編集部注:本稿はベンチャーユナイテッドのチーフベンチャーキャピタリスト、 丸山聡氏が運営するブログ「No Guts, No Growth.」からの転載記事。スタートアップにとって、大きな課題となる「ビジネスを作り出す」上で示唆に富んだアドバイスが簡潔にまとめられていたので、同氏に許可を頂き、こちらに掲載させてもらった。
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インターネットサービスの事業プランにおいて、企業に対してのサービス提供や企業からの収益を考えているものはたくさんあったりするわけで、私も仕事柄いろいろと起業家や経営者の方などからお伺いすることが多いです。
でも、ここで一番重要なのは、「どう売るのか」という部分や「どう使ってもらうのか」という部分でして、そこをスタートアップですから安くしたり初期を無料にして導入しやすくしますっていうのが多く、その次の段階として販売代理店を活用してとか、ほにゃららに代理店的な動きをしてもらって一気に成長していきますっていうお話になったりするわけで、理論上はなんとなく正しいように感じるんですよね。
でもね。そんな計画で大きく成長した企業ってほとんどないんですよ。我が国ニッポン(英語の公式な表記はJapan)では。
販売代理店を収益を短期間で大きく伸ばすための魔法の杖だと思っていたら、みんながその魔法の杖を使って成功しているハズなんですよ。でも、そんな魔法の杖は存在していない。
じゃ、販売代理店って何のためにいるんだよってことなんですよ。
自社で商材を開発するというところに強みがないけど、営業力(売る力)はすごくあるから、その力を使って成長しようぜっとか、暮らしていこうぜとかって思っているわけです。
でも、彼らだってなんでもかんでも売れるわけではないんですよ。だから、魔法の杖にはなりえないんですよ。
ということで販売代理店をうまく活用するうえでのポイントっていうのをぼんやり考えてみると
商材を作っている人たちが売れない商材は販売代理店も売れない
商材に一番詳しい人たちが営業して売れないものは、いかに営業力がある販売代理店を以てしても売れないし、販売代理店の人も売れてる商材をよりたくさん売った方がより収益が見込めるわけですからなぁ。
売るのに詳細な説明が必要なものは販売代理店は売れない
基本的には営業力を武器にしているので、そこに対して1件1件の営業活動に時間がかかるような商材や、その商材に相当な理解を求められるものは、生産性が低くなるので販売代理店としては売りたくない。俗にいう手離れがいい商材がいいですよね。自分が販売代理店の立場でも。
まー、あとはカスタマイズとかはいろいろと要件を伺ったりとか大変なんでやりたくないっすとかあると思うんですよね。ひとまずパッケージにして手離れいいものにしてくれよと。
単価の低いものよりは高いものを販売代理店は売りたい
販売代理店といえども営業リソースは有限なわけですから、そのリソースを投下するに際しては単価の高いものを選んだ方が収益を最大化できるわけですから、必然的に単価の低いものは扱いたくないし、販売してより収益に直結するものを扱っていきたい。
理想をいえば、年額でそこそこの単価になるもので、一度売ったら毎年継続的にそこそこの販売手数料が入るとか最高ですよね。みたいな。
というあたりではないかなと。なので、販売代理店を使うっていうときには、
商材を作っている人たちでもそこそこ商材が売れていて、説明やカスタマイズがほとんどいらなくて、単価(収益性)の高いもの
っていうのだと喜んで売ってくれるんじゃないかなと思うわけでございます。売る側の気持ちになればそりゃそうだっていう話なんですが。
っていうことで、販売代理店が事業拡大の魔法の杖になりうるためには、自分たちや自分たち生み出した商材が魔法の杖を生かすための高い魔力を持っているかどうかというところを意識しないといけないなと。
【転載元原文: 販売代理店という魔法の杖は存在しない 】
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