時代の半歩先を見据えて行動すること−−Retty武田氏が語る「ビッグピクチャーと徹底した実行力」

by Eguchi Shintaro Eguchi Shintaro on 2014.1.28

事業を急成長させるためには、立ち上げる前の入念な準備と、定めた方向性に対する徹底した行動力が必要だ。

武田和也氏が運営する「Retty」は、現在ユーザ数150万人、17万店舗の情報と70万件以上の口コミが集まっている、実名型のグルメ投稿サービスだ。

同氏が語る、起業家に必要な「ビッグピクチャーと徹底した実行力」についてまとめた。

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多くの人を幸せにするサービスを作りたい

もともと起業しようと考えていて、シリコンバレーに一年間滞在して事業を構想していた。当時、アメリカではスマートフォンやソーシャルメディアが普及しており、日本でも同様の現象が起きると考え、実名ユーザによる口コミグルメSNSのRettyを作ろうと決意し、日本に帰国して会社を設立した。

世界展開できる事業領域かどうかを考える

Rettyのビジョンは「食を通じて世界中の人をハッピーにすること」。人を幸せにするためには事業を成長させる必要がある。事業環境によってサービスがピボットしたとしても、事業領域そのものまで変わっては意味がない。スケールする市場としての事業領域をぶらさずにしっかりと定めるためにも、勝負する領域は慎重に選ばなければいけない。世界展開できるかどうか、日本が世界に誇る領域かどうかも考えなければいけない。その結果、日本が世界に先駆けてイノベーションを起こせるものとして、食という事業領域を選んだ。

長期的な視点を持った意思決定を行うこと

二人で創業した時点では、エンジニアもデザイナーもおらずチームができていなかった。システム開発を外注することもできたが、自分たちで時間をかけて勉強してプログラミングを学ぼうと意思決定した。日本におけるスマートフォンやソーシャルメディアの普及には、時間的な余裕があると考えたからだ。すぐに外注してリリースを早めるよりも、時間をかけて内製で作れるようにしたほうが長期的な成功につながるという確信があった。

人を巻き込むためには行動力が重要

相方がエンジニアリングの勉強をしている間、私はエンジニアやデザイナーを探し始めた。その時の目標は、いかに多くのエンジニアやデザイナーをオフィスに連れてくるかだった。最初の仲間探しは行動力が大切だ。いかに人を巻き込めるか。そのためには情報をオープンにして、自分たちの活動や考えを知ってもらうことだ。将来の話なども含めて思いを伝えることで人を巻き込むことができる。もちろん、失敗も数多く経験したが、人を巻き込むためのコツを掴むことができたため、その後の採用活動にも良い影響を与えることができた。

時代の半歩先を見据えて行動する

サービスリリース時は、メディアに掲載されて話題となった。ちょうどソーシャルメディアが日本で普及し始めたタイミングでもあったため、人とのつながりをもとにしたサービスということで注目された。アメリカで抱いた構想と、開発のタイミングの決断に意味があったと実感。時代の半歩先を見据えて行動することで、事業のタイミングやサービス認知・拡大のチャンスを掴みやすい。

長期的な視点をもとに、方針を定めること

シードファイナンスを経て、6名のフルコミット体制ができた。まずは日本一へのサービスの道のりとして、最初の2年間は口コミ集め以外やらず、マネタイズも考えないという決断をした。サービスとしての軸を定め、長期的な視点で一つのことにフォーカスすることで、急成長のための方向性を定めることは、スタートアップにとって大事なことだ。

話題性を作ること

サービスを急成長させるために、ユーザ拡大につながる施策を数多く実施した。Retty Nightなどのレビュワーイベントを定期的に開催し、ユーザ参加型というイメージを作り上げた。キャンペーンは2ヶ月に一回程度の期間で実施。「連れてってキャンペーン」では「連れてってボタン」が生まれて多くの人の興味関心を集めるなど、話題性があって投稿数の最大化につながるものを意識して実施した。キャンペーンの失敗と成功の経験のノウハウも蓄積した。プレスリリースは2週間に一本配信するなど、リリース初期の頃はいかに話題性を作るかを大事にした。

独自の成長エンジンを作り出すこと

招待機能の追加や大手企業との連携など、さまざまな手法を通じてユーザ拡大施策を実施した中で、口コミを投稿したソーシャルメディアのフレンド数に会員獲得の相関関係があることがわかり、ソーシャルメディアによる独自の会員獲得手法を編みだした。ユーザ獲得のための成長エンジンが明確になったため、会員数が安定的に伸びてきた。PRやSEO、ソーシャルメディアによるマーケティングなどさまざまな手法がある中で、ユーザ獲得のための注力すべきポイントがロジカルに説明できるようになり、1億円規模の資金調達を成功することができた。

スケールのための新しい取り組みを徹底的に行う

ユーザ数は順調に伸びてきたが、それまでの成長エンジンだけでは目標には到達しないと考え、新しい成長エンジンをつくるためにリニューアルで力を入れるポイントをシフトすることにした。App Store 内検索最適化(ASO)をいち早く実施したり、ソーシャルリクルーティングサービスのWantedlyではPV数をしっかりと定めて運用することで、社員やインターンの採用にも大きく影響を与えたりすることも分かった。お店探しの機能を強化するために、お店まとめ記事によるコンテンツマーケティングも実施した。

こうした施策を通じて、2013年12月でUU150万を達成し、急成長することができた。東京カレンダーとのコラボ書籍企画では、ブランド価値を高めることができるなどPRにも大きな効果をあげることができた。サービスとしてのスケールが見えてきたことで、3.3億円の資金調達を行うことができ、Rettyは次の成長フェーズへと移り始めてきている。

ビッグピクチャーを描き、強い信念を持ってやりきること

これまでの経験を通じて実感したことは、起業家は、初めにビッグピクチャーを描くことが大切だ。そのビッグピクチャーに対して強い信念を持ち、徹底的に実行していくことで事業が急成長しながら形になっていく。

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