ゲーム開発畑で5年間、グローバルな環境「エレクトロニック・アーツ」を次の道に選んだ村上咲さん【前編】

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Murakami-saki

自分が作ったものに対してお客さんからどんな反応があったのかが実感しづらい。だから自分は、すぐにフィードバックが返ってくるような仕事がしたいなって。

世界最大規模のゲームソフト会社 、エレクトロニック・アーツ(EA)のジャパンスタジオで働く村上咲さん。咲さんの話を聞いていると、彼女の根幹にあるデザインへの想いと、ゲームという一貫したアウトプットの形が見えてくる。

3社目に選んだ外資系ゲーム会社ならではの職場環境や文化、彼女にとってのチャレンジ、そしてこれから目指すもの。出勤前の代々木カフェで、終始笑顔で話してくれた。

ゲーム開発畑で5年間、新たに選んだEA

EAのジャパンモバイルスタジオではUIやUXについて考えるポジションに就く咲さん。コンソール、モバイル、PCを何でも手掛けるEA。咲さんのスタジオではバトルRPG「テトリス®モンスター」など、日本市場に特化したスマホアプリを開発してる。スタジオには10ヶ国以上のインターナショナルな人材が集まる。最近咲さんが手掛けたアプリには、ジャパンスタジオが開発した「FIFAワールドクラスサッカー2」がある。

新卒で入社したのは日本のオンラインゲーム会社で、2社目は中国のソーシャルゲーム会社。5年間にわたるゲーム開発畑で培ったノウハウが即戦力となって採用されたのがEAだった。ゲーム開発で必要になるアート素材などをデザインする仕事から始まって、現在はプランナーとデザイナー(EAではアーティストと呼ぶ)の橋渡しをする役目を担ってる。

プランナーが思い描くイメージをヒヤリングして、ペーパーモックアップなどに具体的に落とし込む。ビジネスサイドとデザインサイドの間に立って、何かともどかしさが付きまとう彼らのコミュニケーションを効率化してる。

自分の成果が製品に反映されるグローバルな環境

Saki-Murakami-Electronic-Art転職の際、EA以外にも何社か検討。咲さんにとっての判断基準は、自分の仕事やキャラクターなどが職場で認知され、成果がちゃんと製品に反映されるかどうか。また、自分がその会社でどう成長し、何を学べるのか。これは大学で就職先を考える頃から大切にしている基準。

「大学の時にすごくいろいろ考えたんです。私の両親が、広告系のデザイナーをやっていて。子どもの頃から、親がCMや電車の中吊り広告など大きな仕事をやる姿を見て育ちました。

でも、自分が作ったものに対してお客さんからどんな反応があったのかが実感しづらい。だから自分は、すぐにフィードバックが返ってくるような仕事がしたいなって」。

その他にも転職の決め手となったのは、英語が飛び交うEAの職場環境。前職でも中国出張などが多く、身振り手振りで外国人とコミュニケーションをとる、そのカオス感を大変ながらも楽しんでいた。EAには日本語を流暢に話せる外国人もいれば、「おつかれさまです」しか知らない人も。頻繁に開催されるトロリーと呼ばれる全体会議では、英語、日本語が併用されて常に誰かが通訳をするんだとか。

経験者採用が主なため、ライフワークバランスを大事にしたり、厳しく言われることは少ないが結果が求められる文化がある。いざとなればサポートしてもらえるけれど、基本はそれぞれがその責任範囲で仕事を全うする。30代、40代のメンバーから成るEAでは最年少の咲さん。10ヶ国以上から集まるグローバルな人材が物事を別の角度や価値観で見ることで、新しいヒントや斬新なアイディアが生まれていく。

気づけばゲームがアウトプットの形に

大阪の女子校では医学部に入学した咲さん。子ども好きが転じて、当時目指していたのは小児科医だった。一方で昔から描くことが好きで、デザインに紐付けで考えたのがおもちゃメーカーという選択肢。新卒ではバンダイのインターンシップに参加したり、オリエンタルランドのパーク内のグッズ展開のアイディアプレゼンしたり 。子どもが玩具と触れる姿を観察するためにトイザらスでバイトをしたことも。

ところが、下準備はばっちりだった咲さんを出迎えたのは厳しい就職難。大きい玩具メーカーへの入社は叶わず、発想を変えてたどり着いたのがゲームメーカーだった。

仮に玩具メーカーに新卒で入れたとしても、プロダクトデザインを任せてもらえるまでは長い道のり。ゲームメーカーでは、最初からキャラクターや背景デザイン、エフェクト、またストーリー展開まで任せてもらえた。広い意味でのデザインを考えられる仕事という意味で、結果として自分に合っていたと今になって振り返る。

後編につづく。

*村上咲さんのプロフィール*

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