負けない戦い方をすることと撤退基準を持つこと−−KLab真田氏が語る「企業が持つべき戦略と新規事業投資の方法」

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起業家人生は、楽しい経験だけではなく辛い経験をすることもある。どんな苦境であっても立ち上がって前へと進むためには、事業に対する強い思いと、事業を成功へと導くためのビジネスチャンスを掴む行動力が必要だ。KLab代表取締役社長の真田哲弥氏は、携帯電話向けモバイルコンテンツ制作のサイバードや、モバイルオンラインゲームやスマートフォンアプリ事業を展開するKLabといった企業を上場させた経験を持つ、シリアルアントレプレナーの1人だ。

同氏が語る、「企業が持つべき戦略と新規事業投資の方法」についてまとめた。

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起業家志望を積極的に採用する

KLabは、設立当初から起業家になりたいと考えている人を積極的に採用している。ベンチャーは、安定志向よりも成長志向の人が向いている。優秀な人間は、言われたことを完璧に遂行する人と自ら動いて結果を出す人という二つに分類できる。ベンチャーは、いつか起業したいと考え自ら行動する意欲のある後者を欲しており、こうした自発的な人間が集まることによって、組織は成長していく。

ビジネスで成功する人の共通点

ビジネスが成功する人の共通点として、頭の回転が早いことと人から好かれやすいという二つがあり、成功している人の多くはこれらの要素を持っている。あとは運と度胸があるかどうかだ。最後はこれに尽きると言っても過言ではない。

成功体験とライバルの存在が、自信を持つきっかけになる

過去を振り返ると、借金があって苦しい時期もあった。しかし、返済して立ち上がってこれたのは、どんな辛い時でも自分は絶対に立ち直り前進できるという自信を持っていたからだ。では、自信を持つためにはどうすればいいか。それは、成功体験とライバルの存在が必要だ。小さくてもいいから成功体験を積み重ねることが自信へとつながる。ライバルは、自分の立ち位置を明確にすることができる。受験勉強がそうであるように、周囲に切磋琢磨できる人がいると刺激になり、同時に彼らにできるなら自分にもできる、という自信にもつながる。

負けない戦い方をしよう

企業にとって、負けない戦い方をすることは大切だ。負けない戦い方とは、資金が無くならないことだ。お金が尽きたら、どんなに素晴らしいアイディアがあっても前に進むことができない。リスクヘッジを持った事業展開をするために、いかに効率的かつ効果的に投資していくかを考えることが大切だ。

サイバード時代、まだi-modeが出てすぐの頃に、コンテンツビジネスがくると予測しi-modeのコンテンツ会社を作った。ビジネスチャンスを掴むまでの間、平行して受託開発をしながらマネタイズを図った。コンテンツビジネスが盛り上がる頃合いをみて、資金を投入して事業を展開した結果、大きな利益を上げることができた。

初めは小さなお金で投資する

サービス初期から、10万人のユーザを想定してシステム構築しようとすると、失敗するだろう。負けない戦い方は状況に応じて事業を進めていくことであり、まずは100人に対応したシステムを作り、ユーザ数が伸びてきたらそれに対応して開発していこう。

リアル店舗を想像するとわかりやすい。初めから100人収容の店舗と10人収容の店舗を作るのでは、投資額に大きな差がでてくる。まずは10人収容の店舗を作り、そこから顧客分析をしながら100人や200人に対応した店舗を作るほうがいい。初期投資したお金も少額のため、仮に事業が失敗しても経験とノウハウが得られたという意味では無駄にはならない。

新規事業は、撤退基準を持つこと

新規事業は、多産多死だ。だからこそ、数をこなしながら成長見込みがあると判断したら大きく資金を投入し、ダメならすぐに撤退するという姿勢を持つべきだ。進むか退くかの判断を冷静に行うためには、事業を始める前に撤退基準を決めておかなければいけない。始めることよりも退くことが判断は難しいからこそ、基準を持つことが重要になる。

統計調査ではなく、生のユーザの声を聞こう

統計調査を鵜呑みにせずに、自分自身で考える力を持とう。そのためには、ターゲットとなりうるユーザにヒアリングし、そこからアイディアへとつなぐことだ。新しいサービスやビジネスであればあるほど、統計データよりも生のユーザの声のほうが参考になりやすい。ユーザとなりうる人たちに直接話を聞くことは、どんなビジネスにおいても必要だ。

チームはバランスが必要

チームに必要な要素は、メンバー間のバランスだ。共通項があっても、似ているもの同士が集まってはいけない。自分が前へ進む人間ならば、ブレーキをかけて調整してくれる人を参謀に据え置いたほうが良い。自分と補完関係が築ける人間をメンバーにすることで、チーム全体のバランスが保てやすい。

自分自身の正義を持つこと

どんなビジネスアイディアも、そこに自身の正義があるかがどうかを問わなければいけない。後ろめたくなるようなビジネスは決してしてはいけない。軸となる自身の正義や哲学を忘れずに、事業を考えてもらいたい。

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