運営されており、これまでに約87,000人のユーザと、世界中に1,100人のデザイナーを擁する。
販売期間と数量が限られているだけであれば、他のフラッシュサイトと MONOCO は同様に説明できるかもしれない。しかし、サイトを見てみれば、この見せ方に意味があることがわかる。
ログオンすると、プロが撮影した高品質の写真によって出迎えられる。商品は注意深く選定されており、マグ、電話アクセサリー、ハンドバック、洋服など、よくある品物にユニークな一ひねりが見受けられる。多くの商品を見ているうちに、我を忘れて画面をスクロールしてしまうことだろう。
プロダクトのページは、ユーザ登録が完了していないと価格が表示されない。ユーザ登録を促す上で、極めて賢明なやり方だ。
販売期間と数量が限られていることで、ユーザに早く購入しなければという心理状態を生み出し、プロダクトの販売がうまく回転し、デザイナーを露出することにつながる。レコメンデーションとは異なり、新しい商品を見せることで、ユーザが頻繁にサイトを訪れてもらえるようにしている。
MONOCO は7月に、シリーズAラウンドの資金調達を発表している。調達金額は明らかにされていない。
rinkak
rinkak は、Shapeways 日本版とも言える 3D プリントのマーケットプレイスだ。9月に公開された。
すべての人に、自分のプリントデザインの 3D データが販売できるプラットフォームを提供する。Shapeways と同様に、プラスティック、陶器、金属など、さまざまな材質のプロダクトを扱う。
3D プリンティングは、ようやくアーリーアダプターの枠を越えて、ユーザを集め始めたようだ。2007年に設立された Shapeways は、先頃、Andreessen Horowitz からシリーズCラウンドで3,000万ドルを調達、これまでの通算調達金額は4,730万ドルに上る。リアルのショップとニューヨークには配送センターを開設し、3D プリンティングのアプリの開発を促進すべく API を公開、アメリカのスタートアップ界では、明らかに 3D プリティング・マーケットプレイスのリーダー的存在だ。rinkak をやろうとしていることは、Shapeways と似ているのか、似ていないのか、楽しみに見守りたいところだ。rinkak の詳細は、我々の 9月の記事(英語のみ)を参照してほしい。
BASE
日本版 Shopify と称される機会が多い BASE は、モバイル決済を実現したいという、創業者のビジョンに基づいて開発された、マーケティング・プラットフォームだ。これまでに473万ドルを調達しており、チームは12人から20人に増えた。同社の CEO はこの一年間で5万件の小売業者が加入したと述べており、前回のインタビューでは毎月の成長率が10%に上ると述べている。
同社の急速な成長は、日本の中小小売業者が楽天や Amazon 以外の Eコマースソリューションを求めている証拠だ。BASE のユーザの70%はスマホからアクセスしており、これもまた、日本のEコマースの動きが変化していることを物語っている。
以下で、BASE のプロモーションビデオをチェックできる。
火曜日の夜の Japan Startup Award で、これら3社のスタートアップに幸運があることを願いたい。
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