1,000人規模になっても、今日スタートを切ったばかりのようなチームを:スタートトゥデイ取締役、大石亜紀子さん【前編】

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Akiko-Oishi

「あまり、競争というものを良しとしていないんです。ライバルと切磋琢磨して、時に蹴落とすことで自分を高めてキャリアを目指す。そういう人にとってはいい土壌ではないかもしれません。成長意欲や向上心がある、またイノベーションを起こしたいと心から思う。そんないい人に、仲間になって欲しいと思っています。」

スタートトゥデイの取締役、大石亜紀子さん。男女比率がほぼ半々だという同社で、多くの女性社員にとって憧れの存在。2011年には、日経ウーマン・オブ・ザ・イヤーのリーダー部門を受賞しました。

大石さんは、2002年当時わずか7名のチームだったスタートトゥデイに参加し、ZOZOTOWNを急成長に導いた人物。2007年には取締役に就任。現在は主に人自(人事)や総務をはじめ、秘書や広報の部門を任されています。

アルバイトを含め1000名を超える規模となっても、まるで今日結成したばかりのチームのように全速力で突き進む。まさに、スタートトゥデイ。そんなスタートトゥデイが求める人材は、「いい人」だそう。

「いい人」の真義、大石さんご自身のこと、スタートトゥデイが目指す方向など、幕張のオフィスでたっぷり伺ってきました。

派遣時代からスタートトゥデイで正社員になり本領発揮

スポーツ少女だった大石さんは、スポーツ推薦で高校に進学し、その後体育大学を卒業。当時は派遣バブルの時代。派遣と正社員の違いを特に意識することなく派遣の道を進むことに。その後、25歳まで音楽出版の会社で派遣として仕事をしたものの、派遣という働き方の限界を思い知る。仕事は面白くてもっとチャレンジしたいのに、雇用形態が邪魔をしてそれが許されない。

その線引きを実感してからは、楽しかった制作の仕事を続けられるようにと映像制作会社に入社した。ところが経営者とどうしても馬が合わず、4ヶ月で退職。「好きを仕事にしたい」との思いで、ファッション関連の仕事を考えるようになった。たまたま見つけたのが地元幕張を拠点とするスタートトゥデイ。人材募集はしていなかったものの、電話をして履歴書を送ってみることに。

直感的に小規模でアットホームな会社のほうが自分には向いているだろうと思っていた。数多いアパレル企業の中で、なぜスタートトゥデイだったのか。

「社長はメジャーデビューをした元ミュージシャンで、でも今は会社をやっている。以前に音楽系の会社にいた時に売れないミュージシャンが、いくつになっても夢をあきらめられずに苦戦する姿をたくさん見ていました。そんな中、スタートトゥデイの社長は若くしてメジャーまで行ったけれど、そこに固執することなく賢くビジネスに転向している。実際、面接は社長の前澤がしてくれたんですが、そんな面白い経歴にも惹かれました。」

大石さんが入社した2002年、社員はわずか8名ほど。立ち上げ時の音楽事業からアパレル事業に移行しているタイミングだった。入社後は、ZOZOTOWNになる前のオリジナルセレクトショップの営業からお店の立ち上げ企画、買い付けや撮影・検品作業まで考えうる全ての業務を兼務。売れた商品の発送作業も社長を含む社員全員で行っていた。

 8人だったチームが今の規模になる成長をずっと見守り、そのプロセスの中心にいた大石さん。2007年には取締役に就任。会社がどんどん成長を遂げるめまぐるしい環境の中で起きた昇格を、キャリアアップとして捉えたことはないと話す。

「一緒に会社を大きくすることに参加させてもらって、次々に後輩が増えていって、気がついたら今のポストにいた。そんな感覚です。上場に向けて組織化が進みましたし。だから、個人的には取締役に就任した際も、そのタイトルで何かが大きく変わったということはなかったですね。社長から役員のお話をいただいた際は、即答で「やります」って答えました。」

アンチ競争の文化、最優先は「価値観の一致」

現在は、スタートトゥデイの人事や総務を主に任される大石さん。社内異動、採用、育成研修、そうした業務に関わる打ち合わせで多忙な日々。

同社は2013年、最大人数となる75名の新卒を採用した。今年4月には、40名が新たにチームに加わる。今年で新卒採用を始めて8年目。昨年は、新入社員の適性や本人の希望を踏まえて、部署配属も大石さんが担当した。

スタートトゥデイが採用で何より重視するのは、他ならぬ価値観の一致。会社としてやりたいこと、その価値観にどれだけ共感してくれるかどうか。入社すれば長い付き合いになる。その人の人生の可能性を増やすために、スタートトゥデイが適切な舞台であるかが大きな判断基準となる。

「価値観がずれていると、どこかで方向性が合わなくなってしまいます。その人が考えていること、どう成長したいのか、何を成し遂げたいのか。それを実現するために当社がふさわしいのか。フィーリングも含めて見ている感じですね。」

会社への適性という意味では、特にチームワークやコミュニケーション能力、協調性を重視。また成果主義ではない、と言い切る。

「あまり、競争というものを良しとしていないんです。ライバルと切磋琢磨して、時に蹴落とすことで自分を高めてキャリアを目指す。そういう人にとってはいい土壌ではないかもしれません。成長意欲や向上心がある、またイノベーションを起こしたいと心から思う。そんないい人に、仲間になって欲しいと思っています。」

後編につづく。

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