フィリピンの地方自治体がオンラインによる納税の受け入れを開始

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フィリピンの役所における業務は概して古めかしい従来の方法をとっている。つまり、21世紀になって利用できる様々な手段があるにも関わらず、オンラインによる支払いよりも今だに現金支払いの方が好まれているということだ。これにはもちろん長い処理時間や行列が付き物だ。

しかし、フィリピンのある自治体がこれを変えようとしている。ヴァレンズエラ市は、市庁舎での運転免許証代、事業所得税、固定資産税などをクレジットカード、ATMキャッシュカード、およびモバイル決済などの新しい方法で支払えるようにしたのだ。

ヴァレンズエラ市のウェブサイトでは、同市の広報責任者Ahna Mejia氏はこのシステムは納税を簡潔化するためのプログラムの一部であると述べている。したがって、フィリピンのDevelopment Bankにある納税者向け待合室に備え付けられているPOSマシーンを通してカードを利用した支払いが現在可能となっている。

また、通信企業Smartが運営するeウォレットサービスのSmart Moneyや、その競合であるGlobe TelecomのG-Cashのようなモバイル決済プラットフォームからの納税も可能である。

これが意味するものは?

オンライン決済や電子決済を受け入れることによって、業務を効率化し役所での行列をなくすことにつながる。

マカティ市当局と比較すると良いだろう。ここでは9,000名を超える職員への給与支払いが今だに現金で行われているため、役所全体でダウンタイムが生じている。

ATMキャッシュカードやクレジットカード、あるいはモバイル決済ゲートウェイで支払える方が明らかにシンプルだ。利用者にとっても安全である。さらに、現金取引の際ひそかに行われている賄賂をなくすことにもつながる。

課題と機会

フィリピンはアジアでモバイル決済をリードしており、通信会社が運営するeウォレットサービスも利用できるので人々は簡単にオンライン決済を活用することができる。

しかしフィリピンの銀行口座保有率はわずか27%にすぎない。加えてクレジットカード保有率は3%だ。そんな状況の中、フィリピンにいる人々はヴァレンズエラ市が始めたサービスに対する準備ができているのだろうか?

ヴァレンズエラ市政府は事業認可やライセンス料、市場、小売、公共の駐車料金の支払いに対して利用できるようこのシステムを普及させることを計画している。また、近い将来、給与支払いや公共料金の支払いにモバイル決済を利用することも視野に入れている。

フィリピンにおいて、自治体によるこのような取り組みは初めてのものであるとされている。そしてこの取り組みによって他の自治体も近代化していくであろう。各自治体でこのようなサービスが提供されれば国はもっと効率的になり、また、eコマース向けにもオンライン決済が活発になっていくかもしれない。

(Photo: Valenzuela government Facebook page)

【原文】

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