韓国発のグロースハック・ツール「5Rocks」が正式ローンチ、5カ国語に対応し世界展開へ

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モバイルアプリ・デベロッパ向けのグロースハック・ツール「5Rocks」については、THE BRIDGE でもたびたび取り上げて来た。もともとレストラン向けの予約アプリを開発していた同社だが、その後ピボット。2013年8月にはグローバルブレインから2.3億円を調達し、日本にも本格的に進出。GumiPokelaboMyNetMutations StudioKLabNewsTech などの有名ゲーム・デベロッパのアプリに組み込まれ、半年以上にわたって、ベータ版運用が繰り返されてきた。

そして4月2日、同社は「5Rocks」の正式ローンチを発表した。正式版では、日本語、韓国語、中国語(簡体字)、英語、ロシア語の5カ国語に対応する。また、これを受けて、5rocks の日本市場向けの料金も発表になった。1MAU (Monthly Active User)につき、月額料金1円。ただし、1アプリにつき1万MAUまでは無料で、上限は30万MAU、すなわち30万円となる。

5Rocks は SDK を提供しており、ゲーム・デベロッパは自社アプリにこの SDK を組み込むことで、ユーザ行動について値を取得したり分析したりすることができる。5Rocks ではベータ版運用中にゲーム・デベロッパ各社から寄せられた要望も取り込み、いくつかの新機能も追加した。毎日連続してログインしてくるユーザは、コンバージョンが上がる傾向にあるので、そのユーザの動向と売上の相関関係をログインした連続日数別に表示する、などの機能だ。

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プレイ頻度別ユーザ数推移の表示画面
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売上累計の表示画面

Google Analytics の画面を見られている筆者にとっては、リアルタイムのゲーム利用者数が表示される画面も興味深かった。ゲーム・デベロッパによっては、この画面を常時プロジェクタで社内に大きく投影し、社員を鼓舞しているところもあるという。

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プレイユーザのリアルタイム・アクセス数表示画面

ところで、グロースハック・ツールと名乗る限りは、値の取得と分析だけ終わるのでは不十分で、そこから得られた洞察をもとに、ゲーム・デベロッパがアクションを起こせる機能が備わっている必要がある。5Rocks には現時点で、2つのアクション機能が備わっている。「キャンペーン」と「プッシュ通知」だ。

いずれの機能も送信対象のユーザを、属性にあわせて細かくターゲッティングでき、画像やテキストを 5Rocks のダッシュボードにアップロードするだけで、簡単に対象ユーザのスマートフォン画面に告知画面や文言を送信することができる。アプリの SDK がこれらの機能をを司っているため、マーケティング担当者は、開発エンジニアや運用エンジニアの手を一切煩わせることなく、マーケティング活動や A/B テストが実施できるというわけだ。

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キャンペーンの設定画面。左側が送信対象ユーザの絞込条件、右側が送信するキャンペーン画像
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アプリ上に配信されてきた、キャンペーン画像

ウェブアプリの世界に CSS の概念が登場してデザイナーとコーダーの仕事が分業されたり、WebLogic や TomCat のようなアプリケーション・サーバの普及で開発エンジニアとインフラエンジニアの仕事が切り分けられて行ったりしたことをふまえると、モバイルゲーム業界においても、グロースハック・ツールの普及により、開発エンジニアをはじめとする制作サイドと、試行錯誤やテストをするマーケティング的要素の強い仕事が分業しやすくなるのではないか、と考えている。おそらく近い将来、ゲーム業界の求人広告には新しい募集職種が見られるようになるのではないだろうか。

5Rocks 東京オフィスで、日本市場のカントリーマネージャーを務める佐藤康雄氏によれば、5Rocks を使うゲーム・デベロッパは日韓あわせて現在約80社、約200のアプリに導入されている。今回の正式ローンチを受けて、5Rocks を採用するゲーム・デベロッパを東南アジア市場にまで拡大し、年内に3,000アプリへの導入を目指している。

この分野では、5Rocks 以外にも、planBCD を運営する KAIZEN が今週500万ドルを資金調達してアメリカ進出を発表したほか、シンガポール拠点で Fello を提供する Unicon、サイバーエージェント子会社で Growth Push / Growth Replay / Growth Point を提供するシロクなどが凌ぎを削っている。

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