日本のニュースキュレーション・アプリは、ビジネスモデルの打破を恐れているのか?

by Rick Martin Rick Martin on 2014.4.19

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※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから
何を恐れているのだろうか。

これは複雑な問題だが、話をまとめてみたい。

日本のニュースアプリを開発するスタートアップのほとんどでは、コンテンツ・パブリッシャーの利益よりも、ユーザの利益が優先されることはない。したがって、世界中のユーザが適切なサイズ、美しい文字配列のアプリでニュースを読めているのに対し(PocketInstapaperReeder を参照)、日本国内で開発されたニュースアプリを使っている人の多くは、アプリ内ブラウザでコンテンツ配信元のオリジナルのウェブ画面を見ることを余儀なくされ、その画面は小さくて読みにくく、モバイルには最適化されていない。

私が話をしたアプリ開発者らは、この問題をあまり積極的に理解しようとしない反面、私が質問をした業界ウォッチャーのほとんどは、ニュースアプリを使った場合のコンテンツ著作権の侵害、広告の非表示、配信元のオリジナルのウェブサイト訪問への機会損失など、パブリッシャー側の不利益について指摘したがるのだった。

このような議論は数年前、世界的に交わされたことがある。整然と問題が解決に至ったわけではないが、インターネットとは、そのような使われ方(RSS にコンテンツが複写配信されたり、ウェブからコンテンツがスクレイピングされたりなど)をされてもいいものだろう、という理解で一般的には落ち着いているように思われる。[1]

しかし、ニュースアプリの開発に取り組んできた日本企業はほぼ例外無く、モバイルでの可読性を高める努力よりも、アプリ上でオリジナルのウェブコンテンツをそのまま見せるように配慮しているようだ。[2] 彼らは意図的に、現在のコンテンツモデルを打破しようとはしていないか、あるいは、それに挑戦しようとしているかのどちらかだ。

日本の主要なニュースアプリの例を、いくつか見てみることにしよう。まずは Gunosy である。

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Gunosy は、日本のニュースアプリのほとんどが持つ機能を搭載している。読みやすいかどうかはさておき、タイトルをクリックすると、オリジナルのウェブ画面が表示される。PressoRomlyVingowMyndKamelio などの他のアプリでも同じ動きだ。[3] これらのニュースアプリは、基本的にはニュース・アグリゲーションかキュレーション・ツールと言われるものだ。旧来のウェブサイト閲覧の体験しか提供していないという点で、私はいずれのアプリについても、敢えて「ニュース・リーダー・アプリ」とは呼びたくない。

SmartNews のアプローチは面白い。おそらく、幾分大胆なアプローチを試みている唯一のアプリと言えるだろう。同社はモバイル最適化されたスマート閲覧モードを提供している数少ない会社の一つであり、地下鉄でインターネットが通じなくなってもニュースを読みたいユーザのために、オフライン・キャッシュの機能を備えている。

SmartNews 上で記事をタップすると、SmartMode で閲覧するかどうかを選択するボタンが表示される。SmartMode の方がモバイルでは閲覧しやすいのだが、選択ボタンが表示されるのは、ユーザの意思で選ばせるためのようだ(下のスクリーンショットを参照)。パブリッシャーとユーザの双方が求めるものを提供するという点でこれは賢明な選択であり、SmartNews がこの妥協にたどり着くまでには、相応の時間を要したものと推測する。

smartnews

LINE NEWS も、やや大胆なアプローチをとっている。さまざまな配信元からニュースを収集し、記事に関連した長い引用を表示する形をとっている。配信された記事をタップすれば(左下の画面)、広告や目障りなコンテンツを含む配信元のウェブサイトへと誘導される(右下の画面)。

概ね明らかなのは、コンテンツ・パブリッシャーと、求められる必要条件と実現したい理想の間で葛藤するニュースアプリの関係は、コンテンツ分野のイノベーションにとってよくない、ということだ。パブリッシャーが新しいマネタイゼーション・モデルを模索せず、従来のモデルにしがみついているため、日本のニュースアプリのユーザは、世界のユーザが楽しんでいる、読みやすいモバイル閲覧体験を享受できていない。[4]

これは恥ずべきことだ。

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[冒頭画像引用元]


  1. この点について、さらに論じるならば、2010年の「Flipboard は合法か」「RSS リーダーにフィードを読み込む行為が、法的対応の対象となり得るか」の記事を参照してほしい。今では Apple は Safari やモバイル版 Safari の中に「リーダー機能」を実装しており、記事中の広告を排除し、よりシンプルで閲覧しやすいウェブ画面を表示してくれる。 
  2. 日本では他国に比べ、モバイルで読みやすいニュースサイトが一般的である。したがって状況の改善にあたっては、この点に光明を見出せるだろう。オリジナルのサイトをモバイルで見た場合、多くのサイトでその見栄えは悪いものではない。 
  3. Kamelio はタイムライン上で表示するという面白い方法を取っており賞賛に値する。しかし、結果的にはこのやり方で、オリジナルの配信元画面を表示しているようだ。 
  4. Pocket などの、海外アプリを使っていなければの話だ。 

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