キモノをもっと身近に:京都と東京の2拠点で営む「西村兄妹キモノ店」の西村美寿穂さん【前編】

by Yukari Mitsuhashi Yukari Mitsuhashi on 2014.2.24

Mizuho-Kimono

着付け教室で指導する西村兄妹キモノ店の西村美寿穂さん

「でも、着物をもっと身近なものにしたいっていう想いを語ると、じゃあ力になると言って応援してくださるようになったんです。未だに長くお世話になっていて、フェイクレザーに日本の伝統の柄の箔押しをした帯は、西村兄妹キモノ店の定番の一つなんですよ。」

東京と京都の2拠点で、「西村兄妹キモノ店」を経営する西村美寿穂さん。ワンピースのように、着物を手頃で身近な存在にしたい。そんな想いで立ち上げたキモノ店は、2014年で創業10周年という大きな節目を迎える。

キモノ店を立ち上げた経緯、京都の職人さんやお客様との付き合いなど、10年を振り返ってお話を伺いました。普段から3分の2は着物を着て過ごす美寿穂さん。彼女のしっとりした京都弁の余韻がまだ耳に残ってる。

22歳で兄と共に京都で立ち上げた西村兄妹キモノ店

「キモノを身近に」というコンセプトのもと、美寿穂さんがお兄さんと共にキモノ店を立ち上げたのは22歳の頃。20〜30代とまだ若い年代の人が、自分のお金で気軽に買えるキモノを届けたい。

西村兄妹キモノ店では、カジュアルなコーディネートで着られる新しい感覚のキモノライン「〜和 nagomi〜」と、本格的で上質な着物ライン「〜寿 kotohogi〜」を展開している。「和」では、デニム生地やシャツ地を使い、洗濯機で洗える、手入れが簡単な1万円代〜の着物などを考案してきた。

現在は、京都と東京の2拠点を構える西村兄妹キモノ店。京都の店舗は主にお兄さんが切り盛りし、東京では美寿穂さんが着付け教室や個別の訪問販売、季節ごとの作品会の形で着物を提供。兄妹によるキモノ屋の展開という特徴もあって、立ち上げ当初から雑誌などメディアへの登場が多く、年間に100件の取材をこなすことも。

その効果もあってか、もともとお客様の半数弱が東京や関東近郊在住。より多くのお客様に、気軽に安心して着物を購入してもらえるようにと東京にも拠点を構えた。今、美寿穂さんは生活の3分の2を東京で過ごす。

外に出て初めて気がついた日本文化の素晴らしさ

西村兄妹キモノ店のキモノのデザインを任される美寿穂さんは、毎月京都に帰郷する間に着物職人さんとモノ作りにいそしむ。アカデミックにデザインを学んだ経験はないものの、幼少時代から着物に触れて育ってきた彼女には、着物ならではの着心地やデザインの柄行などが自然と刷り込まれている。

そう、ご兄妹の父親も、同じ京都の地で着物専門店を立ち上げて営んでいるから。自身のバックボーンを活かし、純粋に自分が着たいと感じるデザインを着物に落とし込むのだそう。父親の代で築いた呉服屋という家業があったものの、美寿穂さんもお兄さんも、それを継ぐ意志は持っていなかった。両親も、自分のやりたいことをやったらいいというスタンスで常に応援してくれた。

そんな美寿穂さんの最初のターニングポイントは、中学生の頃、初めてお化粧をしたときのこと。化粧をすることで自分のコンプレックスが解消され、自信に繋がったことに感動を覚えた。同じような体験で人をきれいにしたいという想いから、メイクの仕事を志すように。

やるなら世界と考え、高校生でイギリスに1年間語学留学した。この日本を出るという経験が、かえって日本の良さを再確認することに繋がり、今の美寿穂さんがいる。

「イギリスに留学することで、日本の良さや文化の凄さを肌で感じました。自分が育ってきた環境の良さにも気づいて。身近過ぎたんですね、それまでは。

そこで着物にやっと興味を持ち出して、学校に通いながら家業を手伝うようになりました。着物の仕事への興味が湧いていって、自分のバックグラウンドを活かして着物の仕事をすることで世の中のためになりたいと考えるようになりましたね。」

ワンピース感覚のように身近なキモノを作りたい

Nishimura-Kyoda-Kimono-Obi両親のお店でアルバイトをしながら仕事を覚えた。そんな中で生まれたのが、着物が一式数十万もする高額商品で、多くの人にとってなかなか手の届かないものであることへの違和感。

もっと気楽に選べて、手入れが簡単な着物があったらいいのに。ワンピース感覚で買える着物があったら素敵なのに。そんな自らが着物に感じた違和感を解消することに西村兄妹キモノ店はチャレンジしてきた。

着物は、糸の原料となる蚕を育てる人、生地を作る人、染め屋さんから箔押し職人まで、さまざまなプロフェッショナルが分業することで完成する。職人には一途で寡黙な人が多い。

まだお店を立ち上げたばかりの頃、美寿穂さんが箔置職人に持っていったのは、フェイクレザーだった。(写真右)

「これに箔を押してくださいって頼んだんです。最初はすごく怒られました。そんなことやったこともないし、こんなものに僕の箔を押すなんてって。

でも、着物をもっと身近なものにしたいっていう想いを語ると、じゃあ力になると言って応援してくださるようになったんです。未だに長くお世話になっていて、フェイクレザーに日本の伝統の柄の箔押しをした帯は、西村兄妹キモノ店の定番の一つなんですよ。」

後編につづく。

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