「あればいい、な機能はいらない」:3原則を徹底することで生まれたミクシィの「muuk(ムーク)」【後編】

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ミクシィが新たにリリースした、瞬間自撮りメッセージアプリ「muuk」。写真を送る時、その送る写真とは別に、その時の自分の表情を添えて友達に共有することができる。記事の【前編】はこちらをどうぞ。

「muuk」が徹底した3原則

Muuk-screenshot今回、muukのチームには絶対に守ると決めた3つの原則がありました。「シンプル」、「ミニマム」、「スピード」。これを徹底することで、究極のユーザーエクスペリエンスを作る。

たしかに、muukの主な画面は「メイン画面とカメラ」、「受信箱」、「宛先を選ぶ」のたったの3画面。ユーザーに操作を強いることなく、写真を撮った直後には、勝手に起動したインカメラで自分の顔が撮影される。ボタンもステップもなるべく最小限に押さえられています。

「必要最小限のUIで操作ができるから、友達とのやり取りにスピード感があるんです。いま撮った写真だけ送れて、それが相手にすぐ届く。開いた写真は、まるで会話のようにすっと消えて行く。もちろん、もっと話したければどんどん写真を送り合えばいい」(大崎さん)

「あればいい機能というのは、なくてもいいと同じだと考えました。シンプル、ミニマム、スピードの3原則に沿って、1秒でも早くなるなら機能は捨てることにしました。迷った機能は捨てる。そこはデザイン面でも徹底しています」(元原さん)

「muukでは、写真の撮り直し、加工、お絵描き、全部外したんです。撮った写真がブレてしまったら、もう一度撮ればいいわけで。また、30日間やり取りがない相手は自動的にコンタクトから消えてしまうようになっています。Twitterのアンフォローですらストレスフル。アプリの仕様にしてしまうことでユーザーの負担もなくなるし、なくてもいい操作がまたひとつ減ります」(川崎さん)

「たったの2割」か、幸先良いスタートか

従来の写真共有アプリに当たり前のようにある機能のほとんどが、muukにはない。こうやって改めて「ない機能」を見てみると、そうした機能の不在こそが、muukを本来の対面の会話に近づけているんじゃないかと思えてきました。

今回テスト期間に参加してくれたユーザーのうち、すごくヘビーにmuukを使ってくれたのは全体の2割ほど。写真が消えてしまうから、お互いがコンテキストを理解していることが前提になると分析する川崎さん。だから、すごく仲が良くて、毎日顔を合わせているような関係には特にウケる。

ヘビーユースしているのを「たったの2割」と捉えるのか、幸先良いスタートと捉えるのか。

「ミクシィの前を含むサービスを作ってきた経験から、全てのユーザーが同じ熱量を持ってサービスに接することはまずありません。むしろ、この2割がなければ、どんなサービスも始まらない。その一部のユーザーの熱量が、口コミに変わって行くのだと思っています」(川崎さん)

終了するサービスと運営チームから学ぶこと

mixiは先日、カレンダーと写真アルバムを合体させたような「Plannah(プランナー)」を3月末でシャットダウンすることを発表しました。そんなPlannahから得た教訓は、muukに活かされているのでしょうか。

「イノベーションセンターの教訓は、すごく勉強になっています。例えば、僕はコミュニケーションサービスのリリースは、最初はiOSだけでもいいんじゃないかと思っていました。でも、Plannahのチームに、友達に一人でもAndroidの人がいたら、その人をのけ者にするサービスになってしまうと指摘されて納得しましたね。

また、ユーザーインタビューに耳を傾けること、アクティビティログをしっかり見ることはどちらも大事ですが、それに振り回されてブレることがあってはいけない。彼らと同じ地雷を踏んでしまっては何も学んでいないことになるので、そこはぜひ次に活かしていきたいです」(川崎さん)

ドメスティックプレーヤーからグローバルへ

muukというアプリ名は、「盛るのはやめて純粋無垢であろう」、「自分の殻を剥いてほしい」という2つの”ムク”から生まれたそう。

「その瞬間はこれ面白い!って思ったのに、どの写真を送るか迷ったりクロップしたりしているうちに、やっぱり大して面白くないかも、とキャンセルしてしまう。そんな不自然なコミュニケーションを無くして、もっと自然体で無意味な写真、やり取りに価値をもたらしたいと思っています。」(川崎さん)

これまでサービスをドメスティック市場に定めて提供してきたミクシィですが、muukは世界進出にも意欲的。すでに、4月以降のアジア進出を見据えて動いていると言います。

「今は、アプリのマーケットにワンクリックでプロダクトを公開できる時代です。つまり、高速道路は整った。地理的要素は重要だと思うので、まずはアジアかなと思っています。年内に100万ダウンロードを目指したいですね」(川崎さん)

相手の目を見て話す。そんなリアルでは当たり前の会話のあり方をmuukは実現できるのか。そしてユーザーはそれをどう使い、アプリはどう進化していくのか。見守って行きたいと思います。

muukのダウンロードは、iOSAndroidでどうぞ。

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