英語力以上に求められる、アジアを含む海外で活躍する人材に必須の能力:プロビティ・グローバルサーチの高藤悠子さん【後編】

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「グローバルな環境で本当に活躍する人は、語学という意味ではないコミュニケーション能力に長けています。ハイコンテキストとローコンテキストで言うと、ローコンテキスト。暗黙知は通じないので、共通の前提がない部分も言語化できること。「なんとなく」を具体的な言葉に落とし込む能力が必要です。」

「国内外の人材業界で積んだキャリアを活かして起業、プロビティ・グローバルサーチの高藤悠子さん」の後編をお届けします。【前編】はこちら。

「海外」と一緒くたにせず、アジアを視野に

悠子さんのもとに集まるのは、海外展開の強化を考えるグローバル企業からの人材相談。社内に適切な人材がいないことも多く、外に目を向ける。最近景気が少し上向いたことで、求人の数そのものが増えているそう。反対に、プロビティ・グローバルサーチのドアを叩く人材には、20代後半から30代半ばくらいの英語に堪能で海外在住経験のあるMBAホルダーが目立つ。

英語に堪能であることは、グローバルで活躍するための絶対条件なのか。言語の壁を障壁に感じて、活躍の場をドメスティックに留める日本人は少なくないはず。

「欧米であれば当然英語力は求められますが、アジアはそんなこともありません。中学校、高校と英語をやっていればできるレベルだと思います。実際タイでも、下手に過去完了なんかを使ってしまうと通じなかったりするので、“I go yesterday”みたいな感じでコミュニケーションをとっていました(笑)「海外」とひとくくりにせず、アジアを視野に入れるとそんなにハードルが高くないことに気がつくかもしれませんね。」 

英語力より大事な、グローバルに活躍する人材の共通点

これまでグローバル環境で活躍するさまざまな人材を見てきた悠子さん。彼女の目には、そうした人材に見られる3つの能力があるそう。

「グローバルな環境で本当に活躍する人は、語学という意味ではないコミュニケーション能力に長けています。ハイコンテキストとローコンテキストで言うと、ローコンテキスト。暗黙知は通じないので、共通の前提がない部分も言語化できること。「なんとなく」を具体的な言葉に落とし込む能力が必要です。」

また、現地に溶け込む能力や、そのための努力を怠らない人。駐在員だけで固まってしまわずに、現地の人としっかり向き合ってコミュニケーションをとることが求められる。そうすることで、蚊帳の外ではなく、必要な情報がちゃんと入ってくるようになる。

あとは、本社に物を言える力ですね。海外の現場を見ていると、本社のYESマンになっている人が多い。改善案や意見が上がってきても結局スルーされてしまっては現場の不信感につながります。もちろん、現場に肩入れし過ぎてもいけない。会社にとっては何が本当に必要か?を高い視点で考え、全社最適の視点でバランスよく行動できるかどうかが大切です。

日本人としてリスペクトされるということ

いま、クライアント企業が目を向けるのは東南アジア、中でもベトナムやインドネシア。多種多様な人生、仕事の価値観を持つ人材に接して行くに当たって、今後は日本的なビジネスや仕事の考え方が活きていくと言う。

「海外で働く=欧米のやり方を真似する、ということではないと思っています。昨年参加したシンガポールの国際的人事サミットでも、西欧の資本主義的なものに代わる、長期的関係の作り方、信頼関係といったものがベースにあるビジネスの価値観が求められているという話がありました。そんな東洋的な価値観を、日本人が世界に向けて発信していけたらかっこいいですね。」

得意とする適材適所の仕事で世の中を少しでも良くするために、グローバルな経営人材に特化したビジネスをもう少し大きくしていきたいと話す悠子さん。人材紹介はもちろん、駐在員に適した社内人選など、適材適所のコンサルティングも手掛けていく予定。

「世界で活躍できる日本人を増やしたいと思っています。タイに8年間いて、日本の外が日本を見る目の変化を目の当たりにしました。最初は、日本人というだけで良くみてもらえる仕事がしやすい環境で。これは私たちの先代が築いたものです。

それが、8年間で日本のステータスは落ちて、韓国や台湾がそれに代わっている。このままだと自分の子どもが大人になったとき、日本人に生まれてアンラッキーだと思うんじゃないかという危機感を感じました。日本人としてリスペクトされるということを、次の世代にも残したいです。」

海外に出るというと、どうしても西欧を思い浮かべてしまいがち。必然的に英語力が求められるだろうと思って、まずは英語力を身につけてから…と先延ばしにしてしまう。アジアの人材事情にも精通した悠子さんの今回のお話が、そんな皆さんの背中を後押ししてくれることを願う。